「いいとき生まれた!昭和30年代」

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 第82号 暑さと共に暮らした夏の日


  
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        いいとき生まれた!昭和30年代  第82号     


                    2007. 8. 19      


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  暑いですね。
  あまりに暑いので、
  最初に、少し涼しくなるお話をしましょう。
  
  
  それは忘れもしない、先月7月の、
  とある晩のことでした。
  聞いてしまったんです。
  まさか!そんな!ありえない!
  と思う信じられない音を。
  これは絶対に気のせいだ、空耳だ、と思いつつも、
  やはり、気になって耳をすましてしまいました。
  すると、やっぱり間違いなく、聞こえるのです。
  小さくかすかではありますが、
  「血、血、血…」という声が…。
  キャー!あ、ありえなーい!
  
  
  あ、字を間違えた。
  「チ、チ、チ…」という声が…。
  キャー、あ、ありえなーい!
  梅雨明けもしてなかったのに、夏なのに、
  もう秋の虫の声がしていたんだもの!
  
  
  え?なにか?
  涼しくなったでしょ。
  私は、皆さんから、
  ちょっと違う冷たい空気を感じてますが。
  
  
  関東地方では、
  そのくらい過ごしやすかった7月だったのですが、
  8月に入ったとたん、一転して猛暑猛暑。
  気象庁の長期予報は逆にとるほうが当たるというのが、
  私の持論ですが、
  猛暑と言われていたころは、いつもより楽なくらいの夏だったのに、
  猛暑を撤回したとたんに、これですもん。
  
  
  今じゃ、秋の虫どころか、
  真夜中でもセミが鳴きまくっています。
  昔じゃ考えられません。
  思えば、昭和30年代の夏は、
  今より天国だったなあ。
  東京でも、せいぜい32,3度。
  35度を超えるどころか、
  届くことさえ、なかったですからね。
  
  
  クーラーなんて、ほとんど普及してなかったけど、
  そのことが、今より夏が快適だった一因というのも、
  皮肉な話。
  
  
  その代わりどの家も、
  夏ともなれば、風通しを良くするために、
  玄関も窓も開け放しでした。
  でもこれは、家のためにも、
  とてもいいことだったのではないでしょうか。
  
  
  基本的に日本の家は、
  冬より夏を意識して建てられたそうで、
  気密性よりも、風通しを良くすることが重要視されたそうです。
  その分、冬は寒いのですが、
  囲炉裏を使うことで、
  暖房といぶすことによる虫よけ効果という、
  1年を通して、家のためにもなる生活スタイルが形成されていたのです。
  
  
  囲炉裏のあるような、
  木造の昔の日本家屋が、何百年たっても頑丈なのは、
  昔の大工さんの腕の良さはもちろんでしょうが、
  日本の気候に合わせた、
  こうした効率的、効果的な生活のおかげもあったのでは、
  と思えます。
  
  
  今は、家の気密性も高まったうえに、
  夏は冷房で締め切り、冬は暖房で結露を呼び、
  日本の気候では無視できないはずの通気性は、
  二の次です。
  窓や扉を開け放つことも、
  防犯の観点からは、
  気を使わなければならないような、
  せちがらい世の中になってしまいました。
  クーラーがないことは考えられない、
  という人も増えています。
  

  でも、クーラーが普及するまでの日本は、
  涼をとるのは、自然の風、扇風機、うちわか扇子程度。
  だからこそ、すだれで日よけをしたり、
  風鈴の音色で、風と音のダブルの涼しさを感じとったりと、
  培われてきた工夫で、
  暑さと共存する心の余裕も持っていられたのではないでしょうか。
  
  
  自然を生かした涼のとりかたをしていた時代は、
  自然のほうも、
  朝晩は涼しい時間帯を用意してくれていました。
  ラジオ体操の時間も
  まだ空気はさわやかでした。
  「夏休みの宿題は、朝、涼しいうちに済ませましょう。」
  の朝とは、10時くらいまでは言えたことでしたが、
  今は「それはいつ?」と聞かれてしまうかもしれません。
  なにしろ、朝から30度前後なんて珍しくないのですから。
  先日なんか、各地の朝の気温を見たときに、思わず、
  「昔の夏の日中の気温だ。」
  と思ってしまいました。
  
  
  夕方も、昔の夏はそれなりに涼風が吹いて、
  夕涼みタイムになりましたが、
  人工熱の放射は続くせいか、
  今は大して下がりません。
  夜だって、なにもかけてなくても、
  寝冷えの心配すらなくなりました。
  なんてったって、一晩中25度以上の熱帯夜どころか、
  一晩中30度を下回らない夜さえ出現するくらいです。
  この現象には、言葉もないので、
  超熱帯夜と言うそうです。
  この場合、30度以上ではなく、
  30度異常と言ったほうがいいでしょう。
  そのうち、寝冷えも死語になるかもしれません。
  
  
  それに、同じ窓を開けていても、
  子供の頃のほうが、
  もっと風が通っていった気がします。
  高層ビルやマンションの林立で、
  風通しが悪くなり、熱がこもるのも、
  都市のヒートアイランドの原因という話ですが、
  そんなビルが立ち並ぶような場所でもないところまで、
  影響が出てきているのかなあ。
  こういうビルって、そばに行くと、
  ものすごいビル風を起こしてるのに、
  まったくもって、うどの大木です。
  
  
  さらに、こう猛暑になってくると、
  窓を開けておいてもあまり意味がなく、
  私みたいに、
  汗っかきだけどクーラーが嫌いで、
  夏は汗かいてなんぼ、
  汗をかくことで、
  溜まった老廃物を出す季節、
  くらいに思ってる人間でさえ、
  扇風機を強くして、温暖化に加担してしまいます。
  先進国の人間って、
  地球にとってがん細胞みたいな存在にしかなってないかも。
  
  
  こうして、人間はますます窓を閉め切って、
  クーラーで涼しい部屋にこもるようになる。
  そして、外はますます暑くなる。
  この悪循環を断ち切るには、
  外気に熱を出さないクーラーを、
  開発するしかありません。
  じゃないや、その前に、
  いつか話した自然との歩み寄りの精神も忘れてはいけません。
  
  
  人間が、自然に合わせて対策をとっていたことが、
  いつのまにか、自然の不快な部分を拒否して解決しようとする、
  一方的な考え方にすりかわってしまいました。
  極端に言えば、クーラー漬けの生活をしていながら、
  汗をかきにサウナに行くような、
  人間の都合で選ぶ生活スタイルのゆがみが、
  自然や人間自身にまで及んできている気がします。
  
  
  昔から培ってきた知恵は、
  単に、そうせざるを得なかった時代の知恵ということで、
  追いやってしまっていいものばかりではないと思います。


  そういえば、昔のそんな知恵の一つに、
  打ち水がありますね。
  

  近年は、打ち水運動なども行われたりしていますし、
  ホースで水撒きなどは、今でも見かけたりします。
  でも、私の中では、打ち水は土の道とセットのものなのです。
  アスファルトの道の上に撒くのと、
  土の道に撒くのとでは、
  効果の持続性、吸水性には、差があると思いますし。


  当時の打ち水は、
  一般の家や店の前を掃き清めたあと、
  バケツに汲んだ水を、
  手やひしゃくでかきだしながら撒いていく、
  という形がかなり多かったです。
  それが掃除の仕上げみたいになってました。
  

  これは土の道に、
  ほこりをたたせないためにも、
  大事なことでしたね。
  
  
  白く乾いた土の道が、
  水でおもしろいように、
  黒くなっていき、
  最後に残り少なくなった水を、
  ばしゃっとばらまく。
  それを、何度か繰り返す。
  ああ、書いてるだけで涼しそう。
  
  
  大人がそうしている光景を見ているのも好きでしたから、
  自分がするのは、もっと好きでした。
  と言っても、それはお手伝いという名目でできる遊び
  のようなものだったからです。
  
  
  ですので、やりすぎて、
  しまいには、
  「水道代がもったいないから、もういい。」
  と逆に、叱られることになるお手伝いでもありました
  うちが井戸水だったら良かったのに、
  とよく思ったものです。
  

  この打ち水も、
  実際にやるには、
  ちょっとコツがありまして、
  水をかきだすときに、
  ついうっかり足の近くに撒きますと、
  水のはねっかえりを、砂埃とともに受け、
  サンダルをつっかけた足が泥だらけ、
  という状態になることもありましたねえ。
  
  
  ホースで撒く場合もありましたが
  子供にこれをやらすと、
  本格的な水の無駄遣い遊びになることを見透かされてか、
  こちらはあまりやらせてもらえませんでした。
  もっとも、風情という点では、
  やはり、手で撒く姿に軍配があがりますね。
  
  
  手で打ち水の光景は、道路の舗装化と共に、
  かなり衰退した気がします。
  もっとも、あの姿はやはり土の道にこそ似合うもの。
  それに、同じ打ち水でも、
  アスファルトの道に撒いているのは、
  見ていても、別におもしろくないから不思議です。
  あの、乾いた土の上に撒いてこそ、
  打ち水の本領発揮で、
  楽しさ、いや涼しさ倍増です。
    
  
  実際はそうとは決まってなかったですが、
  バケツや洗面器で打ち水してるのは女性が多く、
  ホースで水をばらまいてるのは、
  ステテコ姿のおじさんが多かった気がします。
  

  夏になると、
  楽しい夏休みを求めて、子供の頃に帰りたいと思ったものですが、
  今では気温を求めて、
  子供の頃の夏に帰りたいと思います。
  
  
  人間も自然の生き物なのに、
  自然に逆らう生活を始めたことで、
  自らの首を締め始めた、
  そんな気がしてなりません。
  
  
  みなさんも、夏は汗をかくのが当たり前の季節と割り切って、
  クーラーに頼らず、
  昔の知恵で乗り切る生活をしてみませんか。
  今なら、サウナスーツなんかなくても大汗かけるし、
  窓を閉めきって、自宅でホットヨガとかもできそうだし。
  
  
  あ、また、ちょっと違う冷たい空気が来たような…。
  
  
  
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    あれこれ後記
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  56号〜58号の後記で、読者さんのメールから、
  ミスタービブとドクターペッパーの話題が続いたことがありました。
  そのときに、ドクターペッパーをぼろくそに扱い、
  でも愛好者は今でも隠れキリシタンのように存在していると書いたら、
  「実は私はそのドクターペッパー愛好者です」と、
  へこみながらも、名乗りをあげてくださったのが、
  WAIMEA ALOHAさんでした。
  
  
  そして、前号で、昔の公的機関のひどさについて、
  郵便局を中心にぼろくそに言ったら、
  実は私はその郵便局員ですと名乗りをあげてくださったのが、
  またまた、WAIMEA ALOHAさんでした。
  
  
  重ね重ね、すみません。m(_ _)m
  
  
  でも、今回は、郵便局だけは、
  見違えるように良くなったという話も、
  しっかりお伝えしていて良かった〜。
  前号で書いたとおり、
  私は、メリットデメリットを比べてみての民営化の必要性には、
  疑心暗鬼なのですが、
  当の郵便局員さんの考え方は、
  もっと踏み込んでいるので、
  メールの一部を、ご紹介しますね。
  
  
  「郵便局のサービス少しは良くなりましたか?
   ありがとうございます 実は私も郵政公社員
   天下の国家公務員なのです それが今年10月から
   一般ピープルになってしまいます
   とても口惜しいです な〜んて事はありません
   私は郵政民営化賛成論者なのです
   確かに公務員が郵便を配達する必要はありません
   それは 小泉氏の言うとおりです
   又 小池百合子氏は国家公務員の削減につながる
   事に民主党は反対するのかと菅さんに噛み付いていました
   しかしながら 郵便、簡保、郵貯の取り扱いは
   国が責任を持って行ってきた事業です
   そしてその事業形態は独立採算制であり
   経費 維持費 人件費等を差し引いたいわゆる 
   純利益は国庫金として100年以上も収め続けられました
   郵便局は税金を収めていないと云うのは間違いです
   又 税金から給与が支払われていないため
   公務員の純減にもつながらず 政府の国家公務員削減目標
   の数にも含まれてはいません
   郵便局を民営化しても国民の税金が安くなる訳では
   ないのです
   私(たち)は公務員としてではなく郵便局員として
   誇りを持って働いてきました
   だから 公務員であろうが公社員であろうが会社員で
   あろうが
   郵便局を必要としてくれている方々がいる限り 地域の
   皆さんのために働きたいのです
   国営の必要は無いと云う観点からは 民営化は賛成ですが
   郵、保、貯、窓口の分割は地域サービスの面で無理がある
   と思いますが ひとみさんはどう思いますか?
  
   又 ひとみさんの遭遇したようないわゆる困ったチャン
   職員も完全引継ぎと云う名目で新会社に移行します
   私の職場にも奈良の環境清美部の職員を彷彿させる様な
   輩がいます 何故寄生虫に餌を与えねばならないのか
   疑問です しかしながら大半の職員は愚直ともいえる程
   真面目に働いています どうか長い目で見てやって下さい
   郵便局は変りません 又 郵便局は大きく変ります」
  
  
  
  私を郵便局ファンにさせたのも、
  ここに書かれたような、
  職務に対し、真面目に一生懸命取り組む職員さんたちの姿勢を、
  感じるようになってきたからです。
  でも、これを読んで、
  新たに気づかされたことがありました。
  私は、公的機関の郵便局がいち早く変わってこられたのは、
  民間と競合する分野だったからだと思ってましたが、
  一番の理由はこの職員意識の差だと。
  
  
  たとえば、
  役立たずどころか、
  損害を与えるために存在していたと判明した社会保険庁。
  これだけ大きな問題となって、
  ようやく動きだしたけれど、
  対応努力の仕方、レベルがとても生ぬるいですよね。
  でも、これが今の社会保険庁が考えられる、
  最大限の努力、誠意のレベルなのです。
  逆に言えば、ここまでしかできないのです。
  でも、社会保険庁としては一生懸命やってるつもり。
  この甘い危機意識が変わらない限り、
  本当の解決に結びつくことなどできません。
  これは、国の対応も同じ。

 
  あ、そうかわかった。
  郵便局民営化の本当の狙いは、
  職員の、職務に対しての取り組み方がまともになって、
  公的機関らしくなくなってきたから、
  他のだれてる部分との差を目立たせないように、
  民営化させて、ごまかしてしまおうということなのか。

  
  
  
                           (ひとみ)
                        
  
  
  
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