「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第62号 今昔犬の飼い方


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        いいとき生まれた!昭和30年代  第62号     


                    2006. 6. 22      


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  今日は人ではなく、犬の話です。


  以前、都営住宅でも、
  生き物を飼っている家が多かったことにふれたことがありますが、
  我が家も例外ではありませんでした。

  
  最初に我が家に来たのは、
  昭和30年代の代表的な犬、スピッツ。
  ある日、父がもらってきました。
  狂喜乱舞の私たち姉妹。
  
  
  ところが、父が玄関におろしたとたん、
  この子はゲーゲーもどしてしまい、
  これは体が弱いからだめだ、
  ということで、私たちの反対もむなしく、
  次の日、あっさり元の飼い主のところへ
  戻されていってしまいました。


  今、思えば、
  単に車に酔っただけだったんではないかとも
  思うのですが。
  
  
  そうして、犬を飼うことはあきらめてたある日、
  父がまた、犬をつれてきました。
  
  
  再び、わーい!
  と、いきたいところでしたが、
  問題は、今度の犬がボクサー犬だったことです。
  ドイツ原産で、
  雄牛かみ犬と言われた狩猟犬を祖先に持ち、
  そこへ、土佐犬みたいな風貌のマスティフやブルドックを
  かけあわせて産まれた品種となれば、
  強面なのは想像できるでしょう。
  ドイツの人もそう思ったのか、テリアの血も入れました。


  ですので、今見ると、
  強面ながらもけっこう愛嬌ある面がまえだと思うのですが、
  当時はそこまでわかりません。
  体はスマートで、狩猟犬の血か、俊敏な動きをします。
  体の大きさも、ドーベルマンをひとまわり小さくしたくらいになりますので、
  子犬のうちでも、人間の子供から見たら大きく見えます。
  軍用犬や警察犬として使われる犬だそうですから、
  スピッツみたいな愛玩犬とは訳が違います。
  で、犬初心者の子供としては、
  怖いほうが先に来てしまいました。
  
  
  しかも、冷蔵庫には、
  その日から犬のえさとして、
  鶏の頭がどっさり入ったビニール袋が
  常駐するようになったのですから、
  恐怖も膨れ上がるってもんです。
  
  
  何かないかなあと冷蔵庫を開けると
  鶏の頭。
  子供が無駄に冷蔵庫を開け閉めしなくなって、
  親は喜んだかもしれません。
  
  
  ドッグフードなんて、
  もちろんなかった時代です。
  犬のえさといえば、ご飯に味噌汁、
  猫のえさといえば、ご飯に鰹節、
  うまくすれば骨がつくと相場が決まっていた時代、
  アローと名づけられたその犬は、
  かなりのグルメ生活。
  
  
  とはいえ、その鶏の頭とご飯を煮込んだものを、
  喜んで食べるアローに、
  さらに増す恐怖感。
  
  
  ともかく我が家の犬という思いはあるのですが、
  散歩について行き、ちょっと綱を持ったりするくらいで、
  なかなか距離を縮めることができません。
  
  
  ある日、外から帰ってきて、扉を開けようとしたら、
  やけに重い。
  不思議に思って力任せに引いたら、
  いきなり、アローが飛び出してきました。
  いつもは庭につながれているアローを、
  なぜか母が、玄関ドアの内側の取っ手につないでいたのです。
  
  
  でもその時は、そんなこと知りません。
  てっきり、アローが跳びかかってきたと思って、
  驚いたのなんの、ぎょえ〜!!!とばかりに、
  肝をつぶして逃げました。
  一気に走って、振り返ると、
  アローは、ドアにつながれていて、
  きょとんとした顔をして、眺めていました。
  考えてみたら、驚いたのはいきなりひっぱられたアローのほうです。
  
  
  でも、そんなことは当時は思い至りません。
  ぜーぜー言いながら、
  庭の方から入ると、
  もうアローは中に入り、ドアも閉まっていて、
  何事もなかったかのように寝ころんでいました。
  しかし、そんな状態で、
  ますます広がる距離。
  
  
  結局、アローは、
  元の飼い主のところに戻っていきました。
  車でつれていくと、
  元の飼い主もアローも大喜びで、
  本当の犬との絆は、こういうものなのかあ
  と思ったしだいです。

  
  でも、仲良くなれずに返してしまったことは、
  アローに悪かったなあと、ずっと思ってました。
  ところがアローは、
  最初から預かっていただけだということを、
  つい最近、父から聞きました。


  飼っていたボクサーに子供が生まれたので、
  飼い主の親類の家にあげるところが、
  犬小屋の用意ができず、
  その間、飼っていてもいいよということだったみたいです。
  

  なついてしまったら、
  そのままくれるということだったようですが、
  結局元気すぎて庭中を荒らし、
  いくら鷹揚な時代でも、
  さすがに管理人さんからもだめだと言われて、
  早めに返したのだそうで、
  なんだ、私らのせいではなかったんだ、
  と思ったら、気が軽くなりました。  
 
  
  でも、アローと勝手に名前までつけたところをみると、
  父はけっこう飼うことに乗り気になってたんでしょうね。


  ずっと後、高校生の頃になって、
  父は今度はマルチーズをつれてきました。
  しかし、よくもらってくる人です。
  でも、3度目の正直で、
  ようやく最初から最後まで飼うことになる犬がやってきました。  


  アローの時代は、
  犬は、外で飼われるほうが圧倒的に多かったし、
  もちろん、服着た犬もいません。
  ましてや、靴をはいた犬なんていたら、笑いものです。
  えさも残飯は珍しくないし、
  ペットの美容院にいたっては、
  なに寝ぼけたことを言っている状態だったでしょう。
  
   
  でも、この犬がきた昭和50年代当時には、
  今ほどではないにせよ、
  すでにペット産業は一般的になってきてました。
  それでも、
  アローと、ずっと後に飼われたマルチーズを比べて、
  アローの方が恵まれてなかったかというと、
  そうとも思えないのです。
 
 
  というのは、そういうペット産業があっても、
  マルチーズがそんなに喜んだというものは、数少ないからです。
  マルチーズ、こちらはチロと言いました。
  (うちの親は、犬には「ロ」をつけるのが趣味みたいです。)
  

  チロに、美容院体験をさせたことがありました。
  家でもシャンプーの前は、逃げ回る奴です。
  その大嫌いなシャンプーを、
  見知らぬところにつれていかれて、
  見知らぬ人にされるということだけでも
  ストレス。
  さらには、なにやらいじくりまわされ、
  頭にじゃまくさいリボンまで結ばれて、
  ようやく開放されてくれば、
  家族に爆笑されるという散々な目にあって、
  全く、お気に召さなかったようです。
  結局、一生で一度の体験に終わりました。
  
  
  服も、母がベストを編んで着せたところ、
  人間には好評でしたが、
  チロはうっとうしがってましたので、
  着せても、30分以内には脱がしてあげることで、
  お互い?が折り合いました。
  そんなんですから、
  高い犬の服を買っても仕方ないということで、
  服も、このベスト一つだけ。
  
  
  食事も、やはり人間も食べられる、
  自然のもののほうが喜びました。
  ドッグフードは最初は喜んで食べてますが、すぐ飽きて、
  ミルクをかけたり、
  種類を変えてはごまかすような感じになってしまいます。
  チロがアローのえさを知ったら、
  間違いなくぐれそうです。
  
  
  考えてみたら、人間だって、
  加工食品ばっかり食べさせられたら、
  嫌になりますよね。
  添加物も心配ですし。
  鶏の頭はかんべんしてもらうにしても、
  昔ながらの食事が大切なのは、
  動物も一緒だと思います。
  
   
  すべてがすべてとは、決して言いませんが、
  ペット向け商売は、
  ペットのためというより、
  人間の気持ちや都合のためのもの、
  という部分のほうが多いと思います。
 
   
  私も、犬のほかに小鳥などけっこうペットを飼ったほうなので、
  こういう商品やサービスに入れ込みたくなる気持ちは、
  とってもよくわかります。
     

  でももし、昭和30年代に、
  今のようなペット向け商売があったとしても、
  あまり流行らなかったでしょう。
  当時だったら、馬鹿らしいと思う人のほうが、
  多いのではないでしょうか。
  もちろん、今のほうがそれだけ豊かになって、
  ゆとりができたからということはあります。
  しかし、それだけではなく、
  今は、ペットに癒しを求める度合いが、
  昔と比較にならないくらい大きくなっているからこそ、
  つい入れこんでしまうということもあるのでは、
  と思うのです。
  
  
  子供と一緒で、
  入れこむあまり、間違った可愛がり方をして、
  結果的に不幸にしてしまっては、可哀想です。
  良かれと思ってしていることが、
  ペットの寿命を縮めていることもあるのです。
 
   
  だからこそ、本当に動物が喜んでいるか、
  動物の立場で考えてあげることは大切で、
  人間の自己満足だけを優先してはならないでしょう。
  そういう人も現実にいるから、
  飽きたからとか、年取って手間がかかるからという自分側の勝手な都合で、
  物のように捨てたり、保健所に持ち込む輩も出てくるのです。
  
  
  ペットというのは、
  生きている間だけではなく、亡くなった後も、
  いつまでも心に癒しを残してくれる存在。
  昔飼っていたペットを思い出すとき、
  そういう気持ちが、今も湧いてくるようなら、
  あなたとそのペットの関係は、
  うまくいっていたと思いますよ。
  
  


  
  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    あれこれ後記
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  ◇子供のころ、都営住宅から引っ越した先の隣の家では、
   3匹の犬を飼ってました。
   やはりドイツの犬で、
   アロー似の強面風貌の上に、
   体はアローの比でないほど大きいグレートデン。
   そして、小型犬のビーグルとパグ。
   大型犬でも室内で飼う人が珍しくない時代、
   今なら、この2匹は、
   室内で飼われているでしょうが、
   外にある檻みたいな大きな犬小屋で、
   3匹一緒に飼われていました。
  
  
   小屋の前を通るときには、 
   グレートデンのきげんが悪いとほえられます。
   親分がほえると、
   残りの2匹も追随してほえてくるので、
   隣に遊びに行ったときや、前を通るときは、
   緊張したものです。
  
  
   ビーグルやパグとは遊ぶこともあるのに、
   この2匹までほえてくるのは心外でしたが、
   まあ、犬の世界にも、
   つきあいというものがあるんでしょうな、きっと。
  
  
   名前もなんのひねりもない、
   典型的な犬の名前がついてました。
   ビーグルはチビでパグはコロ。
   グレートデンにいたっては
   「デン」。
   ひねりがないどころか、そのまんま。
   いや、さらに引いてます。
   人間に「ヒト」と名づけるようなもので。
  
  
   非常にシンプルな飼われ方でしたが、
   可愛がられてなかったかというと、
   決してそんなことはありません。
   人と犬の関係は、そんな感じが普通でした。

    
   以前、他のメルマガの後記で書いたのですが、
   雨の日に公園を通ったら、
   3人の女性と1人の男性が、
   それぞれ犬を連れて、立ち話をしていました。
  
  
   女性達のつれている犬たちは、
   みんなレインコートを着ていましたが、
   男性のつれている犬だけが何も着ていませんでした。
   「あの犬だけ、かわいそうだな。」
   と思ったのですが、
   よく考えたら、
   男性の犬のほうが正しい姿だと気づいて、
   笑ってしまったことがあります。


   江戸時代に、生類憐みの令を出した徳川綱吉という将軍がいました。
   行き過ぎた結果、天下の悪法とされましたが、
   お犬さまの時代の再来を思わせる、今の世を見たら、
   「あっぱれあっぱれ」
   と言ってくれるかもしれません。


  
  ◇ワールドカップ、
   日本対ブラジル戦の「日本が勝つ」というところに、
   7.5倍の最高オッズがつけられたそうです。
   確かに相手がブラジルだから無理はないとはいえ、
   ちょっとひどすぎませんこと?


   とはいえ、ブラジル相手に、
   最低でも2点以上とらなくては予選突破できないとは、
   厳しいことも事実。
   「おたくは予選突破が決まってるんだから、
   もう勝たなくてもいいんだし、
   ここは、ブラジル人のジーコさんの顔をたてるということで、
   勝たせてくださいよ。」
   と言うわけにもいかないし。


   でも、考えたら、ブラジルには頼めなくても、
   神様には、堂々とそうやってお願いできるのです。
   ここはひとつ、古来から日本人を見守ってきた、
   日本中の八百万の神様に、しっかりしっかりお願いしときましょう!
   

   日本が、野球に引き続き、またまた神風を呼んで、
   大穴かましてさしあげますことよ!


   (きっと、試合結果がわかった後に、
    これを読む方もいらっしゃるでしょう。
    そんなあなたが、笑顔だといいなあ。)

                               (ひとみ)
  




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