「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第9号 引き売りのおでん


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         いいとき生まれた!昭和30年代  第9号     

                 2004. 9. 10           


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  前回のロバのパン屋のように、
  もう一つよく来た引き売りは、おでんの屋台。
  重い屋台を引いて、カランカランと鐘を鳴らしながら、
  にぎやかにやってきました。
  映画やドラマで見る、明治期から昭和初期くらいの田舎の学校で、
  小使いさんが鳴らしているような、
  あの鐘と同じだったのでしょうか、
  ちょっと大き目の、無骨だけど音は大きい鐘を、
  昔の引き売りは、よく使ってました。
  あの鐘も、今では姿を消しましたね。

  遠くから、カランカランという鐘の音が聞こえてきて、
  だんだん近づいてくると、おでんやさんが来るのがわかります。
  これも、パンと並ぶ人気で、こちらは、
  大人も、今夜のおかずにしようと鍋を持って出てきました。
  
  子供は、小遣い予算に応じて、具を選び、串に刺してもらいます。
  でも、小さい子供は値段もわからないし、計算もできないから、
  「これは買える?」って、いちいち、おじさんに聞きながらの、
  買い物です。
  
  おじさんは、そういう相手を面倒くさがりもせず、
  「うん、大丈夫だよ」とか、
  「それは無理だなあ」とか、
  予算枠が埋まって来て、選べるものが限られてくると、
  「これなら買えるよ」
  とか教えてくれます。
  
  大人は適当に見繕いながら、鍋にばんばん入れてもらいます。
  おじさんは、そちらにも受け答えしながら、
  言われたものを、言われた数だけ入れていきます。
  
  鍋のふちには、そういう選択中の串やら鍋やらが並ぶわけです。
  私がおでんやさんなら、どれが誰のだか、いくらだか、
  訳わかんなくなりそうです。
  
  そして、最後に、甘いお味噌やからしをつけてくれます。
  大人は鍋のふちに、からしをつけてもらってましたが、
  子供は、いつも甘いお味噌のほうでした。
  
  よく食べたのは、大好きなちくわぶをはじめ、
  昆布とかはんぺんとかボールとか…。
  なんだか安いものばっかりですね。
  まあ、子供予算で買うものですから、
  そんなところがポピュラーになるのは、仕方ないでしょう。
  
  母も買いに出てくるときは、お小遣いで買う分に、
  追加してもらえることもあります。
  しかし、たいてい母はこう言います。
  「おじさん、この子のに、こんにゃく追加してやって」
  なぜに、こんにゃく…。
  
  しかも母マネーで追加してくれる時なら、まだいいです。
  人が小遣いの範囲で、楽しみながら選択している枠内で、
  「おじさん、この子のに、こんにゃくひとつ刺しといて」
  勝手に決めるなあ!
  
  別にこんにゃくが嫌いなわけではありません。
  でも、おでんの具で選ぶとしたら、あの味のないようなこんにゃくの
  選択順はずっと後ろの方。
  
  確かに、こんにゃくはお掃除をしてくれるから体にいいと言っている母です。
  でも、普段、人並み以上に、こんにゃくにこだわってるということも
  ありません。
  なぜにおでんの時だけ、こんにゃくにそんなにこだわるのか。

  そんなわけで、味気ないこんにゃくを、味気ない思いで食べてたことも、
  何度かありました。(涙)
  
  おでんの屋台は、今でもあるけれど、
  引き売りする屋台は、見かけなくなりました。
  
  でも、あの重い屋台を引いて、売り歩く姿を今思い出すと、
  江戸時代の物売りには及ばないだろうとはいえ、まだ情緒があったし、
  人間が生きるという姿があったように思います。
  
  肉体労働でもあった引き売りは、今は姿を消して、
  移動販売という、スピーカーでテープ音を流しながら車でまわる、
  人間としては楽な方法が主流となりました。
  まあ、これも売る方の苦労を思えば、致し方ないこととは思います。
  
  でも、利便性だけを追求した結果、情緒どころか、
  ただの騒音撒き散らしカーが増えただけで、
  とても買う気にまではなりません。
  
  それどころか、「うるさいから、早くあっちへ行ってくれ〜」
  って思ってしまいます。
  
  だんだん小さくなる鐘の音を、いつまで聞こえるか、
  耳をそばだててた頃が、嘘のようです。
  
  



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    編集後記
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  前号のロバのパン屋の話で、本当にロバがひいて来ていたという方が、
  やはりいらっしゃいました。
  
  
  『ロバのパンについて
  
  こんにちは。楽しくメルまが読んでいます。
  船橋に住むたかあきと申します。
  昭和34年生まれです。
  
  ロバのパンって,全国各地にあったのですね。
  チェーン店かフランチャイズ制度だったのでしょうか。
  我が家の実家近くにもロバのパン本舗というのがあって,
  子どもの頃は,本当のロバが屋台を引いてました。
  
  ♪ロバのパン屋はチンカラホイ?(だったかな)
  のテーマソングとともにやって来ました。
  うちの前の空き地に止まって売ってましたが,
  必ずロバがウ○コをするのでちょっと嫌でした。
  パン屋さんも,それを片づけもしないで行ってしまいました。
  
  あのパン屋さん。今から15年前まであったのは知っていますが,
  今でもあるのか分かりません。』



  私は、ロバがひいてくるからロバのパン屋というなんてことは、
  知りもしなかったから、おじさんが引いてきても、
  不思議とは思いませんでしたけど、
  もし知っていたら、おじさんに
  「なんでロバでないの?」
  と不満顔で聞いていたかもしれません。
  
  でも、ロバが来れば来たなりに、
  苦労もあったのですねえ。
  知っている人ならではの話を、教えていただきました。
  
  都内では、ロバを歩かせる許可でも下りなかったのでしょうか。
  もっとも今なら、保健所の許可も下りないかも。
  
  ロバのパン屋というのは、京都で生まれた会社で、
  全国にチェーン展開したようです。
  ロバ方式は昭和28年に始まって、昭和30年代が全盛期。
  実際には、ロバではなく、木曽馬やポニーが多かったみたいですが、
  子供心をうまく捉える商売方法ですよね。
  
  ところで、メールをいただく方に共通していることがあるのです。
  相談しているわけでもないでしょうし、
  お願いしたわけでもないのですが、
  必ず、「昭和3○年生まれです。」と、
  教えてくださることです。
  なんだか、同じ時代を、同じ目線で見ていた同志みたいな感じで、
  嬉しくなります。
  (もちろん当誌は、もっとすごい話を知っている昭和20年代以前の方も、
   日本民俗史(え?)に興味のある若い方も、大歓迎しておりますよ。)
  
  しかし、これまでは私と同じ34年生まれの方は、
  いらっしゃいませんでした。
  ところが、前号に関してメールをいただいたのは、
  なぜか、34年生まれの方ばかりだったのです。
  
  ひょっとして、34年生まれって、
  ロバのパン屋にジャストフィットしたお年ごろ?

                            (ひとみ)
  
  
  
  
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