「いいとき生まれた!昭和30年代」

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 第96号 借金の関門


  
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        いいとき生まれた!昭和30年代  第96号     


                    2008. 6. 10     


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  この間、道を歩いていたら、
  沿道のお店の中から、
  若いお母さん達二人が、
  子供をつれて談笑しながら出てきました。
  なんのお店だろうと見ると、なんと質屋さん。
    
  
  時代に合わせた変化を遂げた職種としては、
  トップクラスに入る質屋さんですが、
  昔では、絶対にお目にかかれなかった光景でしょう。
  

  思えば、
  昔の質屋といえば、
  出入りするところは人に見られたくないものであり、
  イメージ的には、
  着物の風呂敷包みなどを抱えた人が、
  まわりをきょろきょろしながらさっと入る、
  そういう場所でございました。
  そのせいか、裏通りや路地など人目につかないところに、
  あるお店も多かったです。
  
  
  借金は恥、後ろめたいものという意識は、
  今とは比べ物にならないほど、
  ずっと大きいものでした。
  ですから借金は、生活に困ってやむにやまれずするものでした。
  私の母方の祖父などは、
  母が嫁に行くときに、
  「雑草を食べても、絶対に借金はするな。」
  と言ったそうです。
  つまりは、生活に困ってもするなと。
  でも、そのくらいの感覚は普通だったでしょう。
  

  今だって、借金はマイナスイメージに変わりはありませんが、
  借金=悪とすべて決めつけるものでも
  なくなりました。
  家を現金一括払いで買える人は、そうはいませんから、
  ローンを利用して手に入れる人も多いでしょう。
  クレジットカードだって、利息のかからない一括払いまで含めれば、
  かなりの人が、借金をしていることになるのではないでしょうか。
  きちんと管理ができる限りは、
  便利なものにもなったのです。
  一方でそれは、それだけ借金が、
  生活に浸透している社会になってるのです。


  だからこそ、レジャー資金もお気軽に、
  なんて宣伝ができる世にもなったのでしょう。
  金貸し会社の宣伝自体が、ありえない時代は、
  遊ぶお金を借金なんて、
  病的ギャンブル狂のすることでしかありません。
  

  CMの話の時に、
  今の不快なCM風潮の話をしましたが、
  この金貸し会社の宣伝も気になる一つです。
  規制緩和であまりに派手になりすぎたもので、
  さすがに、いろいろな条件がついたようですが、
  宣伝そのものができないわけではありません。
  あの手この手で、借金をすすめています。
  CMに腹がたったら買わない、利用しないですむことですが、
  これは、それだけではすまない問題を含んでいます。
  
   
  ただでさえ、借金意識のハードルが低くなってるところへ、
  レジャー資金がピンチの時はいかが?なんて宣伝があったり、
  ネットや自動支払機でお手軽に借りることもできれば、
  返しさえすれば、借金も気軽にしてもいい、
  という感覚を持つ人が増えても不思議ではありません。
  
  
  利息はもったいなくないし、
  確実に返せるならいいではないか、
  と思うのはその人の勝手ですが、
  問題なのはそこではなく、
  その感覚に慣れていくことです。
  まだ手元にないお金で遊ぶことに抵抗がなくなれば、
  相当な意志での自己管理が必要です。
  それができるくらいなら、
  最初からお金が入るまで我慢できると思うのです。
  
  
  私が社会人になって、初めてクレジットカードを作る気になったのは、
  引き落とされるまで口座にお金を置いておくことができるので、
  その分の利息がついてお得、
  という雑誌の記事を読んで、なるほどと思った時でした。
  (その頃は、預金利率も高かったですしね。)
  
  
  これなら、払うお金はすでに手元にあることが前提だし、
  引き落とし日まで、引き出さないことも前提だから、
  まだ入らないお金をあてにして使う、
  というパターンにもなりません。
  
  
  それでも、最初の頃は、
  引き落とされるまでは借金があると思って、
  気持ち悪かったものでした。
  ところが、今は、そういう感覚がありません。
  もちろん、そうなってる自分を自覚してるので、
  使いすぎないようには気をつけてますが、
  これを思うと、
  自己管理ができないままに、
  遊ぶお金を気軽にキャッシングする麻薬効果は、
  はかりしれないと思います。
  
  
  いくらCMに、
  「ご利用は計画的に」なんてつけさせても、
  計画的にできる人は、
  そもそもが、ご利用前に計画的になってますので、
  借りることは、あまりないと思います。
  

  思えば、昭和30年代は、
  クレジットカードが登場しだした頃でもありますが、
  社会は、まだまだ現金一括払いが主流でした。
  何か欲しいとか、したいとかという場合、
  お金をためてからという意識は、
  かなり色濃かったです。
  
  
  それでも、分割払いが利用できるお店もありました。
  最近、あまりこういう言い方はしなくなりましたが、  
  「月賦で買う」というものですね。
  でも、月賦で買うのは、
  現金一括払いより格下の買い方、
  という感覚がありました。
  

  この月賦払いの歴史は意外と古く、
  明治時代からあるものですが、
  昭和30年代になっても、
  そんな感じだったのです。
  
  
  昔になるほど、
  自営業率が高く、
  定収入が保証される勤め人でないと、
  利用しにくいこともあったのかなとも思いましたが、
  サラリーマンがだいぶ増えた昭和30年代でも、
  現金一括払いで買う人は、
  まだまだずっと多かったですね。
 
  
  月賦で買えば、割高になるけれど、
  現金一括払いとなれば、
  高額商品になるほど、
  値引きが期待できることもあったでしょう。
  ともかく、せっせとためて現金一括払いの道を選ぶ人のほうが、
  多かったのです。
  そして、現金一括払いが主流であったことは、
  不便でもあるけれど、
  堅実な方向に向きやすい社会だったとも言えました。
  

  そういう社会で育ってきた世代だって、
  借金への意識は変わってきており、
  中には、どっぷりおぼれてしまう人もいるのですから、
  社会の空気で自然に学べなくなった環境で育つ人たちが、
  潜在的に持つ借金へのハードル意識は、
  さらに低くなっていくのではないでしょうか。
  
  
  事実、ネットキャッシングの吊広告で、
  利用者の年齢層を円グラフにしてあるのがあったのですが、
  20代が半分弱、以後、年代があがるごとに、
  少なくなっています。
  ネットの利用率とも関係するかもしれませんが、
  これを見ても、若い層ほど、
  借金には抵抗がないようです。


  もっとも、この広告自体、
  利用者の半分近くが若い世代であることを強調するために、
  このグラフを載せており、
  若い人をターゲットにしている広告です。
  遊ぶお金を借金しようというのも、どうかと思いますが、
  若い人たちがたくさん利用してるってのも、
  だからどうした、と言いたくなりません?
  だって、若い人が多いということと、
  安心して利用できる根拠って、結びつきませんもの。
  これからの人は、
  私達以上に金銭感覚意識をしっかり持つ必要がありそうですね。
  

  こう考えると、
  昔の人目をはばかって借りに行く質屋のイメージは、
  借金の関門となっていたとも言えるのではないでしょうか。
  ネットやATMで簡単に借金ができるのとは、
  くらべものになりません。
  そういう意味では、
  あれはあれで、ちょうどいいくらいだったのかも。

  
  今や、人目を忍んで質屋に行く人もいなければ、
  着物が質草になる時代でもなくなりました。
  でも、本当に必要でないと行きにくい質屋の時代は、
  自己破産、借金を苦にした自殺、
  借金返済のための犯罪もまた少なかったのです。
  
  
  いくら自己管理ができたにしても、
  やはり借金は借金。
  いつの時代でも、
  お金を借りるのは、よくよくのことであるべきで、
  お手軽気軽なものにする必要性は、
  あまりない気がします。
  

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    あれこれ後記
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  ◇秋葉原の通り魔事件、怖いですね。
   最近の事件に多い「誰でも良かった」という言葉には、
   本当に腹がたちます。
   犯人は、警官に拳銃を向けられて警告され、
   観念したようですが、
   人の命を無差別に奪っておきながら、
   自分は拳銃を向けられて躊躇する。
   このあたりの思いに気がつくようであれば、
   こんな事件を起こすこともなかったかも。
   自分の閉塞感を、罪もない人にぶつける事件は増える一方。
   しかし、どんな心の闇があったにせよ、
   どんな事情があったにせよ、
   なんの落ち度もない人を殺傷して許される理由にはなりえません。
   どうして、こんなふうに心を病む人が増えてしまったのでしょう。
   

   私は、昔、神田や湯島など、
   秋葉原周辺に通勤していたことがあったり、
   私用で周辺に出かけることもあったりして、
   秋葉原は時々行く街でしたが、
   再開発後は、だんだん足が遠のいて、
   最近はほとんど行きません。
   秋葉原周辺に行く用事が少なくなったこと、
   何か買うにも、ネットの方が安く買えるお店があることなどの
   理由はありますが、
   変わってしまった秋葉原に、
   違和感を感じるようになったこともある気がします。
   

   街は活性化したようですが、 
   純粋に電気街だった頃の秋葉原は、
   風紀の乱れる事件や、
   こんな物騒な事件が起こる街ではなかったのになあ。
   デパートとは名ばかりの、
   上り下りは階段という駅ビルデパート、
   アキハバラデパートがあった頃が、
   すごく遠い昔に感じられます。      
   
  
  
  ◇今年の東京の5月は、
   3、4月の気温と7月の気温が交互に来るような状態で、
   寒くなったり暑くなったり、
   めちゃくちゃでした。
   おかげで、忙しくてまだしまってなかった毛布が大活躍でした。
   しかし、5月に毛布をかけて寝るとは思わなかった。
   いくらなんでも、6月に入ったんだから、
   たとえ梅雨寒になったとしても、もう大丈夫かなあ。
   でも、梅雨に入ってしまったので、
   今度はすっきり晴れる日と、
   手のあいてる日がなかなか一致してくれなくて、
   しまうにしまえない。
  
           (ものぐさの 言い訳になる 梅雨の空 

                   友蔵さんには勝てないが、
                   ひとみの心の俳句 ) 
  
  
 
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