「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第71号 お稽古事


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        いいとき生まれた!昭和30年代  第71号     


                    2006. 12. 26      


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  いつだったか、
  「私達は『今の子供はいいわねえ』と言われて育ったけれど、
  現在では『今の子供は可哀想ねえ』と言われている」
  みたいなことを書きました。
  
  
  これもその一つ、と思うのが塾通い。
  今の子供でなくて良かったなーとつくづく思います。
  もちろん当時だって、学習塾に行く子供はいましたけど、
  今よりずっと少数派。
  
  
  私のところは下町だったせいか、
  なお少なく、
  「あの子、塾に行ってるんだって」
  「わー、ガリ勉だ〜」
  という世界でした。
  (もちろん、それでいじめが起きるなんてことはありません。)
  ましてや、学校に上がる前から塾なんて皆無です。
  そんなことしてたら、逆に親の頭が疑われたでしょう。
  
  
  だいたい、塾に行かなくてはまともな学校に行かれない義務教育って、
  おかしいじゃないですか。
  塾の功罪は、子供を縛り付けることばかりではありません。
  逆に子供を解放してることもあります。
  夜の街に。
  
  
  当時は、夜遅くに子供が外にいるなんて考えられませんでした。
  だから、子供が外にいたら目立ちます。
  非行の芽も摘みやすかったのではないでしょうか。
  
  
  でも、今は塾通いの子供がいますから、
  10時、11時になって子供たちが外にいても、
  珍しくありません。
  だから夜遅くに、
  塾帰りとおぼしき子供たちが大声で話しながら、
  自転車で走っていくのも異常なことではありません。
  いや、異常なんだよ、
  勉強の前に、夜なんだから静かに帰れっていう常識を教えろ!
  (失礼しました。取り乱しました。)
  

  それに当時は、勉強関連にしても、
  学習塾より、そろばんとかお習字などに行く子供のほうが、
  多かったのではないでしょうか。
  これって、まさに読み書きそろばんを重視した江戸時代の寺子屋の名残?
  でも、基本となる脳の発達にいいことなのは確かです。
  
  
  それすら、学校にあがってから行かせる家が多く、
  学校に入る前から習うとしたら、
  塾系統より趣味のお稽古ごとのほうが主流だったように思います。
  
  
  私が生まれて初めてやったお稽古ごとは絵。
  なんていうと、高尚そうですが、
  幼稚園で講師を呼んで、絵画教室を開いていたのに入ったのです。
  いや、正確には、入らさせられたのです。
  なにしろ、私の描く絵は、
  親も絶句するほどの、すばらしい才能のなさが
  発揮されておりましたから。
  
  
  でも、絵を描くのが嫌いだったわけでもないので、
  お絵かき教室ならいいか、と思って入りました。
  年長クラスの一室が、絵画教室にあてられます。
  部屋の真ん中に果物など、その日描く物が飾られ、
  そのまわりに机を並べて、
  それを見ながら、レモンイエローの薄いクレヨンで、
  さっそく画用紙に描き始めます。
  先生が。
  
  
  え?私が描くのでないの?
  と不思議に思いつつ、
  さすが絵の先生だけあって、手際よく見事な絵が描かれるのを見ています。
  絵ができると、先生が、
  「これに色を塗ってね。」
  
  
  はい、お絵かき教室というより、
  塗り絵教室のようなものでした。
  もしかしたら、あまりにひどくて、
  まだ絵を描かせてもらえる段階ではなかったのでしょうか。
  おかげで、いまだに絵は描けませんが、
  色にはすぐ目がいく人間になりました。
  
  
  そんなある日、講堂をのぞいた私は、
  興味をひかれるものを見てしまいました。
  お寺のやってる幼稚園でしたので、
  ここには観音様が正面のカーテンの奥に鎮座ましており、
  毎朝、このカーテンが開かれて、
  全園児がこの前で、ののさまの歌を歌いました。
  3年間の幼稚園生活の間、休日以外は歌い通したおかげで、
  この歌、今でも歌えます。
  
  
  その講堂にずら〜とコの字型にオルガンが並べられ、
  みんながひいているのです。
  こちらは、某企業主催の音楽教室の集団レッスンでした。
  な、なんだこれは!
  おもしろそー!
  ひらめきを感じました。
  
  
  さっそく帰ると、開口一番、
  「オルガンをやりたい!」
  と言いました。
  「この子が自分からやりたいと言うのだから、
  この子には音楽の才能があるのかも!」
  絵の才能がないことはすでにわかっていたので、
  親はそう思ったかもしれません。
  絵をやめて、新規募集時に音楽教室に申し込んでくれました。
  
  
  さあ、いよいよ今日からオルガン教室。
  最初の曲に挑戦です。
  
  
  記念すべき1曲目は「ぶんぶんぶん」
  しかも、いきなり弾き語り!
  
  
  ♪ぶんぶんぶん はちがとぶ〜♪
  
  
  しかし、弾いてるのはドの音のみ。
  そう、音階無視で、
  このフレーズをドの音6回で終わらせる強引さ。
  
  
  ♪おいけのまわりに のばらがさいたよ♪
  
  
  ここにいたっては、オルガンにさわりもしません。
  手拍子のみ。
  宴会かあ〜。
  
  
  そしてその後の♪ぶんぶんぶん…は、またドを6回。
  
  
  あまりに強烈過ぎて、いまだに覚えてます。
  
  
  この教室は2年間で、親もつきそいで参加します。
  最初の1年は喜んで通い、
  後の1年はひきづられて通いました。
  それを終えたあと、希望者にはエレクトーンかピアノの
  出張レッスンをしてくれる先生を紹介してもらえました。
  で、エレクトーンを始めました。
  先生に来てもらえたせいか、
  これは中学生くらいまで続けられました。
  大人になってからも、
  この先生の自宅へ私が通う形で再開したこともあります。
  仕事が忙しくなってやめてしまいましたが、
  通算では10年くらいはやったでしょうか。
  そのわりには、
  今、何か弾いてみてくれと言われて、
  すらっと弾けるのは、
  「猫ふんじゃった」と、
  あの記念すべき「ぶんぶんぶん」しかありません。
  
  
  私は、本当はピアノをやりたかったのです。
  でも、ピアノは音がうるさいから、
  ということで、音が調節できるエレクトーンにさせられました。
  だから、ピアノだったらもう少しましになってたはずです。
  その証拠に
  あのピアノの名曲「猫ふんじゃった」は、
  習ったわけでもないのに、弾けるのですから。
  (われながら、かなりくるしい、とおもってます、はい。)
  
  
  おかげで、いまだに、
  すべてが月謝の無駄遣いだった、と言われています。
  ひらめきがあっても、
  やはり天才と凡人のそれには、
  大きな差があるようです。
  うちの母は、音楽記号なども、いまだによく覚えてます。
  一番月謝のもとをとったのは、母かも。
  
  
  親の知り合いの子供がバレエをやるから一緒にやらないか、
  と誘われたこともありました。
  でも、これは私はどうも気が進まなくて、やりませんでした。
  自分で、バレエという柄ではない、
  とわかっていたのかもしれません。
  でも、これは人生の失敗、不覚だったと思ってます。
  だって、もしやってたら、
  もう少しスタイルのいい人間になれてたかもしれないですもの。
  
  
  考えてみると、水泳教室とかの大きな設備を要するものは、
  今ほど一般的ではありませんでしたが、
  ほとんど、今とあまり変わらないお稽古事が、
  浸透しはじめたのが、まさにあの時代。
  でも、まだまだ子供の遊ぶ時間を圧迫するほどのものでもありませんし、
  何も習わない子供だって、珍しくありませんでした。
  
  
  何より、勉強関連の習い事の前に、
  まず趣味的なお稽古事が幅をきかせていた時代のほうが、
  よほどゆとり教育だったのではないのですかね。
  



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    あれこれ後記
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  ◇私の買ってた少女フレンドを、
   マーガレットを買ってる友人と貸し借りしていた話をしましたが、
   メールをいただいためのうさんは、
   お姉さんと毎週交代で、買っていたそうです。
   もちろん、お友達と交換もしていたそうで、
   みんな子供なりに、いろいろ知恵を働かせて節約していましたね。
   でも、それが大切なことなんですよね。
   

   めのうさんのご近所さんは、今も漫画好きな主婦の方が多くて、
   漫画が回覧される大ネットワークができあがっていて、
   今は買わなくても漫画がまわってくるそうです。
   めのうさんの順番は真ん中あたりみたいですけど、
   最後に行き着く頃には、かなりぼろぼろになっていそうです。
   出版社よ、主婦パワーをなめたらいかんぜよ。
   でも、ここまでして読んでもらえれば、
   出版社も漫画本も、ある意味嬉しいことでもあるでしょう。 
  
  
   少年漫画では、Oさんからこんなメールをいただきました。

   「当時の少年マガジンなどの漫画誌はベトナム戦争も継続中であり、
    米軍の武器の解説が巻頭グラビアで特集されたり、
    ゼロ戦隼人や紫電改の鷹などの太平洋戦争を題材にした漫画があり、
    戦争がまだ身近なものでした。
    この前三丁目の夕日の映画でも、
    戦争から無事生還したなどのせりふがありました。
    今は戦争がフィクションやゲームの感覚しか受けないような存在で、
    生きていることの大切さを感じない時代になってきているように思います。
    子供の漫画でさえ描き、
    戦争がまだ歴史になっていなかった時代が30年代だと
    ふと思い出しました。」

  
   そうですね。
   昭和30年代の社会では、大人はすべて戦争経験者、
   対して現代は、
   中高年層でも、戦争を知らない世代になってます。

  
   小学校の時に、先生が、
   「今はまだ戦争を知っている人がたくさんいるけれど、
   戦争を知らない人間ばかりになった時が怖い。」
   と言った言葉が、印象に残っています。
   その先生も戦争経験者ではありませんでしたが、
   平和教育は、教科書の範囲をこえていろいろ教えてくれました。
   この先生は、教育者として優れていて、
   今の先生にも聞かせてあげたいことはたくさんありますが、
   そういうメルマガではないので、機会があればおいおいに。

  
   そして今、本当にそんな世の中になってきました。
   広島と長崎に原爆が投下された日を知ってる高校生は、
   わずか29%だそうです。
   それどころか、
   日本に原爆が落とされたことさえ知らない人すらいるそうです。
   こういう人たちが、社会を運営する時代が来ます。
   愛国心を法律で押し付けるなら、
   平和教育で戦争の悲惨さをしっかり学習させて、
   日本を2度とこういう国にしてはいけないという意味での、
   愛国心を教えるべきなのでは?   


   政府の目指す愛国心がそっちの方向でないことは、
   憲法改正したがってることからも確かだなあ。

  
   かつて、一部の人間が、
   自分たちの都合のいいように歪曲して利用した結果、
   本来は悪い言葉ではない「愛国心」や、
   自国の国旗や国歌に、過敏にアレルギー反応を起こすという、
   おかしな体質が後遺症となってしまった国であることを、
   まず忘れないでほしいと思います。 
  
 
  
  
  ◇以前、美容院の話のときに、
   長年通っている今の美容院がなくなったら困ると書いた矢先、
   先生が入院してしまいました。
   

   でも、髪の毛がだいぶ伸びてきてしまったので、
   こうなったら近所でいいから、
   適当に見つけて行こう、と思ってたら、
   頭皮を傷つけたか、何かできたか、赤くなってて、
   そこにブラシがあたると痛いのです。
   そんなわけで、これが治るまで、
   どちみち美容院に行けない状況に。


   年内に治ってくれたらいいけど、
   このままでは、お正月をぼさぼさの頭で迎えることになりそうです。
   来年は年女なのに。
   それがどうしたと言われれば、どうもしませんけど。
   でも、なんとか、年内にかけこめるといいなあ。
    
   
   なんだかんだで、今年も暮れようとしています。
   今年も1年、ありがとうございました。
   皆様には、深く厚く御礼申し上げます。
   どうぞ、皆様、頭皮を傷つけることなく、
   良いお年をお迎えください。
                              

                              (ひとみ)
  


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