「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第73号 返事する社会


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        いいとき生まれた!昭和30年代  第73号     


                    2007. 2. 8      


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  幼稚園でも、学校でも、
  最初にするのが出席をとること。
  その際に、
  「お名前を呼ばれたら、「はい」と元気良く手をあげてくださいね」
  なんてことを、誰もが言われるものです。
  

  呼ばれたら返事をする、ということは、
  社会生活の基本として教わること。
  でも、今は、大人になると、
  だんだん忘れてしまう人が増えています。

  
  昭和30年代は、まだ大丈夫でした。
  それは、子供の躾の中だけのことではなく、
  社会全体に、しっかり根付いているものでした。
  
  
  だって、思い出してください。
  当時、どこかの窓口で待っていて、
  名前を呼ばれると、
  大人たちはみんな、「はい」と返事をしてませんでしたか。
  金融機関でも、役所でも、
  窓口で名前を呼ばれたら返事をするというのは、
  反射神経に近いくらい浸透してました。
  
  
  もちろん当時だって、しない人もいます。
  でも、その時は、子供でも感じる妙な違和感が漂いました。
  顔をあげて、その人を見る大人もいました。
  そのくらい、当たり前の常識だったのです。


  呼ばれたことに応えて返事をする。
  それは、投げられた球を受け取って返すこと。
  返事をしないことは、
  投げられた球をとらず返さないキャッチャーみたいなもの。
  
  
  ちゃんと立ってきたんだから、受け取ったのはわかるだろう。
  それが今の感覚ですが、 
  無言でぬっと立っていくことだけでは、
  受け取る構えをしただけのこと。
  投げられた球は、どこかに転がっていってしまってます。
  受け取って返す事を、返事と言うのですもの。
  
  
  自分が投げる方になってみれば、
  自分の球を臨機応変にキャッチして返してくれる人と、
  構えはしてるけど、
  ここへ入れないから悪い、
  だから返せないんだといわんばかりの人と、
  どっちに球を投げたくなるか、
  わかると思います。
  
  
  だから、返事があると、
  明らかに雰囲気が良くなります。
  気が通い合うということではないでしょうか。
  そういう些細なことからも、
  あの時代の、ほんわかした空気は生まれていたのかもしれません。
  
  
  たかだか「はい」の二文字に隠されている力は、
  馬鹿に出来ないものがあると思います。
  
  
  私は、窓口などで、
  今日は混んでいて時間がかかりそうだな、
  なんてときには、
  暇なので、どれだけ返事をする人がいるか、
  見ているときがあります。
  (嫌な奴でしょ。
   でも、暇つぶしにはもってこいなの。)
  
  
  確率は、多い時で5,6割くらい、
  平均して2,3割というところでしょうか。
 
 
  そして、もう一つ発見しました。
  返事をする人で、暗そうな人、
  人の悪そうな人はいないということです。
  もしかしたら、返事をするから、
  そう見えるのかもかもしれませんが、
  それはそれでいいことですからね。
  
  
  名前を呼ばれた時だけでなく、
  会話で返事をする時も、「はい」は重視されましたよね。
  「うんじゃなくて、はいでしょ。」
  誰しも必ず言われたことがあるんじゃないですか?
  (まあ、そういうことを言われるときは、
  たいてい叱られてる時ですけど。)
  
  
  これは、相手の投げた球を、
  いいかげんな格好で受け取るのではなく
  丁寧に受け止めて返しなさい、ということでしょう。
  言葉遣いとしての躾だけではなく、
  言葉のキャッチボールをきちんと行う大切さということも、
  教えているわけですね。
  
  
  もちろん、今でもこういう躾はされてるでしょうが、
  子供から見れば、
  今は、そういうことが自分の中に入りやすい社会とは
  いえないと思います。
  
  
  当時
   名札をでかでかと下げて通園、通学をし、
   「名前を呼ばれたら、はいとお返事しましょう。」
   と教えられる。
   社会生活を見れば、大人は確かに、
   呼ばれたら返事をしている。
  
 
  そんな社会で育った私達。
  
  
  現在
   名札を下げて道を歩くのは危険行為。
   「名前を呼ばれても返事をしてはいけません。」
   なんてことを教えられ、
   社会生活を見れば、大人は確かに、
   呼ばれても返事をしていない。


  そういう状況で、
  「返事ははいと元気良く」
  なんて言われても、
  小さな子供は混乱することでしょう。
  
 
  今では、家族間、友人間でも、
  言葉のキャッチボールがきちんと行われていない場合が増えてます。
  だから、おかしな人も増えてきて、
  街中で知らない人とうかつに言葉を交わせない要因を作り、助長させ、
  ますます人々が、簡単なキャッチボールさえ、拒否し出す。
  そんな悪循環にはまってしまってるのが、
  現在だと思います。

    
  言葉のキャッチボールがスムーズに行われている状態というのは、
  人間関係がうまくいってるということですよね。
  知らない人とだって、同じことではないでしょうか。
    
  
  私の窓口観察レポート(?)から、
  もう一つ、付け加えたいことは、
  返事のある確率が高い時というのは、
  つられてする人が増えるという現象が起きている場合も
  あるのではないか、
  ということです。
  

  返事をしない人ばかりだったのに、
  一人二人、返事をする人が続くと、
  今度は返事をする人が増えてくる、
  という場面に、何回か遭遇したことがあります。


  だから、する人が増えていけば、
  また、それが当然の社会に戻ることだって、
  ありえなくはないと思います。
  
  
  昭和30年代には、確かにあったあの光景を、
  習慣として復活し、次世代に残していく。
  それは、やはり、その時代を知っている人間の役目だと思います。
  
   
  天邪鬼な私は、
  誰もしてないとなると、
  意地でも言ってやるぞ!
  と思ってしまいます。  
  そこから、返事の連鎖が起きたりすると、
  けっこう嬉しい気分です。


  もっとも、それは私につられてのことではなく、
  偶然に、いつも返事をしてる人が続いてるだけ、
  のことかもしれないのですけどね。

  
  でも、ものごとは、なんでもいいほうに
  解釈しておいたほうが、
  幸せですもん!
 
    
  あの時代に戻るのは不可能なことですが、
  あの時代の心に戻ることは、
  忘れていることを思い出すだけです。   

  



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    あれこれ後記
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  ◇ある人の話。
   病院で待ってるとき、
   前を通った男の子が、おもちゃを落としたので、
   「これ、ぼくのじゃないの?」
   と教えてあげたら、
   その子が「あ、そうだ!」と受け取ったまでは良かったそうです。
   その後、側にいた母親に向かって、
   「僕、知らない人と話しちゃった。」
   と言ったそうな。
   でも、その母親、そのことを訂正することも、
   ましてや、その人にお礼を言うこともなく、
   黙って、子供の手をひいて行ってしまったとさ。
   あー、やだやだ。
  
  
   そんな話を聞いた数日後のスーパーのエスカレーター。
   以前、エスカレーターの話の時の後記に、
   親がほったらかしてる幼い姉弟騒動の話を書きましたが、
   あの場所で、
   またもや、親が目を離している別の幼い姉妹を発見。
   今度は、怖がって座り込んでる妹を、
   お姉ちゃんが無理やり手をひいて
   ひきずりこんで乗せようとしているのです。
   これは危ないと思って、
   また思わず「大丈夫?」
   って声をかけたんです。
   二人に、ぎょっとした顔をされました。


   いっそのこと、
   「早くお母さんのところへ戻らないと、怖い人に捕まっちゃうぞ〜。」
   って、言ってあげればよかったかしら。
   え?私が捕まる?
 
   
   そんなことがあって数日後。
   今度は駅のロータリーを歩いていました。
   私の後ろから、小学生の女の子が走って追い抜いていきました。
   その子の走っていく先には、自転車が止まっていたのですが、
   スタンドをきちんと立てていなかったようです。
   その子が走っていくのに合わせたかのように、
   スタンドが外れ、その子のほうへ倒れてきたのです。
   一瞬ひやっとしましたが、   
   幸い、子供の身軽な体で、とっさによけられたので、
   事なきを得ました。  


   その後です。
   そのまま走っていくかと思った子が、
   意外な行動に出ました。
   なんと、その倒れてきた自転車を
   起こそうとしているのです。
   自分のせいでもないのに、
   いいかげんなとめ方をしている非常識な人間の自転車を、
   一生懸命、持ち上げようとしている…。
   感動しましたね。


   でも、数日前のこともあるしなあ。
   でも、こんな小さな子が一生懸命、
   自転車を起こそうとしているのに、
   ちょうどそこを通りかかる大人の自分が、
   そのまま追い抜いていくなんてことができるか?
   そういう社会が当然と思わせていいのか?
   どうするんだ、ひとみ!


   3歩歩くと忘れる頭で、
   1,2歩歩く間に、これだけのことを考えられていたとは、
   我ながらびっくりものですが、
   とりあえず、
   自転車のハンドルを握りました。


   そこで、
   「そうだ、いきなり手だけ出したら、
   よけいびっくりされるかな?」と思い、
   口の中でぼそっと、
   「大丈夫?手伝おうか。」
   とつぶやき、ひっぱり起こしました。

  
   その子はすかさず後ろに回ると、
   スタンドを立てました。
   なかなか、気が利く子です。
   それを見届けて、すぐそのまま歩き出したのですが、
   よく考えたら、
  

    自転車を起こそうとしてたら、
    通りかかった人が、
    いきなり横からぬっと手を出してきて、
    なにやら口の中で、もごもご言いいながら、
    とりあえず手伝ってくれた。
    それが終わると、すぐ無表情で去っていった…。
  

   そっちのほうが、よっぽど不気味じゃないの〜。
  
  
   警戒されようが何しようが、
   にっこり笑って
   「えらいね。」
   の一言くらいかけてほめるべきだった、
   と後悔することしきり。
   これからはそうする。
   絶対、そうする。
    
  
   もう、こんなわけのわからない世に誰がした!
   あー、やだやだ。

  

  ◇前号の訂正が一つあります。
   「佐賀のがばいばあちゃん」の話で、
   「暮れの」とつけてしまいましたが、(ホームページでは訂正済)
   正しくはお正月ですよね。
   他のメルマガで、紅白でブレイクした「千の風にのって」
   のことを取り上げたい、なんて
   考えてたせいかも。(単に言い訳)
  

   翌朝、歯を磨いているときに、突然、
   あれ?もしかして、「暮れの」って入れたような…
   と、ふっと気がつきました。
   どうせ気がつくなら、なぜ発行する前に気がつけんかい!
   思わず、鏡の中の自分に突っ込んでました。 
  

   でも、間が抜けてて、思い込みが激しい私にとっては、
   こういうことは、別に珍しいことではありません。
   とはいえ、本当に間違って思い込んでいるときもあるから、
   困るんだな。
   
   
                             (ひとみ) 



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