「いいとき生まれた!昭和30年代」

メールマガジンバックナンバー

 


第74号 自動販売機は少なかったから


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        いいとき生まれた!昭和30年代  第74号     


                    2007. 3. 1      


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  日本が自動販売機大国になったのは、
  治安の良さが原因だとか。
  情けないことに昨今は、
  自販機荒らしというせこい人間も現れていますが、
  それでもまだ、屋外に設置されていて当たり前の国、
  という体面は保ててます。
  
  
  自動販売機の歴史はかなり古く、
  意外にも紀元前のエジプトにまでさかのぼるそうです。
  日本に登場したのは、1904年、
  切手やはがきの自動販売機が最初だそうですが、
  それでもかなり古いと思いますよね。
  だって、昭和30年代当時でも、
  自動販売機はあるにはあったけど、
  まだ、今ほどあちこちで見かけるものではありませんでしたから。
  だからこそ私達は、この自販機が普及、進化していく様を、
  つぶさに見てきたわけです。
  
  
  当時らしいもので、パッとすぐに思い浮かぶのは、
  上の透明容器の中でジュースが噴水みたいに吹き上げて流れ落ちている、
  紙コップ式のジュースの自動販売機。
  そちらのあなたも、こちらのあなたも、あちらのあなたも、
  覚えてますね。
  子供には目の毒でもあり、夢のようでもある自販機でした。
  
  
  自販機で一番ポピュラーに普及していったのは、
  やはり飲料品関係。
  缶、びん類の自販機は、
  比較的早く普及したのではないでしょうか。
  今とは違って、温度調節はできなかったから、
  夏はぬるく、冬は冷たく飲めるという特典付き。
  お札も使えないし、おつりも出ない、
  実にシンプルなものでした。
  
  
  缶そのものも、違ってましたね。
  ツメのついた小さな器具がついていて、
  これで開けて飲む。
  はい、これも、
  そちらのあなたも、こちらのあなたも、あちらのあなたも、
  覚えてますよね。
  
  
  この缶を、知らない世代に渡したら、
  どういう開け方をするか、
  面白そうな気もします。
  缶詰式に開けようと試みる人が多いかな。
  
  
  正解は、空気穴と飲む穴を、
  対角線上に開けるのですよね。
  あんな小さな穴から飲んでたとは、
  今思うと、しょぼい感じがしますが、
  特に出が悪かったということは感じなかったです。
  
  
  こうして、どんな自販機が登場しても驚かなくなるくらい、
  いろいろな自販機が開発されていきましたが、
  物議をかもしたのは、たばこの自販機の登場。
  未成年でも簡単に買えることが問題視されました。
  でも普及してしまいましたね。
  
  
  反対に、たばこ屋さんが減っているような気がします。
  もっともこれは、自販機の普及だけではなく、
  健康志向で喫煙者が減っていることもあるのでしょう。
  
  
  たばこ屋さんといえば、
  お芝居やドラマでは、
  おばあさんか看板娘が定番。
  実際には、おじさんやおばさんのこともあるのですが、
  なぜか多いです。
  
  
  もう一つ、不思議に思うのが、
  たばこを売ってる窓口は、
  なぜ間口の狭い専用窓口となってるのでしょう。
  他の商売もやって兼業しているようなお店でも、
  店の一角にわざわざそのような窓口を区切って作ってますよね。
  そうしなければならないという規定があるのでしょうか。
  ご存知の方、いらっしゃいますか。
  
  
  今は、そういうたばこ屋さんの窓口の外にも、
  たばこの自販機が置かれてるのが当たり前になりましたが、
  ふと思ったのです。
  昔なら、窓口が開いていたら、
  自販機ではなく、窓口に行くのが普通。
  
  
  でも、この間若い人が一生懸命、
  自販機で銘柄を探してるのです。
  探している間に、窓口で聞いて買う方が早いと思うのですが、
  今は、そういう感覚なのでしょうか。
  
  
  他の日には、補充中の自販機の前で、
  わざわざ待ってるおじさんまでいました。
  ついに、ここまできたか、と思ったのですが、
  実は補充しているのは店のおばさんで、
  それでおばさんから直接、
  入れているたばこを買っていたのでした。
  おばさんの
  「ありがとうございました」
  という声に送られて、
  「どうも!」と去っていきました。
  自販機では、こうはいきません。
  

  (しかし、それを見ていて、
   「そうか、昼間はお店のおばさんが自販機の中に入って売れば、
   どちらもカバーできるんだ。」
   と考えてしまったこちらのおばさんも、
   なんとかしないと。)
  
  
  人の手をわずらわせないで買えるのが自販機のいいところですが、
  人から直接買うよりいい、
  という人が増えているのは問題だと思います。
  
  
  会話のない買い物を普及させたのは、
  スーパーのレジ式会計の普及だと言われていますが、
  そこにも店員さんはいます。
  店員さんは、いらっしゃいませも、ありがとうございますも
  言ってくれます。
  これも、前回の返事と同じで、
  会話がないのではなく、お客の側がしないだけのこと。
  
  
  以前、大阪のかっちゃんさんが、
  品物やおつりを受け取る時に、
  お礼を言って受け取ってる人を見ると、
  こんなふうに年を取りたいと思う、
  というようなメールをくださったことがありました。
  
  
  確かに、ほんのたまにですが、自然に、
  お世話様、すみません、ありがとう、などという言葉が、
  出ている人がいます。
  で、私もこの間レジで受け取る時に、
  「すみません」と言ってみました。
  店員さんの雰囲気が、ふわっと和むのが、
  はっきりわかりました。
  考えたら当たり前のことなんだけれど、
  それだけ当たり前でなくなってるんだなあ、
  と思ったのです。
  と言うより、もっとすごいことになってることが、
  たまたまさっきやってたテレビでわかりました。
  それは後記でするとして…。 
  

  まだ自然に出てるところまでにはなれませんが、
  「はい」でも「どうも」でもいいから、
  ともかく、黙って受け取るのはやめようと思いました。
  個人商店だと、無言のままにはならないのですから、
  無意識のうちに、レジでは店員さんも機械の一部として、
  捉えているのかもしれません。
  
  
  今では、待たせないサービスの名のもとに、
  そのレジの店員さんまでいらなくなるような会計システムも
  登場してますが、それってどうよ、と思うのです。
  お客に対して、店の人間が直接ありがとうございますも言わない、
  お客のほうも、便利だ、わずらわしくないと歓迎して、
  なんの疑問も持たない世の中になったら、
  ますますお金だけの世界ということにならないでしょうか。
  便利だと喜ぶ前に、心が感じられないと思うほうが、
  先にこなくてはいけないと思います。
  心の交流より、お金の交流だけが優先される社会になれば、
  そのうち、自販機大国の名まで
  返上しないといけないことにもなりかねません。
  
  
  すみません。
  なんだか、またいつものごとく、話が脱線してますねえ。
  戻します。


  自販機化といえば、駅の切符もその洗礼を受けました。
  昔は、窓口の駅員さんから買ってましたよね。
  「○○まで、大人○枚、子供○枚」
  すると駅員さんが、並んだ切符を手際よく抜いて、
  ちゃちゃっと計算してくれました。
  
  
  でも、大きなイベントがあった時の最寄り駅、
  みたいな状況の時は、
  どうなっちゃってたんでしょう。
  そういう窓口がずらーっと並んでいたとはいえ、
  券売機でも、大混雑になってしまうのですから、
  すごいことになってたのではないでしょうか。
  
  
  そういえば、窓口で買ってる時代のこんな話があります。
  母が近所の奥さん方と連れ立って、
  遠出したときのこと。
  途中でJR(当時は国鉄でしたね)から私鉄に乗り換えることになり、
  私鉄の駅近くまで来ると、電車が来る気配。
  
  
  中でも、一番明るくて元気なおばさんが、
  「私、先に行ってみんなの切符を買っとくから!」
  と、若い頃、ソフトボールで鍛えた足でダッシュ、
  切符売り場の窓口に一目散に走りこんでくると、
  こう言いました。
  
  
  「○○まで!女4枚!」
  
  
  「はあ?」
  
  
  お互いに事態を飲み込むまでに、
  しばらく時間がかかったようですが、
  その後、追いついた母達も巻き込んで、
  大爆笑の嵐になったそうです。
 
 
  券売機では、こんな楽しいことは起こりませんわねえ。
  そういえば、肝心の電車には間に合ったのかな。
  
  

  
  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    あれこれ後記
  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  
  
  
  ◇すごいことになってるというのは、こういうこと。
   留学生が、これで戸惑うのだそうです。
 
   
   コンビニに行って、店員さんから
   「いらっしゃいませ、こんにちは」
   と言われたから、
   「こんにちは」
   と言ったら、怪訝な顔をされた。
   「ありがとうございました。」
   と言われたから、こちらも
   「ありがとうございました。」
   と言ったら、
   また怪訝な顔をされた…と。

   
   確かに、入店時、
   店員さんから言葉をかけられて、
   返す人は、ほとんどいないですね。
   店員さんも、別に期待していません。
   でも、外国の人には、それがわかりません。
   
   
   いかに、日本人が、
   日本人お得意の、暗黙の了解みたいなものですませて、
   当たり前のことを忘れているかです。 
   

   番組自体は、敬語の使い方を取り上げていたもので、
   若者が、心が入ってないただのマニュアル言葉としてしか受け止めてない、
   ということを指摘していました。
   でも、言われても答えないのが当たり前の社会にしていることも、
   それを助長させた一因じゃないかと思います。

      
   だから、せめてレジで受け取る時くらいは、
   黙って受け取るより、言葉が返るのが普通の社会に戻さないと、
   国際的にも恥ずかしいのではないでしょうか。
   
   


  ◇我が家の前の家が、
   空きスペースに自販機を置いてます。
   ある日の夜、小学生くらいの男の子がやって来ました。
   自販機に千円を入れたのに、何も出てこないと言うのです。
   試してみると、
   確かに調子悪いみたいで、
   千円が戻ってきてしまいます。
  
  
   でも、その自販機は、スペースを貸してるだけなので、
   その家には鍵がなく開けられません。
   そこで、その子には、
   1本買って渡し、おつりの分も立替えてあげました。
   翌日、会社に故障の連絡をして来てもらい、
   中を開けたところ、
   千円札なんて入ってなかったそうです。
  
  
   千円が戻ってきてしまうことから、
   そんな嘘をつくことを思いつく小学生って、
   どんな大人になるのでしょう。
   もし、その場で開けられたら、
   どういう言い訳をするつもりだったのでしょう。
  
  
   昔みたいに、
   お札も使えないし、おつりも出ない自販機だったら、
   起こりえないことでした。
   まさに、便利さを追求すれば、
   失うものもあるということですね。
   しかし、心寒い話です。
  
  
   寒くなったままではなんですので、
   暖かくなる話もしましょう。
  
  
   ホームセンターのレジで、
   ものすごく丁寧な若い男性を見かけたことがあります。
   それが、まるで初めてレジで買い物するのか、
   という思えるくらい、
   謙虚さと緊張が入り混じっているのです。
  
  
   店員さんが「いらっしゃいませ」
   というと、
   「あ、どうも」と恐縮して、お辞儀。
   金額を告げられると、
   「はい」と返事して丁寧に渡す。
   袋を受け取る時も、
   「あ、どうもすみません」
   と、またお辞儀しながら、
   恐縮しまくって受け取ってました。
  

   丁寧なのはいいけれど、
   そこまで恐縮する必要もないと思ったのですが、
   なんだか、ほほえましい光景でした。
  
  
   それとも、会計をしていたレジのおばちゃんに、
   気があったのか?
  
  
  
  ◇幼稚園児くらいの子供をつれたお母さんたち。
   子供はみんな女の子で5、6人。
   子供達は、仲良しさんみたいで、
   二人くらいずつ手をつないで行列になり、
   みんなでひな祭りの歌を楽しそうに歌いながら、
   駅近くの繁華街を歩いてました。
   可愛くて、和みました。
 
  
   その中に、一人のお母さんが混じり、
   同じように、つないだ手を振りながら、
   恥ずかしげもなく大声で歌って歩いているのを見たら、
   おかしくて、もっと和みました。
   でも、きっといいお母さん。
                        
                                 (ひとみ)
 
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