「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第65号 盆暮れの帰省


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        いいとき生まれた!昭和30年代  第65号     


                    2006. 8. 24      


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  大停電に見舞われたお盆の東京。
  突然、すっとテレビが消え、部屋の電気が消え、
  洗濯機が止まり、ブレーカーでもとんだか?と見に行ってしまいました。
  今時、台風が来ても停電なんてないのに、と思いつつ。


  近所の人も出てきて、
  「クーラーがきかなかったら死んじゃう」
  と騒いでいたけれど、
  クーラー嫌いの私は、
  「私は、平気だもんね。」と余裕です。


  でも、よく考えたら、
  私の好きな扇風機だって回らないと気がつき、
  「ぎゃおー!」
 

  幸いにも、我が家のあたりは、
  10分ほどで復旧してくれて、
  テレビで初めて、
  この停電が東京中ということを知りました。
  原因がわからないということで、 
  もしかしてテロ?なんて心配も。
  

  ところがどっこい、
  ふたをあければ、船がひっかけただけだというではないですか。
  しかし、まさか大事なライフラインが、
  川の上にむきだしという
  無防備なものとは思ってなかったです。
  簡単に東京を混乱に陥れられるじゃないのねえ。
  危機意識を持ってちょうだい。

 
  そういう自分も、電気がこなくては、
  情報がわからないことを実感。
  災害対策は、やっぱり大切だ〜。
  

  そんな騒ぎをよそに、お盆にはどこかに出かけて、
  楽しまれてた方もたくさんいらっしゃるでしょう。
  帰省されてた方も、いらっしゃるでしょうね。
  盆暮れの時期は、
  ニュースでも、必ず帰省ラッシュをとりあげます。
  でも、昭和30年代には、この帰省ラッシュが近づく頃になると、
  もう一つ話題になるニュースがありました。
  
  
  それは、駅に寝泊りする人たちです。
  といっても、ホームレスのことではありません。
  帰省時の切符を手に入れるために、
  発売開始日の前になると、駅に泊まり込んで、
  順番取りをする人々が、たくさんいました。
  
  
  帰省の前から、大変な苦労、
  切符を手に入れるだけで、もう疲れ果てそうです。
  しかも、無事切符を手に入れて帰省する時も、
  列車の速さや乗り心地は、今と比べたら疲れやすいもの。
  とはいえ、当時の大人は戦争経験者ばかり。
  戦時中の列車事情に比べたら、
  天国のようなものだったでしょう。
  
  
  我が家も、盆暮れには、
  両親の出身地の愛知に帰省することが多かったですが、
  車で行くことがほとんどでした。
  家族5人となると、車のほうが安いですから。
  
  
  全員が鉄道で行ったのは、新幹線が開通して、
  ものめずらしい時期だけ。
  父が行かないときは、運転手がいませんから、
  否も応もなく鉄道になりますが、
  そういう時は、盆暮れ以外の時期に行くので、
  並んで切符をとる必要もないわけです。
  そういうわけで、我が家では、
  この行列に並んで切符をとるということはありませんでした。
  
  
  車で行くと便利なのは、交通費の問題だけではなく、
  荷物事情もあります。
  通常の荷物のほかに、子供3人という動く荷物があるのです。
  まとめて車で積んでいったほうが楽なのは、今も同じ。
  

  でもそれ以上に好都合なのは、行きよりも帰り。
  車なら、くれるというものを、
  なんでもかんでも片っ端から積んでこられます。
  田舎に行けば、多数の親類がいます。
  みな、「東京の暮らしは大変だろうから、持っておいき」
  とばかりに、食料から何から、気前よくバンバンくれます。
  母は、ことわるということを知らないのか?と思うくらい、
  なんでもかんでも、喜んでもらってきます。
  そんなわけで、帰りの車は、トランクはもちろん、
  座席の足元まで、積めるだけ積めきった荷物満載の状態になってました。
  これだけもらえば、ガソリン代のもとは、
  充分取れるだろうというくらいです。
  さらに、私たち子供には、お小遣いまで。
  まるで、一家総出で、物乞いに来てるようなものです。
  あ、これも今も似たようなものですか?


  とはいえ、車で行くのもいいことばかりではありません。
  当時は、まだ東名高速がありませんでした。
  ですから、東京から愛知まで、
  ずーっと一般道を行くわけです。
  もちろん、道も混みます。
  で、所要時間は、ざっと見込んで、
  12時間ほどはお覚悟あそばせ、
  ということになっておりました。
  
  
  でも、自分の中では、
  そこまで長くかかってた覚えがないのですが、
  父が言った一言で納得。
  「おまえらは、いつも途中で寝ちゃったからいいけどな。」
  なるほど。
  しかし、ひょっとしてその言い方、恨んでます?
  
  
  でも、私は車に酔いやすい性質だったから、
  寝てしまったほうがよかったのです。
  ふだん、近郊に遊びに行くときだけでも、
  酔うことがあるのに、
  その車に、長時間乗っていなくてはならないのです。
  大人が、寝泊りして切符をとったり、
  長時間運転の戦いをしているように、
  私にも、私なりの戦いがありました。
  
  
  だから、私は電車で行くほうが好きでした。
  でも、
  鉄道「交通費がかかる、荷物をたくさんを持ってこられない」と、
  自動車「所要時間がかかる、ひとみが酔う」
  を天秤にかければ、
  ひとみは酔ったら酔わせときゃいいから、
  あとは時間の問題だけ、
  よって、2対1で車に決定、
  となるのは、決まりきったことでした。
  子供が酔うから、電車にしてあげよう、
  なんて過保護にしてくれる親でもないことは
  こちらも承知してましたけど。
  
  
  大きくなれば自然に治るといわれたとおり、
  本当に治りましたけど、
  子供だったこと、
  車が今より揺れやすかったことに加え、
  当時の車は独特の臭いがあって、
  それも酔いを誘う一つの原因になっていたと思います。
  だから、本気でうちの車をスポーツカーにしてほしい、
  と思ってました。

  
  ほら、当時のスポーツカーと言えば、
  屋根のない、今でいうオープンカーがほとんどだったでしょ。
  よって、私の中では、スポーツカーといえば、
  屋根がない車という感覚だったのです。
  
  
  しかし、バリバリのスポーツカーに、
  おっさんとおばさんと、
  3人のガキンチョと荷物が満載に乗っている図、
  実現してたら、これほど似合わないものはなかったっすねえ。
  その前に、そんなに詰め込めないってか?

  
  でも、そんなスポーツカーは、車に全く興味のない姉妹にとっても、
  憧れでした。
  遭遇すると、窓に張り付いて見たものです。
  乗っている人は、サングラスやスカーフをしていたりして、
  昔風に言えば、「すかしてる」格好でしたけど、
  考えたらあれは、風を直接受けるから、
  必需品でもあったわけですな。
  
  
  そんなスポーツカーを見送り、
  普通の乗用車に乗っている酔いかけてきた子供は、
  窓のハンドルをせこせこ回して窓を開け、
  (今の子供には意味が通じません。)
  鼻先を突き出して、深呼吸しておりました。
  窓と言えば、昔の車には、
  前方の両横に、三角の小窓があるのもあったな。
  
  
  今は、切符を手に入れるのも、
  家にいながらにして出来ます。
  新幹線網も増えたし、
  在来線だって、乗り心地もかかる時間も、
  当時より格段に良くなってます。
  荷物も送っとけば、手ぶらでも大丈夫、と
  同じ帰省でも、だいぶ様変わりして便利になりました。
  
  
  それでも、混雑はあるわけで、
  その中を帰省していく人たちを見ていると、
  やっぱり、大変そうだなあと思います。
  人間、いくら楽になっても、
  常に大変な部分に目が行ってしまう
  生き物なのかも。
  
  
  と言いつつ、年とるまでに、
  行き先を指定するだけで、
  あとは乗ってるだけでいい車、
  (ついでに、駐車場見つけて、
  車庫入れもしてくれ)
  そんな車が、手軽に手に入る時代になっているのを、
  ひそかに期待しているペーパードライバーの私。
  


  
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    あれこれ後記
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  ◇嬉しいことに、いつでもどこでも、
   行き放題の旅ができるようになりました。
   おかげさまでこれからは、
   日本はもとより、世界中を自由にまわれそうです。
   ただ一つだけ問題があって、
   上から眺めるだけで、地上には降りられません。 
   それだけが残念です。

  
   なんて、実を言いますと、
   上空から地上を眺められる無料ソフト、
   Google Earthでの旅なんです。   
   英語版しかなくて敬遠してたのですが、
   妹から、車までわかると教えられ、
   ダウンロードしてみました。
   自分の家までわかってびっくり。
   
   
   そこで、ふと思い立って、
   このメルマガの中心になっている、
   9歳まで住んでいた場所を見てみました。


   まるで変わってることは、想像してましたけど、
   面影なんて、ちらとも残っていません。
   すっかり違う町。
   見覚えのあるものも、まったくありません。

  
   しかし、日本の建築業界、日本中をこの調子でぶっ壊して、
   建てかえてんだから、よっぽど儲けてまんなあ。

 
   なんだか、見てたらさみしくなってしまいました。
   考えれば、ここに限らず、この日本で、
   昭和30年代当時の面影が残ってる場所なんて、
   ほとんどないのです。
   それは承知しているのに、
   私にとって、あの町は、
   やはり昔の面影を求めてしまうところなんですね
   
   
   うさぎ追いしかの山、こぶな釣りしかの川
   なんていうふるさとは、残念ながら私にはないけれど、
   頭の中に今もある、あの頃の街並みが、
   私の思い出のふるさとなんだ、
   ということは、よくわかりました。

   
   隣の区だから、行こうと思えばすぐ行かれる距離なので、
   いつか行って見ようとは思ってましたが、   
   やっぱり、あのときの記憶のままにしといたほうが幸せかも、
   なんて気持ちになりました。
     

   それとも、地上を歩いたら、何か見つけることができるかな。




  ◇数ヶ月前には、背中をのけぞらせる人が続出した日本でしたが、
   今度は、青いハンカチで汗をぬぐう人が急増しているようです。
   個人的には、東京代表が勝って嬉しいとはいえ、
   今年の決勝はどちらも優勝させたかったくらいですね。


   もう一つ、個人的にうけてたことが、両校ピッチャーの名前。
   早実のゆうき君、苫駒のまさひろ君。
   漢字は違うのですが、偶然にも、
   ゆうきは甥の名前、
   まさひろは、その父親、つまり義弟の名前なんです。
   結果は、ゆうきの勝ちとなりましたようで。
 
 

 
  ◇3回続ける話で恐縮ですが、
   「おまえのかあさん出べそ」の前につける言葉、
   大阪の、「あほ、ばか、ちんどんや」バージョンは、
   和歌山でも使われているそうです。
   やはり、近畿圏では、あほバージョンのようです。


   愛知までは、「ばか、かば、ちんどんや」バージョンみたいなので、
   境界は、三重、岐阜あたりにあるのでしょうか。
   日本海側の境界は、どうなんでしょう。


   と思ってたら、なんと、
   山口では、ばかバージョンだそうです。
   もしかして、この2種類以外の言い方もあるかもしれません。


   結論
   ことは、思ったより、複雑そうである。
                    (こんな結論でいいんかいーひとみ)
   
   

   


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