「いいとき生まれた!昭和30年代」

メールマガジンバックナンバー

 


第75号 10円遊具


  ★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆


        いいとき生まれた!昭和30年代  第75号     


                    2007. 3. 22      


  ★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆




  デパートの屋上や遊園地にあった10円遊具。
  ほとんどの人が、幼い頃に乗った思い出を持っていることでしょう。
  あれもある意味、前号で取り上げた自動販売機の仲間です。
  
  
  馬やうさぎなどの動物や、
  車や汽車などの乗り物などなど、
  いかにも子供の喜びそうなキャラを揃えて、
  子供を惹きつけ、
  そのくせ、子供がまたがっても、
  10円入れないと動いてくれません。


  で、子供のためにと、親がついお金を出すと、
  「しゃーない、動いてやっか」
  という感じで、ほんのちょっとの間だけ、
  やる気なさそうに動いて終わりの悪徳商法…
  

  じゃなくって
       

  見つけた子供が走っていってまたがると、
  後から来た親が、
  10円を入れてくれる。
  喜ぶ子供と、それを嬉しそうに見つめる親。
  実に、平和と愛に満ち溢れた世界を演出してくれる
  遊具でありました。
 
  
  しかし、うちの場合は、
  いつもそううまく行くとは限りません。
  
  
  「乗るだけね。」
  そういう日もありました。
  親はそれでも嬉しいでしょうが、
  子供はちっとも嬉しくありません。
  
  
  それでもそばに寄ってきてくれる時は、
  まだましです。
  人がまたがって、スタンバイしてるのに、
  置き去りにしてどんどん遠ざかる親。
  「お金入れて〜。」
  「はい、行くよ。」
  それでは会話になっておりません。
  
  
  隣で動いている遊具に乗ってる子供を尻目に、
  動かない遊具から、
  すごすご降りる私の格好悪さも考えてちょうだいって。
  お金が入らなければ、
  シビアに動いてくれないあんたもあんたよ!
  と遊具をにらみつける、
  そんな日もありました。
  
  
  そのせいでしょうか。
  ある日、いつものようにまたがりました。
  親もその日は、お金を入れてくれました。
  すべて順調、と思いきや、
  肝心のお馬さんが動いてくれないのです。
  
  
  故障してるのか、と親が私を降ろしたとたん、
  馬は普通に動き出しました。
  「あ、直った。」
  とあわてて乗ろうとする私を親が制して、
  「わかった、おまえは、
  もう重すぎて動かないんだよ。
  もったいないから、ほら、おまえが乗りなさい。」
  と、妹を乗せました。
  それを証明するかのように、
  妹を乗せた馬は動き続けました。
  まったくもって、乙女心を傷つけるデリカシーのない奴です。
  

  こうして、私の10円遊具からの卒業は、
  非友好的なお別れとなったのでありました。
  
  
  でも、残念なことばかりではありません。
  妹たちが乗れるのに、
  私が乗れなくなった遊具ができた代わりに、
  年齢制限で、双子の妹たちはまだ乗れないけど、
  私は乗れるようになった乗り物が増えました。


  うらやましそうな妹たちと、
  それに付き添う母を置いて、
  父と二人で、初めて乗れるようになった乗り物へ。
  ちょっと優越感に浸りながら、
  父と一緒に乗り込みます。
  
  
  それは、「びっくりハウス」。
  10円遊具の揺れを卒業した私は、
  さらなる大きな揺れの世界に突入です。
  
  
  期待と共に、部屋の中に入って、横長の椅子に腰掛けます。
  私は子供なので、背広を着ていた父の膝に抱かれて座りました。
  51号で取り上げたけど、
  当時は、遊園地と言えども、
  みなさん、よそ行きで出かけましたからね。
  考えたら、うちの父は商売人だったので、
  仕事では背広を着たことがないのに、
  遊園地に遊びに行く時は、着てったんだなあ。
  もちろん、一緒に座った人たちも、
  おめかししてました。  
  おもしろい時代です。
  
    
  やがて、真っ暗になると、
  部屋が激しく前後に揺れ出しました。
  が、実は私、これがどんな乗物なのか、
  全然わかってませんでした。

 
  なので、10円遊具の比ではない、
  生まれて初めて経験する
  激しい前後揺れの嵐にアワくったのなんの。
  「ちょ、ちょっと待ってくれ、
  なんなんだ、この想定外の動きは〜!」
  
  
  突然の思いがけない激しい揺れに、
  心も動揺してしまいました。  
  暗闇で、父の膝から落ちるのではないかというほど、
  揺さぶられて恐いなんてものではありません。
  ぎゃーぎゃー泣きわめきました。
  ようやく、終わった時は、
  ボロボロヨレヨレ。
  
 
  こうして、妹たちにうらやましがられ、
  優越感に浸って意気揚々と乗り込んだ私は、
  泣きべそをかきながら、情けない風体で、
  母と妹たちのところに戻ったのです。
  父が苦笑しながら、
  「だめだよ、泣いちゃって。」
  とほとほと手をやいたように、言ってました。
  
  
  しかし、父だけでなく、
  あの時一緒に乗り込んでいた皆さん、
  せっかくのお楽しみの時間を、
  目一杯泣き叫んで、大変ご迷惑をおかけしました。


  でも今は、前後揺れの世界も、
  びっくりハウスなんて可愛いものではなく、
  バイキングというさらに巨大化したものになってますけどね。
  

  だいぶ後になって、
  久しぶりに10円遊具を見つけました。
  と思ったら、
  時代の流れで、この子たちも賃上げを要求したようで、
  100円入れなくては動いてくれないシロモノに
  変貌してました。
  
  
  ところが、今でも10円で動いてくれている遊具があるようなんです。
  群馬の前橋市中央児童遊園、通称るなぱあくという遊園地に。

  
  1954年、バンダイの前身中村製作所が、
  デパート向けに開発した最初の木馬が5台、
  今も現役で活躍しているそうです。
  私の記憶にもないタイプのお馬さんです。
  製造元のバンダイでさえ、記念式典に借りにきたそうですから。
  (でも、この木馬でさえ、小学生までOKということは、
   あの時、私を乗せて動かなくなった10円遊具は、
   本当に調子悪かったか、意図的に私を拒否してただけか?) 

 
  他にも、製造メーカーも既に倒産してしまった豆自動車とか、
  8人乗りの自走式ジェットコースターとか、
  なんだか楽しそうな乗り物が集まって、
  この遊園地の人気はなかなかのようです。 
     

  しかも、入園料無料、木馬と小型遊具が10円、大型遊具が50円という
  信じられない破格値。
  さらに、3歳以下の子供の付き添いで大人が乗る場合は、
  大人の分は無料になるという太っ腹。
  きっと、付き添いという名目で、
  子供をだしに、実は子供より楽しんで乗っている大人も、
  たくさんいると思われます。
  (え?あんたの感性と一緒にするなって?)
 
 
  こちら↓ 
  http://www2.wind.ne.jp/sukidesu/vol.20/runapark.htm


  るなぱあくのホームページはこちらです。 
  http://www.lunarpark.jp/  

  
  
  お近くで、小さなお子様も調達できますという、
  うらやましい方は、ぜひどうぞ。
  (近くなら、すでにご存知か…。)


  


  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    あれこれ後記
  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  


  ◇今回は、前号の自動販売機の思い出に対し、
   フェビアンさんからいただいたメールの一部をご紹介します。
    

    「さて、今回の「自動販売機」に思い当たるもの・・。
     私が最初に体験した自動販売機は10円を入れて
     ぐるっと回すガチャガチャではないでしょうか?
     小学2年生だったと思います。
     黒と黄色のモールで作ったボディと
     針金とストッキング素材で作った羽の「蜂」が
     カプセルに入っていました。
     小さいのに良くできていると思った記憶があります。
     結局モールを延ばしておしまいでした。

     高校生の時にはカップヌードルの自動販売機が
     バス停の横にあって驚きました。
     ちゃんとお湯も出て、その場で食べられるのですが、
     カップヌードルを車ががんがん通る国道脇で食べるのに
     抵抗がありました。
     友達と、食べていましたが・・。

     大学生のとき、そばの自動販売機は知っていたけど、
     うどんの自動販売機を見たときは
     人目もはばからず大笑いしました。
     何がおかしかったか、分かりませんが、
     とにかくそのときは笑わずに入られなくなり、
     一緒にいた友達が「あの時は恥ずかしかった」と、
     長い事いわれました。」
  

     
   うどんの自販機は、私は知りませんが、
   見事にフェビアンさんのつぼにはまったようですね。
   どんなのかな?
   このほかにも、ハンバーガー、いちご、お米、ガソリンなどの、
   自販機の話をはじめ、
   いろいろと教えていただきました。
   ありがとうございます。
   さらには、こんなお話も。
   

    「NHKでやっていた番組「お笑い3人組」3人は、
     一龍斎貞方、江戸家猫八、古今亭金馬
     (だったか、名前は、定かではないです)で、
     ドラマの中で金馬さんは食堂をやっていて、
     その食堂の前に自動販売機を置くと言うはなしがありました。

     何の自動販売機かは忘れましたが、
     大きな自動販売機の中におばあさんが入っていたと言う
     オチでした。
     自動販売機はあっても身近なものではなかった
     時代だったんですね。」



   フェビアンさんのこのお笑い3人組の話を読んで、
   「そうか、私のたばこ自販機のあの発想は、
   きっとこれが潜在意識の中にあったせいにちがいない」
   と納得できました、と言うか、納得させました。
   (何のことやらと、お忘れになった方は前号をご覧ください。)
   

   カップヌードルの自販機は、
   私にとっても、高校時代、学校にあって、
   お世話になったものです。
   お湯も出ますが、割り箸入れまでついて、至れり尽くせり。
   さすが日本の自販機です。
   お湯を入れて、割り箸を取って、
   教室まで持ち帰るのですが、
   私の行った高校は、上履きがなぜかスリッパだったのです。
   学校指定のスリッパ。
   それで、みんな校内をペタペタ歩いていました。

   
   廊下を走らせないための陰謀か?とも思いましたが、
   お湯の入ったカップヌードルを持ち帰る時にも、
   このスリッパは邪魔くさかったです。
   
   
   でも、そのおかげか、
   カップヌードルと割り箸持って、
   廊下や階段を歩いている生徒がいたら、
   お互いの平和のために、
   自然とよけて、道をあけてあげるのが
   暗黙の掟みたいに根付いてました。


   カップヌードルの自販機とスリッパで、
   譲り合い、思いやりの精神を育ませようとする
   学校の狙いがあったとか?   
   それに、教室に戻る頃には、
   ちょうどいい頃合になってましたし。


   ところで、メールをいただいた方には、
   たとえ遅くなっても、
   必ずお返事を差し上げておりますが、
   フェビアンさんにお礼のメールをしたところ、
   ご丁寧にまたそのことに対しての、
   お礼のメールをいただきました。
   

    「フェビアンです。
     返事をいただけると思っていなかったので、
     丁寧なご返事を戴きうれしく思っています。

     ご返事を戴いてから思い出したので(思い出してしまったので)
     再度メールします(が、大変でしょうからご返事は結構です)。

     昔のデパートの食堂はデパート直営でしたね。
     今のように和食屋さんがここにあるとか、
     向こうにイタリアンだラーメンだという専門店がなくて、
     「大食堂」がありました、最上階だったかも。

     その食堂のテーブルに!

     (該当する干支によって投入口の違う場所に)10円入れると
     「おみくじ」が出てくる「自動販売機」。
     メロンぐらいの大きさの機械で、てっぺんは灰皿になっていました。
     おみくじは紙を巻いたもので、
     ストローのような(3センチぐらいの)物に入っていました。
 
     ガチャガチャの前身でしょうか、

     10円を入れてグルッとまわすとピーナッツが出てくる機械もありました。
     マーブルチョコバージョンもありました。
     お弁当に使う銀紙のカップを受け皿に。
 
     当時買ってもらったことがあったかなかったか、定かではありません。

     うどんの自動販売機は京王線幡ヶ谷駅近くにありました。
     幡ヶ谷から新宿駅まで、思い出しては笑い、
     でも人目を気にして我慢して、でも思い出して笑って・・・を、
     繰り返しました。

     そばは、どこだったか、思い出せません。

     懐かしいこと、思い出して楽しかったです。

     じゃあ、また。」


   
    おみくじとピーナッツ、
    デパートの大食堂に限らず、
    場末の食堂でもお目にかかるほど、
    よく置かれてましたよね。
    しかし、10円というのは、かなり当時のポイントですね。
    これも、20円か30円くらいになったところまでは覚えてますが、
    いつのまにか、姿を消してしまいました。


    ところで、フェビアンさんは、
    前号で触れた、レジで言葉をかけるのは当然のこと、
    コンビニに入る時には、
    「いらっしゃいませ」と言われたら、
    軽く頭を下げているそうです。   
  

    なるほど、これ、いいですね。
    店員さんを見て、軽く会釈。
    自然体でやらないと、
    かえって怪しい客としてマークされかねないから、
    自然にやるしかないし。


    お礼のお礼までいただいたうえに、
    返事はいらないと気遣いまでしてくださるフェビアンさんは、
    やはり素敵な方のようです。
       
    
    お言葉に甘えて、2度目のメールは差し上げませんでしたが、
    この場を借りて、御礼申し上げます。
    フェビアンさん、ご丁寧にありがとうございました。      


    今回はかっちゃん情報もお届けしようと思ったのですが、
    気がついたら、だいぶ長くなってしまいましたので、
    次号のお楽しみということで。

   
                           (ひとみ)
 
   
 



  
  ======================================================================
   
   発 行 日本の小粋な和みの暮らし「和・は・は」
       http://wa.hitokiwa.com/

    このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/を利用して
    発行させていただいております。

   
    ☆「いいとき生まれた!昭和30年代」(月1〜2回発行)
      バッグナンバー・購読・解除 http://blog.mag2.com/m/log/0000135400/
               または http://wa.hitokiwa.com/merumaga.htm      



    姉妹サイト やる気元気前向き!「あっぱれぷらすサイト」
        http://www2.ocn.ne.jp/~aps/
        よりこんなメルマガも発行しています。

   ☆「あっぱれ長屋のプラス話」(月1〜2回発行)
     バッグナンバー・購読・解除 http://blog.mag2.com/m/log/0000115032/ 
               または http://www2.ocn.ne.jp/~aps/  


   ☆「脱!惰性生活〜惰性で生きるな、自分を生きよう」(月1〜2回発行)
     バッグナンバー・購読・解除 http://blog.mag2.com/m/log/0000117051/
               または http://www2.ocn.ne.jp/~aps/
  

   
    ※メールはこのメールの返信ボタンをクリックすれば、
     返信用のメールが開きます。
     (件名はそのままでけっこうです。)


  ====================================================================== 
  



    
←前の号       →次の号

一覧から選ぶ


登録する



このページのTOPへ戻る









あっぱれぷらすサイト ぷらっとネットショップ


和ははホーム


今の日本を楽しむ和はは生活

懐かしの昭和30年代

幕末維新の時代

日本の物産名産入口

日本の旅

日本のエコロジー

こだわり国産品



日本の伝統文化を取り入れた和はは生活

日本の衣

日本の食

日本の住

日本の癒し

日本の美

日本の縁起物

日本を知る本

寄り道・和はは生活

松竹梅子の小遣い稼ぎの口入屋

メールマガジンのご案内

和ははの日本人講座

お休み処