「いいとき生まれた!昭和30年代」

メールマガジンバックナンバー

 


第72号 着こなしの暗黙の掟


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        いいとき生まれた!昭和30年代  第72号     


                    2007. 1. 18      


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  もし昭和30年代の目線で、
  今の街を歩く人々のファッションを見たなら、
  かなりだらしなくなってると感じるでしょう。
  「服装の乱れは、心の乱れ、嘆かわしい」
  と、思うかもしれません。

  
  もちろん、51号で取り上げたように、
  昔の外出はかなりおめかしして出かけたのにひきかえ、
  今はカジュアル化してるということもありますけど、
  普段着の着こなしでも、それは感じられると思います。
  なにしろ、当時は、今よりも、服装はこうあるべき、
  という暗黙の掟がたくさんありました。
  
  
  まず袖は手首、パンツ(当時はズボンか)は足首で、
  丈がきっちり合ってないと格好が悪い。
  これは、オーダーメイドやハンドメイドが当然の時代の
  名残りもあったのかもしれません。
  ボタンも、第一ボタンまで、
  きっちりとめる。
  裾が出てることも、
  だらしないし、野暮ったく見られました。
  当然、上着の裾から下に着ているものの裾が出ていることも、
  ズボンやスカートの上に、上半身に着ているものの裾を出すことも、
  もちろん下着の裾も、
  すべて、見えたら格好悪いものでしかありませんでした。
  
  
  だから、当時のぐれている若者というのも、
  今の感覚からすると、
  ヘアースタイルも服装も、
  現代の普通の人より、きちんとしていて、
  なんだかすぐ更生できそうな感じだったりします。
  
  
  色だって、白は夏の色と相場が決まってました。
  白い靴やカバンはもとより、
  白いスラックスやコートも、
  冬にはあまりありえませんでした。
  まあ、これには白は熱を逃がす色であるという
  実用性もあったのでしょうが。
  
  
  さらには、衣替えも今よりはっきりしていました。
  しかも、それが日付で、
  きっちり決められている国というのは、
  珍しいと思います。
  
  
  衣替えが近づくと、しまっておいた服を出して、
  外に干したりしたものです。
  それでも、衣替えの頃は、街を行く人の服から、
  樟脳の臭いがぷんぷんしていることも、
  よくありましたね。
  
  
  子供にしかない服というのもありました。
  たとえば、男の子なら半ズボン、女の子なら吊りスカート。
  どちらも短いのが子供らしくて、
  今みたいな長さはありませんでしたね。
  
  
  うちの母なんて、
  スカートのつりひものボタンの位置を決める時、
  「子供のスカートは、パンツが見えるくらいが可愛いのよ」
  という、今の世ではありえない暴論を吐いてました。
  
  
  そういえば、サザエさんとかでも、
  幼い子供などはパンツが見えるスカートはいていたなあ。
  とはいえ、さすがにそれは勘弁願いたく、
  子供ながらに阻止しました。


  もっとも、幼稚園の記念写真に1枚、
  普通に立ってるのに、片方の足にパンツが、
  見えてる写真がありますけどね。


  制服のスカートなので、
  丈が変わるわけはありません。 
  その日に限って、パンツがデカパンだったと推察されます。
  母よ、そこまでして、パンツを見せたいのかよ〜。
  しかも、よりによって記念写真を撮る日に…。
  まあ、それに気がついてない自分も、
  まぬけですけれど。


  かといって、長いスカートもはきませんでした。
  当時は、子供が膝丈くらいの長さをはいてるのは、
  あまり可愛らしい格好ではなく、
  膝丈は大人の長さ、と相場が決まっておりました。
  
  
  今は、小さい子供の服が膝丈くらいでも珍しくありません。
  反対に、女子高生たちが、
  パンツが見えそうな短いスカートをはいています。
  あれを見ると、
  パンツの見えそうな短いスカートを安心してはけた子供時代と、
  パンツの見えない長いスカートを安心してはけた学生時代を過ごせて、
  本当に良かったと安堵しています。
  
  
  しかし、子供のスカートが昔より長くなっているのに、
  お年頃の女子高生が、
  子供より短いスカートをはいて、
  可愛らしさを表わせていると思ってるのは、
  無防備というか、幼稚というか…。
  いけない、いけない、
  パンツから、話が脱線してしまってる。

  
  話を戻しますと、
  日本人がきっちりした服装から、
  なんでもありの変貌をとげるきっかけは、
  やはりミニスカート時代の到来からでしょうか。
  膝上10センチのミニスカートが発売されたのが、
  1965年(昭和40年)だそうですから、
  昭和30年代は、まさにきっちりした服装最後の時代
  ということになります。


  着こなしだけではありません。
  今は、気温がだいぶ変わってきたこともあって、
  衣替えも、ほとんど形骸化、制服にしか適用されません。
  見てるとその制服も、あいまいになってきているようです。
  
  
  もっとも、正直言って、
  私も含め、誰もが、そういう暗黙の掟がなくなって、
  多様化になったほうが、自由で楽だと思うでしょう。
  当時はNGでも今ならOKということは、
  たくさんありますからね。
  当時みたいに、暗黙の掟がたくさんあっては、
  着こなしの幅も狭まります。
  
  
  当時と比べたら、服装は乱れまくりに写るでしょうが、
  それを、「服装の乱れは、心の乱れ」
  という視点で見てしまったら、
  社会全体がかなり、乱れまくってしまうことに…、
  
  
  あれ?乱れてるじゃないの。
  当時と比べたら、
  確かに人心は、地に落ちて乱れまくってるじゃないの。
    
    
  きっちりした服装、着こなしが好まれた時代は、
  遊びの外出まで、きっちりしたものを着ていきました。
  でも今は、たとえ外出でも、必要でない限りは、
  楽な服装、自由な着こなしが、主流です。
 
  
  そして、気がつけば、当時とは、全く逆の感覚になってます。
  もはや、当時みたいなきっちりした服装、着こなしは、
  時に野暮ったく見えるほどになりました。
  
 
  もしかしたら、そこには、
  単に、自由になった、多様化した、
  ということだけでなく、 
  それを求める心の闇も隠されていたりして。
  このストレス多忙社会に、
  心が、きっちりしたもの、
  堅苦しいものを受け入れられる余裕をなくしてしまってる、
  とか。
  だから、服装がカジュアル化、自由化して、
  いい方へ向かったと思ってるけれど、
  心は悪い方へカジュアル化、自由化してる、とか。


  「服装の乱れは、心の乱れ」が、
  多くの日本人を蝕んでいるとしたら、
  スーツ苦手のカジュアル派の私も、
  間違いなく問題人ってことですわ。
  
 


 
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    あれこれ後記
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  お正月の「佐賀のがばいばあちゃん」
  ごらんになりましたか。
  本がとてもおもしろかったから、
  私も、楽しみにしてました。
  がばいばあちゃんの存在感が、
  ちょっと弱かったような気がしましたが、
  これは、泉ピン子さんの演技のせいではなく、
  脚本の影響が大きいと思います。
  それにしても、やっぱりいい話です。
  
  
  大阪のかっちゃんさんからは、
  ドラマを見ての鋭い指摘が届きましたよ。
  その部分だけ、拾い出しますと、
 
 
  「・広島駅はいくら昭和30年代の初めといっても、もう少し立派だったは
   ずだと思います。
   ホームが1本ということは無いし、あんな山の中の駅でも無かった筈
   です。


   ・剣道の練習風景がありましたが、子供の付けていた防具の胴が黒のフ
   ァイバー製の現代の物になってましたが、30年代は(特に前半は)竹の
   胴がほとんどでした。黒のファイバー胴は40年代半ば位から普及し始
   めました。

    (ひとみ注:かっちゃんさんは、剣道関係者だそうです。)


   ・途中、ちょっとだけ登場したミゼットはたぶん写真のミゼットじゃな
   いかと思われます。
   色もやけに綺麗だったし、車検のあるミゼットなんて日本中でもほと
   んど現存していないと思いますので、かなりの確率でそうだと思いま
   す。

    (ひとみ注:写真のミゼットとは、和ははで公開させていただいている、
          以前、送っていただいた写真のことです。)
         

   ・夏のシーンが多かったのですが、出来れば夜寝る時の場面で天井から
   蚊帳を吊ってあるのを見たかったです。
   テーブルのおにぎりには虫除け(正式な名前はわかりません)が掛けて
   ありましたが、さすがに蚊帳は用意できなかったんでしょうね。」



  いかがですか。
  テレビ局にそのまま送りたいくらいですね。
  それでも、かっちゃんさんも、ドラマは楽しまれたようですよ。
  

  そして、今もある昭和30年代面影写真を、
  また送ってくれました。
  さっそく、佐賀のがばいばあちゃんの世界として、
  これもアップさせていただきました。
  
  
  今回から、写真のページを分けました。
  1ページ目
   jararacaさんのロバのパン屋さんシリーズ
   かっちゃんさんのミゼットの写真(上記メールのミゼットの写真)

   http://wa.hitokiwa.com/photo.htm


  2ページ目
   かっちゃんシリーズ
    大阪のかっちゃんが行く 1丁目の朝日
    佐賀のがばいばあちゃんの世界 昭和30年代の生活 

   http://wa.hitokiwa.com/photo2.htm
   
  
  どうぞ、ご覧ください。 
  
  
         
  ◇最後の最後に、年始のご挨拶をするというのも変ですが、
   皆様、今年もよろしくお願い申し上げます。


   前号で書いたとおり、私は今年は年女ですが、
   猪は豚の原種で、同じ仲間ということで、
   他の干支のある国では、いのしし年というのは、
   豚という認識。
   つくづく日本に生まれて良かったと思う年女です。
  

   あるメルマガによると、  
   中国では、猪と言う言葉自体が、すでに豚を表わすらしくて、
   その証拠が、西遊記の猪八戒。
   そういえば、英語でもワイルドピックとか言われます。
   豚と猪を別の動物と認識してくれる日本は、やっぱりいい国だ、
   と思う年女です。
  

   そんな私は、なぜか、ぼたん鍋を食べてみたいとは思いません。
   丑年や酉年の人は、こういう感覚って、
   あるのでしょうか。
  

   そんな私は、猪が人を襲う事件を知るたびに、なぜか、
   「申し訳ない…」
   という気分になっています。
   申年や戌年の人は、こういう感覚って、
   あるのでしょうか。


   でも、年明けから、こんなことばかり考えていていいのでしょうか。
  
                                  (ひとみ)
  
  
  
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   発 行 日本の小粋な和みの暮らし「和・は・は」
       http://wa.hitokiwa.com/

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