「いいとき生まれた!昭和30年代」

メールマガジンバックナンバー



 第92号 もやしっ子にもいなかった疲れる子供



  ★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆


        いいとき生まれた!昭和30年代  第92号     


                    2008. 3. 16      


  ★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆
  
 
  この間、ある親子とすれ違いました。
  最初に母親が、
  そして、7,8メートルほど後ろから、
  よちよち歩きの女の子が歩いてきます。
  
  
  この順番も、歩き方も問題だなあ、
  と思ったのですが、
  私が母親とすれ違った後、
  女の子の方に歩いていく形になったので、
  母親も危ない女だといけないと心配になったか(?)
  振り返って、
  「早くおいで〜」
  と子供に声をかけました。
  
  
  とはいえ、相手はよちよち歩き。
  「この子だって一生懸命歩いているのに、
  無理言いなさんな、おっかさん」
  と思いながら、その女の子とすれ違った時です。
  その女の子が、ふっとため息ついて、
  まわらない口で、
  こうつぶやきました。


  「あ〜ぢがれだ〜!」
  
  
  思わず、こけそうになりましたわ。
  その言い方が、またババくさいのなんのって。
  「体力的にか精神的にか知らんけど、
   おまえさん、その年にして早くも疲れを知ってしまったのか。
   いずれにしても、頑張れよ〜。」
  
  
  心の中でそうエールを送りながら、
  通り過ぎました。
  
  
  思えば我らが昭和30年代、
  「疲れる」(地方によって言い方はちがうでしょうが)
  というのは、
  決して子供の言う言葉ではありませんでした。
  それは働く大人が使う言葉であり、
  恐れ多くも子供が口にするなどもってのほかだったのです!
  いや、そこまで大げさではなかったですが、
  ともかくも、子供には不釣合いな言葉でした。
  
  
  だから、仮に言ったとしても、
  私たちの疲れるは、
  遊び疲れた時だけのものではなかったでしょうか。
  
  
  そんなですから、
  初めて小学生くらいの子供が、
  「疲れた」と言ってるのを聞いたときは、
  ものすごく違和感を感じたものです。
  でも、そんな頃は、まだましでした。
  テレビのインタビューなど見ていると、
  今の小学生は、
  「ストレス解消になります。」
  「温泉に浸かってのんびりしたいです。」
  なんて言う子もいますから。
  
  
  大人なみのハードスケジュールをこなす
  今の子供の生活では、
  無理もないかなあと思いますけどね。
  
  
  ま、そんな時代ですから、
  よちよち歩きの子が疲れるという言葉を使っても、
  ちっとも不思議ではないのかもしれませんが、
  これが体力低下の影響から出てきているのだとしたら、
  ちょっと深刻です。
  
  
  今は幼稚園児でも大きくなって、
  少なくとも、私達の小学1,2年生の頃の体格はしてます。
  足も長くスタイルも良くなりましたが、
  体力はもとより、骨ももろくなってるのは、
  周知のこと。
  
  
  30歳前後の人から聞いた話ですが、
  その人は小学生の頃、
  体育のハードルの授業で、
  飛び越えて足をついた瞬間、
  疲労骨折をした経験があるそうです。
  
  
  そういえば、十数年前、
  テレビで中年タレントと大学生の簡単な体力テストを見ました。
  今なら、団塊の世代あたりと、
  大学生は30代くらいになってるでしょうから、
  その人より少し上くらいでしょう。
  お互いが相手をおんぶして、
  目印まで行ってUターンしてくるタイムを計るというもの。
  もちろん体重は同じくらいにします。
  
  
  まずは中年タレントが、大学生をおんぶして、
  走って戻ってきました。
  さあ、このタイムをどれくらい若者が越えられるか。
  ところがです。
  中年タレントをおんぶした大学生は、
  走るどころか、歩くのもやっとという状態。
  タイム以前の問題でした。
  
  
  これを見る限りでは、
  近年、若者が地べたに座るようになったのは、
  体力低下で、立っていられないのが原因という話も、
  本当のことのようです。
  
  
  そんな調子ですから、
  今の子供はもっと深刻です。
  いつだったかネットで読んだのですが、
  今の子供は体重測定がしにくいのだそうです。
  なぜなら、直立不動の状態をキープできずに、
  体が揺れてきてしまう子が多いからだそうで、
  ここまでくると、
  体力低下も病気の域に入ってくる気がします。
  
  
  と、他人事のように言っていますが、
  そんな私たちも、
  「もやしっ子」と言う言葉を生んだ世代でした。
  
  
  今の都会の子供は、
  青っ白く、細くてひょろひょろ、
  体力のない子供が増えているというような
  新聞記事が載ったのは、
  昭和40年代前半の頃だったと思います。
 
  
  その頃なんて、
  新聞はせいぜい見たとしても、
  漫画とテレビ欄くらいだったでしょうけど、
  その記事だけは覚えています。
  それだけ、都市部の子供としては、
  不本意な思いだったからです。
  
  
  そりゃ、野山を走りまわり、
  海や川で泳ぎまくることができる田舎の子供には、
  とうていかなわないとは思いました。
  でも当時は、都市部でも、
  よほど都会の繁華街のど真ん中にでも住んでない限りは、
  走り回って遊べる空き地や野原は、
  まだまだありました。
  ですから、それなりに体を動かしているという思いもありましたし、
  そんなひょろひょろの子が多い印象もなかったです。
  エスカレーターもデパートくらいのものですから、
  階段登る機会も多かったですしね。
  
 
  しかし、新聞に出るようになったのは、
  昭和40年代の初めでも、
  もやしっ子体型がひそかに増え続けていたのが、
  昭和30年代であることは事実です。
  正確には、昭和20年代後半から、
  兆候が表れだしていたそうで、
  食糧難の時代が過ぎた頃からというのが、
  皮肉なものです。


  でも、もやしっ子体型の一番の原因が、
  食ではなく運動量の低下にあるということを、
  如実に証明しているわけです。
  
  
  そこで、槍玉にあげられたのがテレビ。
  子供がテレビにかじりついてばかりで、
  外で遊ばなくなったからだと。
  確かにそれはあったでしょうが、
  今の子供に比べたら、充分すぎるくらい遊んでましたし、
  また遊べもしました。  


  しかしテレビは、目にも悪いということで、
  テレビばかり見ていると叱られたものです。
  今の子供がテレビゲームばかりして、
  「ゲームばかりしてないで、勉強しなさい!」
  と叱られるようなもの。
  あ、叱られ方はちょっと違うかな?
  私たちは、
  「テレビばかり見てないで、外で遊んできなさい!」
  と叱られることのほうが多かったですからね。
 

  体を動かしたり、目を休めさせるのが主題だから、
  「勉強しなさい」では筋が通りません。
  つまり、テレビ見てるのも、
  外へ遊びに行くのも、
  どっちも遊ぶ選択肢の中で叱られていたのです。
  外で遊ぶ場所もたくさんあったからこそのことですが、
  叱られ方一つでも、幸せなもんだったですね。
  
   
  今はやせ過ぎよりも、
  太り過ぎが問題にされる時代のせいか、
  もやしっ子という言葉も、
  あまり聞きません。
  でも、今のひょろひょろ体型の子の方が、
  背が伸びていて、体力が落ちているわけですから、
  さらにもやしっ子に近くなってると思います。
  

  そういう時代から見ると、
  昔のもやしっ子なんてかわいいものだった、
  と思うのですが、
  それでも、
  この言葉のインパクトは大きく、
  体格がもやしっ子でなくとも、
  都会の子供はひ弱というイメージが、
  どん!と定着しました。
  
  
  そういえば、こんなことがありました。
  子供の頃、親の郷里に帰省した時に、
  いとこたちが遊んでいる竹馬を見つけた時のことです。
  実物を見たことがなかったので、
  喜んで乗ってみました。
  ところが、あれって、
  見た目ほど簡単にすぐ乗れるものではないんですね。
  ちょっと歩いては落ちてしまいます。
  もちろん、普段これで遊んでいるいとこたちは、
  いとも簡単に、すいすい歩き回ってます。
  私にしたら、不思議で仕方ありません。
  でも、練習すればできるだろうと挑戦してました。
  
  
  しかし、その差が目立ったんでしょう。
  それを見ていた大人たちが、
  「やっぱり都会の子だねえ。」
  
  
  ち、ちがいますって。
  私の運動神経の鈍さは、
  決してひ弱さから来ているのではなく、
  生まれつきのものなんですってば。
  
  
  とにもかくにも、
  洗練されていて、
  都会の子供と思われるのではなく、
  どん臭さで、
  都会の子供だと納得された私でございます。
  
  
  しかし、そんなひ弱なイメージを植えつけた、
  もやしっ子世代でも口にしなかった「疲れる」を、
  今の子供が当たり前に口にするようになったことは、
  やはり、軽視してはいけないのではないでしょうか。
  

  昭和30年代の子供の疲れは、
  あくまで子供の疲れであったのに対し、
  今の子供の疲れは、大人と同じ疲れであることも、
  無視できないことです。
  子供がそんな疲れ方をしていても、
  当たり前のことになっている時代より、
  子供が疲れると言ったら、
  どっか病気なのではないかと思われた時代のほうが、
  絶対に正常だと思いませんか。
  



  
  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    あれこれ後記
  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
   
  
  
  ◇めのうさんから頂いたメールに、
   子供時代の楽しそうな洗濯の思い出話がありましたので、
   一部ご紹介します。
  


   『洗濯機、懐かしいですね〜^^

    脱水はローラー式
    挟んで回すと、
    漫画みたいにペラ〜ンとなった洗濯物が出てくるんですよね

    我が家は風呂場のすぐ外に置いてあって
    毎週日曜日は母と姉と3人で洗濯をしてました

    この頃はお風呂も薪からガスに変わっていたように思います
    風呂場から外に行ける戸が壁に変えられちゃったので
    風呂桶からバケツで残り湯をくみだしては窓から洗濯機へ

    で、白い物から汚れのひどいものへと(最後は父の作業着)
    1回の洗剤液で3度は洗ってましたから
    1回洗い終わるとローラーで脱水して
    今度は外から風呂場へ窓からポーンと洗濯物を放り込む 
    中ではこれまたお風呂の残り湯をたらいに入れて
    待機していた人がすすぐ
    そしてまた外へ渡すと受け取った人が干す

    うーん なんて素晴らしい光景でしょう(爆)

    これは苦痛ではなかったですね
    冬でも冷たい水は使いませんし^^
    楽しかった記憶が強いですね〜』





  こういう融通のきく洗濯ができたのも、
  あのローラー式洗濯機ならではのことでしたね。
  

  洗濯液の使いまわしは、
  我が家でもしてました。
  1回終わると、洗濯物を水からすくっては、
  ローラーに通す。
  最後の方では、手をつっこんでぐるぐるまわして、
  もう残ってないか?ってさぐったりして。
  そうして、次の洗濯物の一団をまた入れる。
  汚れのひどいものは最後にするのも同じ。
  生活の知恵ですね。


  それらが終わって、洗剤の入った液を排水させた後は、
  洗濯層がアワだらけなので、
  洗ってからすすぎの水を入れたものです。
  そしてまた洗い終わったら、ローラーでのしいかに。
  本当に、当時三種の神器と言われた洗濯機も、
  まだまだ人間の手間を必要とするものでした。
  
  
  だからこそ、めのうさんのお宅のような洗濯方法も
  できたわけですけどね。

  
  しかしつくづく、
  子供を喜んでお手伝いさせる、
  めのうさんのお母様も、
  母の期待に喜んで応えられるめのうさん姉妹も、
  素晴らしいものです。   
  めのうさんのお宅のような連係プレーができたら、
  効率的でもありますし。


  対して我が家の場合、  
  私と妹たちは、
  めのうさん姉妹みたいには、
  使えない子供たちだったもんで、
  同じことをさせたら、
  「洗剤が落ちきれてない、
   渡す時に落とす、
   あげくの果てに自分がびちゃびちゃ」
  てな具合で、
  効率的どころか、2度手間、3度手間になって、
  収集つかなくなったことは容易に想像できます。

      
  きっと母がこのことを知ったら、
  見習わせるお手本として、
  めのうさん一家が、
  そばにいてくれたら良かったのに、
  と思うに違いありません。
  
    
                            (ひとみ)
 
 

  ======================================================================
   
   発 行 日本の小粋な和みの暮らし「和・は・は」
       http://wa.hitokiwa.com/

    このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/を利用して
    発行させていただいております。

   
    ☆「いいとき生まれた!昭和30年代」(月1〜2回発行)
      バッグナンバー・購読・解除 
        http://archive.mag2.com/0000135400/index.html
      バッグナンバーの内容を選んで読む場合は 
        http://wa.hitokiwa.com/merumaga.htm      



    姉妹サイト やる気元気前向き!「あっぱれぷらすサイト」
        http://www2.ocn.ne.jp/~aps/
        よりこんなメルマガも発行しています。

   ☆「あっぱれ長屋のプラス話」(月1〜2回発行)
      バッグナンバー・購読・解除 
        http://archive.mag2.com/0000115032/index.html 
      バッグナンバーの内容を選んで読む場合は
        http://www2.ocn.ne.jp/~aps/ 



   
    ※メールはこのメールの返信ボタンをクリックすれば、
     返信用のメールが開きます。
     (件名はそのままでけっこうです。)


  ====================================================================== 
    
  
  
   

←前の号       次の号→

一覧から選ぶ


登録する



このページのTOPへ戻る









あっぱれぷらすサイト ぷらっとネットショップ


和ははホーム


今の日本を楽しむ和はは生活

懐かしの昭和30年代

幕末維新の時代

日本の物産名産入口

日本の旅

日本のエコロジー

こだわり国産品



日本の伝統文化を取り入れた和はは生活

日本の衣

日本の食

日本の住

日本の癒し

日本の美

日本の縁起物

日本を知る本

寄り道・和はは生活

松竹梅子の小遣い稼ぎの口入屋

メールマガジンのご案内

和ははの日本人講座

お休み処