「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第70号 少女フレンド


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        いいとき生まれた!昭和30年代  第70号     


                    2006. 12. 5      


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  ひところ、
  背広を着た社会人が電車の中で漫画を読んでいる姿に、
  外国人が驚く、という話をよく聞きました。
  でも、さすが世界中で人気を集める漫画やアニメを生み出す本場の国
  ということで、納得…
  するわけはないか。
  
  
  そんな日本でも、
  昭和3,40年代当時は、
  車内で漫画本を読む大人なんて、
  見たことがありません。
  漫画雑誌と言えば、子供の読むものでした。
  
  
  そして、当時の子供であった私たちにとっては、
  その漫画雑誌は身近な存在。
  男の子なら、
  少年サンデー、少年マガジン、少年キング、
  女の子なら
  少女フレンド、マーガレット、りぼん、なかよし
  など、誰もが読んできたのではないでしょうか。
   
  
  私も、お小遣いで週刊少女フレンドは、毎週買ってました。
  りぼんやなかよしみたいな、
  付録つきの月刊漫画は、
  1、父と本屋に行くこと、
  2、運がいい日であること、
  という条件が揃わなければ、
  手に入れられませんでした。
  限られたお小遣い、
  駄菓子屋や引き売り屋台などで使う分を考えたら、
  そうそう漫画ばかりにかけられません。
  週刊漫画を1誌買うので、手一杯です。
  
  
  でも、庶民の子供は、
  幼くして、生活の知恵を身につけているものです。
  同じように、週刊マーガレットを買っていた友達と、
  お互いに、貸し借りをしていました。
  我ながら、感心するというか、
  いじらしいというか、泣けてくるというか…。
 
   
  当時の漫画は、プロの域ながらも
  今と比べると、
  全体的に絵も稚拙、
  ストーリーもわかりやすいものでした。
  中に星が輝いている、お目々ぱっちりの女の子の絵の時代でしたねえ。
  
  
  少年漫画のほうは、読み終わるとくれる人がいたので、
  一応こちらもサンデー、マガジン、キングとも、読んでいます。
  2号でちょっと書いたことのある、
  人形商の父のもとに商売の見習いにきていた、
  商売仲間の息子さんです。
  その頃はもう、部屋を借りていたので、
  我が家に同居はしてませんでしたが、
  仕事場で父に託してよこしてくれてました。
  でも、その人も高校をおりてから来ていたんだから、
  すでにその当時から、子供でなくても
  漫画を読む文化はあったということなのか。
  
  
  個人的には、少年誌の中では、
  サンデーが一番おもしろかった印象がありますが、
  やはり、私は少女漫画のほうがおもしろかったです。
  男兄弟がいるような子は、
  少年漫画のほうがおもしろいと言う子もいましたが、
  私はやはりそれだけ女の子らしかったのでしょう。
  (ということにしておく)
  
  
  最初は、30円くらいだった漫画週刊誌も、
  だんだんと値上げされ、
  50円くらいになったところまでは覚えてます。
  母からは値上げのたびに、
  「もうやめなさい」
  と言われるのが恒例行事でしたが、
  なんのなんの、やめるわけにはいきません。
  
  
  もっとも、本好きだったから、
  漫画以外の本もよく読んでたので、
  大目に見てもらってたということも
  あったでしょう。
  本気でやめさせるつもりなら、
  それでひくようなおっかさんではありませんから。
  今の子供が「ゲームばかりしてないで…」と言われるように、
  私たちは「漫画ばかり読んでないで…」と言われましたね。


  ところが、ある時、そんな母にとっての追い風ニュースが、
  新聞に載りました。
  こういう漫画雑誌が、教育上よろしくないという記事です。
  母はここぞとばかりに、禁止令を出しました。
  
  
  しかし、私としては、到底納得できるものではありません。
  少ないお小遣い(ここがポイント)から買っている唯一の楽しみを
  奪わないでくれ〜!と抗議をしました。
  
  
  すると母が妥協案を出しました。
  「じゃあ、お母さんが先に読んで、
  悪いところがないかを調べる。」
  まるで戦時中の検閲ばりのことを言い出したものですが、
  その提案に内心ほくそえむ私。
  
  
  「うん!それで、こことここは読んじゃだめって
   教えてくれたら読まないから。」
  もちろん、そんな気はさらさらありません。
  
  
  でも、さすがというか、当然というか、
  我が子の考えてることを、
  見抜けないような親ではありません。
  「いや、お母さんが読んで、
  いけないところは、破り捨てる!」
  
  
  げー!そんな〜!
  
  
  少女漫画を読む母、
  そして、それをびりびり破っていく母、
  考えただけで、どちらも恐ろしい光景だ、
  と思いました。
  
  
  それでも、買えないよりはましかと、
  その週、買ってくると、
  しぶしぶ母にさしだしたのです。
  でも、母は検閲とはいえ、
  そんな漫画に興味もないもんで、
  読むのも面倒だったのか、
  ちらと一瞥して、まあいいわ、ということになって、
  めでたし、めでたし。
  
  
  けれど、そもそも、
  あの当時の漫画の、
  どこが教育上よろしくなかったのか、
  さっぱりわかりません。
  むしろ、当時と比べたら、
  今の方が、よっぽどよろしくないのではありませんこと?


  すると、今の子供も、大人になったらそう思うんだろうか。
  教育上悪い、とするラインが、どんどん変わっていく。
  だから心配するべきなのか、
  だから心配しなくていいことなのか、
  うーん、これは奥が深いことかも。
  
  
  漫画雑誌にも、漫画だけでなく、
  読み物のページがありましたよね。
  実はここに、自分の通っていた学校が、
  載ったことがありました。
  
  
  ただ、いいことで載ったのではありません。
  学校のうさぎが殺されるという事件があったためです。
  今でも、こういう卑劣で許しがたい事件はなくなりませんが、
  昭和40年代始めの当時でも、
  たまにこういう悲惨な事件が起き始めてました。
  それが、自分の学校でも起きたのです。
  
  
  ところが、前にも書きましたが、
  根がミーハーなもんで、
  喜ぶべきことではないのに
  自分の学校が載っている!
  という事実にのみ感激してしまいました。
   
  
  その記事を読んでいた私は、
  おもむろに、机に向かって、
  うさぎの絵を描き出しました。
  つい、かわいそうなうさぎさんのことを、
  思い出して…。
  
  
  と言うのなら、わかりますが、
  私の頭の中は、
  実は全然別の想像の世界に入ってました。
  
  
  それは…。
  次号の少女フレンドに、
  うさぎの絵を描いている自分の写真。
  そして、その下には、
  「悲しみにくれ、殺されたうさぎの絵を描く、
  ○○小学校のひとみちゃん」
  という、コメント。
  そんな記事を思い浮かべて、
  浸ってたのです。
  
  
  ばかかあ、おまえは!!!
  うさぎを悼む前に、そんな自己中の世界に浸っててどうするんだあ!
  かわいそうなうさぎさんを、間接的にまた冒とくする気かあ!
  
  
  と、今の私なら、そのときの自分に言えるのですが、
  「あー、来週の記事にこうやって載せてくれないかなあ。」
  なんて、その時は本気で思ってたのです。
  
  
  でも、そんなことを、
  いまだにすごく覚えているのは、
  やはり、どこか変だぞという思いがあったからでしょうか。
  それとも、そういう記事にならなかったことへの、
  惜しい気持ちゆえ?
  
  
  そんなわけで、私の中の少女フレンドの思い出は、
  今は大御所となった漫画家たちの、
  若き日の作品ではなく、
  変な子だった自分の姿なのです。
  
  
  私と週刊少女フレンドのおつきあいは、
  都営住宅からの引越しと共に終わりました。
  都営住宅では、本屋は家から近く、
  また通学路上でもありました。
  発売日は、帰りがけに出ているのを確認して家に戻り、
  お金を持って、すぐ出直したものです。
  
  
  ところが、引越し先は、
  以前書いたように、当時はまだ自然もそれなりに残っていたところ。
  本屋なんて、バスに乗っていかなくてはないのです。
  そのバスも、近いバス停のバスは、
  1時間に1,2本しかなく、
  本数の多い路線のバス停に出るには、
  12,3分ほど歩かなくてはならない、という状態。
  それまでは、駅から近いところに住んでいましたから、
  同じ23区内でも、僻地にいるみたいでした。
  まあ、そういう場所だったからこそ、
  庶民でも、わずかな土地が買えたのでしょうが、
  この頃、このあたりの土地をたくさん買いあさることができたなら、
  今頃、左うちわでしたしょうな。
  

  もっとも、当時の私にとっては、土地より、
  少女フレンドが買えないことのほうが、
  切実な問題です。
  でも連載物が多かったから、
  本屋に行く機会がある時だけ買うのではおもしろくなくなって、
  週刊の漫画誌より、
  読み切り中心の漫画誌を選ぶようになっていきました。
  こうして、私の週刊少女フレンド時代は、
  小学校3年生で終わったのです。
  
  
  今は、地下鉄も通ってるし、
  当時からは想像もつかない街になりました。
  本屋も何軒かありますが、
  少女フレンドは、もうありません。
  
  


  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    あれこれ後記
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  前号の後記に、
  頭がぼけているのを、
  人のことは言えない、
  と書いておいて本当に良かった、と思いました。
  
  
  そば屋の出前の話を読み返したところ、
  頭で思ってることと、
  文字にしている内容が違ってるんですもん。
  「曲芸師並みの技」としたつもりなのに、
  「曲芸師並みの芸」となってました。
  そばやの出前は芸じゃありません。
  でも、言いたいことは、なんとなく通じるから、
  ま、いいかあ!
  
  
  と思ったら、後記の後の、
  フッター部分設定をまるごとはずしてました。
  でも、文を抜かしたわけじゃないし、
  あってもなくても関係ないところだし、
  ま、いいかあ!
  
  
  でも、いつもなら、
  たいてい予約配信にしてるから、訂正もできたろうに、
  その時に限って、即時配信で出してしまってるという間の悪さ。
  ま、いいかあ!
  
  
  と、「ま、いいかあ」づくしで出した前号。
  なのに、やけに読者さんが増えている。
  そのほうが好評なわけ?
  じゃあ、私のこれまでは、いったい何なの〜?
  とムンクの叫び状態になってたら、
  ウィークリーまぐまぐで、
  このメルマガを紹介してくださっておりました。
  恐縮です。
  
  
  新しく登録いただいた皆様、
  ありがとうございました。
  このメルマガでは、
  私個人の思い出や、当時の社会全体の様子などをとりあげております。
  
  
  このメルマガの既存読者さんからいただくメールで、
  よく書かれていることは、
  「昔のことをよく思い出すようになりました」
  ということです。
  
  
  昔のことを思い出すのは、
  脳の活性化には、とてもいいらしいので、
  そういう意味では、お役にたつかもしれません。
  (保証はいたしませんが)
  
  
  ただし、このメルマガは、2004年7月の発行から、
  ようやく今号で70号というスローペースです。
  最初は週1ペースでしたが、多忙になって、
  途中から月1〜2回ペースになってしまいました。
  ですので、バックナンバーでその効果をお試しください。
  
  
  バックナンバーは、まぐまぐさんでも公開してますが、
  HPのメルマガ紹介ページでは、
  題名をつけた一覧にしてありますので、
  内容を選んで、関心を持った号を読むことができます。

  
  http://wa.hitokiwa.com/merumaga.htm#itiran
  
  
  まあ、発行している本人が、
  一番ぼけてるようでは、
  脳活性化も怪しいかもしれませんが、
  私自身も、書いているうちに、
  いろいろ思い出してきたりしているのは事実です。
  
  
  昭和3,40年代の、
  子供時代に帰るメルマガとして、
  そして、時には、当時と比較して現代を見る社会派メルマガ
  (既存読者さんから、そこまでかっこいいもんではない、
  との声が聞こえそうですが)
  としても、よろしくお願いいたします。
  
  
  もちろん、皆様の思い出、感想など、
  メールもご遠慮なくお寄せください。
  それが、励みとなって、
  ここまで続けられた原動力になっております。
  
  
  地域によって、
  いろいろな差があったりすることがわかるのも、
  皆様からいただくメールのおかげです。
  また、メールは紹介させていただくこともございますので、
  ご承諾ください。
  
                                  (ひとみ)


  
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