「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第7号 幼馴染との遊び


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         いいとき生まれた!昭和30年代  第7号

                 2004. 8. 27


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  同じ棟の4世帯とは、やはり一番深い付き合いがありました。
  
  隣とその隣はすでに登場しました。
  
  残りの一世帯は、我が家とちょうど反対側の端になります。
  うちは女の子3人ですが、この家には、男の子が3人いました。
  上の二人は年が離れていましたが、
  末っ子のMちゃんとは、年が同じでよく遊んだ幼馴染でした。
  
  色の黒いおとなしい子で、母曰く、いつも私の言いなりだったと言います。
  もっとも私には、そんな言いなりにしていたつもりも記憶も毛頭ございません。
  ええ、決してございませんとも。
  
  このMちゃんと、後ろの棟に住んでいた、やはり同い年の男の子Kちゃんと、
  よく遊びました。
  しかし、ままごとのときだけは、Kちゃんはあまり参加してくれなかったよう
  で、ままごと遊びをした記憶があるのは、ほとんどMちゃんです。
  となると、やっぱりMちゃんは言いなりになってくれてたのだろうか?
  
  ままごとには、Mちゃんの他に、Kちゃんの弟やKちゃんちの隣の男の子など
  も時々参加してくれました。
  妹たちもまじえて、ままごとをした記憶があります。
  まあ、だいたいこういったメンバーが遊び仲間でした。
  
  ままごとは家の中でもやりましたが、表でござを敷いてもやりました。
  やられた方は多いでしょう。
  表でやるときは、砂のごはんや泥団子、野菜代わりの雑草を、
  古い食器や、空き容器や、そこらへんに落ちているものをうまく利用して、
  やったものです。
  ままごとセットなるものを買ってもらったのは、途中からでした。
  それはそれで嬉しかったですが、それでも工夫次第の廃物利用と併用していま
  した。
  
  今は、外でござを敷いてままごと遊びなんてできなくなったせいか、
  ほんと見なくなりました。
  そして、廃物利用のままごとも。
  でも、子供って本当はこういうのを考えながらやるのが得意なんですけどね。
  
  というわけで、MちゃんとKちゃんの3人で遊んだ記憶の中では、
  がぜん男の子的遊びが多くなります。
  
  たとえば、スーパーマンごっこ。
  風呂敷をクビのところに結わえて背中になびかせ、
  両手を広げて走れば、もう正義の味方のスーパーマン気分。
  だけど、スーパーマンだらけのスーパーマンごっこって、
  何がおもしろかったんだか…。
  まあ、時には小さい子たちを悪役にさせてた気もします。
  男の子たちは、時におもちゃの刀を持ってたりもしました。
  しかし、ちゃんばらをするスーパーマンって…。
  
  たとえばめんこやビー玉やこま。
  でも、私はおしとやかなレディですから、こういうのは持っていません。
  すると二人は、私に自分のめんこやビー玉をくれるのです。
  小さな紳士です。感激しました。最初は…。
  でも、私はおしとやかなレディですから、へたくそです。
  すぐ彼らの手元に戻ることになってるのです。
  道理で気前がいいはずだと気がつくのに、いくらもかかりませんでした。
  こまも、全然まわせません。
  というか、いまだになんで糸をまきつけて放り投げると、
  あんなに回るのかが不思議です。
  やっぱりおしとやかなレディには合わない遊びです。
  で、このあたりの遊びは、つまらないので私のほうが参加しなくなりました。
  
  たとえばザリガニとり。
  自然の少ない町中にも、ザリガニの生息する池があったのです。
  といっても、自然の池ではありません。
  土を掘っていった後に大きく開いた穴に、
  ただ水がたまっただけのところ。
  だからもちろん水はまっ茶色だし、よどんでいます。
  でも、なぜかそんなところに、ザリガニがいたんですよね。
  もっともこれも、ザリガニは触れないし、釣るだけ。
  とはいえ、小さな子だけで、そんな水辺で遊んでいたもんだと思うと、
  けっこう危なかったかも。
  すぐ横は道路だし、お友達の家の裏でもあったから、
  すぐに助けは呼べたろうけれど。
  
  たとえば虫取り。
  ポピュラーでよく見かけたのは、モンシロチョウかバッタかシオカラトンボ。
  モンキチョウやアゲハ、赤とんぼなんて見かけた日には、大騒ぎもんで、
  目の色変えて追いかけるのが、町中の子供です。
  あの時代、町中でも空き地や広場など、遊ぶ場所にはこと欠きませんでしたが、
  自然に関しては、今、自然の豊かなところに暮らしている子供より、
  貧弱な経験しかありません。
  で、時には蛾まで捕まえてみたりもしました。
  (蛾はいい迷惑だったでしょう。)
  
  それから、私が好きだったのは、まる虫遊び。
  団子虫とか便所虫とかいう、あの触るとくるりと丸くなる虫。
  つつくとくるんと丸くなるのがおもしろくて、
  わざわざ大きな石を、みんなでひっくり返して探しては、
  あわてふためく虫をつついて丸めてました。
  石をひっくり返すと、一緒にはさみ虫がいたりすることもあって、
  びっくりしながらも、好きでしたね。
  時には一人のときでも、そうやって遊ぶことがありましたから。
  今思うと、鳥肌もんです。
  
  それから夏の夕方には、カナブンが飛んできて、服にひっついたりしてました。
  飛んで火に入る夏の虫ってやつですね。
  これは、今ではすっかりお目にかからなくなりました。
  もっとも、今ひっつかれても困ります…。
  
  Mちゃんは女の子的遊びにも協力的でしたが、
  男兄弟のせいか、男のつきあいも大事にしてましたから(?)、
  男の子だけで遊ぶこともしっかりしていて、
  こうした男の子の遊びも得意でした。
  
  一緒によく遊んだMちゃんですが、
  私が9歳でそこを引っ越して数年後、
  残念なことに事故で亡くなりました。
  自動車工場だったか販売店だったかで遊んでいて、
  車用のリフトにはさまれたのです。
  大きくなって活動範囲も広がり、男の子だけで遊ぶようになってきて、
  そんなところにも遠征したのでしょう。
  でも、なぜそんなところで遊んでいたのかという思いで一杯です。
  新聞にも載った事故でした。
  
  おとなりだったおばちゃんが、引越し先に電話で知らせてくれ、
  あわてて新聞を見てびっくりしました。
  Mちゃんのお葬式に、もちろん母は私を連れて行こうとしました。
  でも、なぜか私は、頑として行く気になれなかったのです。
  冷たい子だと叱られ、自分でもそう思ったのですが、
  別れをするのが嫌とかいうことでなく、
  ただただ行きたくない気持ちで一杯でした。
  で、結局お葬式には、母だけが行きました。
  
  後日、おとなりのおばちゃんが、引越し先に遊びに来たとき、
  母に、私を連れてこなくて正解だったと話すのを聞きました。
  当然のことながら、Mちゃんのお母さんの落胆は想像以上に激しく、
  私を見たら、なお思い出して悲嘆にくれてしまっただろうと言うのです。
  
  Mちゃんが、私にそうさせたのでしょうか。
  でも、なぜあの時行かなかったのかという思いは、
  私の中に今もあるのです。
  
  当時の人たちの消息もわからなくなった今となっては、
  どうしようもできないことですが。
 


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    編集後記
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  ◇このメルマガで昔のことをいろいろ思い出すようになったせいか、
   Mちゃんのことも、最近よく思い出します。
   幼くして逝ったMちゃんを思うと、
   中年になったと嘆くことよりも、許される命あることを感謝して、
   Mちゃんの分も、一生懸命生きなくてはいけないなあと思います。
  
  ◇都営住宅から、隣の区に引っ越したのは昭和43年ですが、
   当時はそこには自然が残ってました。
   夜は蛙の大合唱、用水路のみじんことか、レンゲ畑、からすうり、
   ノビルとか、肥溜めとかにも出会えました。
   23区内にも、まだまだそんなところがあったのです。
   それでも、海や山のあるところで育った人に比べたら、
   貧弱な自然体験です。
   もちろん、それらはほどなくみんな消えてしまい、
   あっという間に、どこにでもある住宅地になりました。
   もっとも自分たちも家を建てて引っ越したんだけど…。
                             (ひとみ)




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