「いいとき生まれた!昭和30年代」

メールマガジンバックナンバー

   


第58号 呼び出し電話


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        いいとき生まれた!昭和30年代  第58号     


                    2006. 4. 4      


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  この間、食パンを買いに行きました。
  そのお店はケーキもやっているので、
  レジに行くと、私の前に来ていたお客さんが、
  子供のバースディケーキの注文をしているところでした。

  
  店員さんが連絡先として電話番号を教えてくださいと言うと、
  そのお母さん、
  「うちは、携帯しかないんですけど、それでいいですか。」
  と言ってました。
  正直言って、カルチャーショックでした。
  若い子の一人暮らしならともかく、
  所帯を持っている家でも、
  固定電話を持たない家が出てきてるなんて…。
  

  確かに携帯電話があれば、
  用が足りるわけですし、
  ほとんど使わないものに、
  お金をかけるのは合理的でないかもしれません。
  問題となるのは、
  社会的信用上、携帯電話番号は認めないという場に、
  出くわした時のことだけで、
  もし、そこも崩れていくとしたら、
  ますます固定電話は、減っていってしまいますね。

  
  しかし、昭和30年代は、その固定電話すら、
  あるほうが少なかった時代です。
  

  商売には欠かせないものでしたけど、
  普通の家では、なくても珍しくありませんでした。
  我が家の場合も、
  父の仕事のために借りている場所には、
  ひいてありましたが、
  自宅にはありませんでした。
  

  それでも、自宅にもひくようになったときは、
  まだ、近所の中では早かった方です。
  それは、父が、仕事場をあけて留守になってしまう時に、
  自宅のほうに電話してもらえば、
  伝言を頼めることができるという、
  商売がらみの理由があったからです。
  当時は、留守電とか転送電話なんてことも、
  ありえないことでしたものね。
  

  そこで、当時、電話がある家としては欠かせなかったお役目、
  というものがありました。
  そう、「呼び出し電話」ってやつです。
  昔はよく、電話番号のところに、
  (呼)なんて記号がついてるのが
  ありましたよね。
  

  一軒の家の電話ではあっても、
  実質、ご近所みんなで使える電話になるわけです。
  これぞ、助け合いの精神。
  そして、大らかな時代の象徴。

  
  今や告知しなくては意味のない電話番号すら、
  うっかり漏らせない世の中になってしまったのに、
  当時は、ご近所さんの知り合いにまで広めまくって、
  全然問題がない社会だったんですから、
  なんと善良な世の中だったのでしょう。
  まったく、今じゃ考えられないことです。

  
  大らかな時代であることを象徴することはまだあります。
  

  自分の家に、よその家あての電話がかかってきたら、
  文字通り呼びにいくこと。
  よその家あての電話がかかるたびに、
  いちいちサンダルつっかけて走っていくなんて、
  今では、成り立たないシステムです。  


  もちろん、当時は、
  本当に必要な要件のときしか
  電話はかけませんでしたから、
  そう頻繁にはなかったという状況もありますが、
  こういう時代を知っていることは、
  貴重なことだと思います。
  

  母が直接、呼びにいくことが多かったですが、
  時には子供の私達が、呼びにいくお役目をおおせつかることもあります。
  「○○さんという人から電話だって、おとなりのおばちゃん呼んどいで」
  
  
  電話に出ていた時の声と、私に言う声が違うじゃん!
  と思いながら、呼びに走ったものです。
  でも、今思えば、当時の電話ですから、
  声の変貌ぶりは、相手にも、全部丸聞こえだったでしょう。  


  しかし、待つほうも気長に待たなくてはなりません。
  なにしろ、別の家まで呼びに行ってるんですから。
    

  そして、呼ばれるほうも大変です。
  

  「おばちゃーん、○○さんていう人から電話だよ〜」
  と呼びにいくと、
  そりゃ大変だ、と、
  何をやっていようが、放り出して来なくてはなりません。
  相手を待たせない気遣いは、呼び出し電話では、
  なお重要です。
 
  
  時には、電話だと呼ばれてやってきたら、
  我が家は食事の最中ということもあります。
  おばちゃんが、
  「あら、食事中?悪いわね。」
  なんて、気兼ねしながらあがってきて、その横で話す、
  なんていうシチュエーションもあるわけです。
  

  しかも、会話は、私たちにそっくり聞かれてしまいます。
  聞くつもりがなくても、聞こえてしまいますから、
  仕方ありません。
  そのかわり、我が家の献立も、
  ばればれです。
  見せるつもりはなくても、
  見えてしまいますから、こちらも仕方ありません。
 
 
  プライバシーもへったくれもありませんが、
  向こうも聞かれて困るような話なんてありませんし、
  こちらも一緒に買物に行ったりしてる間柄ですから、
  どんなものを食べてるかなんてのは、
  今更隠し立てしてもはじまりません。
  そんなあけっぴろげの近所づきあいだったゆえのことで、
  それほど、気まずい思いもなかったです。
  

  逆に、こちらからかけたい、というときにも、
  ご近所さんたちが、10円持ってやってきました。
  当時は、一通話ごとの料金で、
  時間制限なんてせこいことはありませんでしたから、
  それで事足りてました。


  もっとも、時間制限がなくても、
  長電話というのもあまりなかったです。
  この呼び出し電話という形態が、
  それを阻止していたのかもしれませんが、
  そうでなくても、電話は必要最低限のことしか話さない、
  という意識はありましたよね。

  
  とはいえ、長電話はしなくても、
  そのまま母親と長話が始まるというパターンは、
  よくありましたけど。  


  考えてみたら、長電話というものを生み出した世代は、
  私達かもしれませんね。
  
  
  今と大きく違うことがまだあります。
  それは子供自身。
  今の子供は、電話が鳴ると、
  争うように出たがります。
  

  でも、私は、我が家に電話がひかれてから、
  1,2年は電話が鳴ると出るのが怖かったです。
  誰もいないときに鳴ると、
  どきどきしながら出てました。
  我が家の場合、
  商売関連の電話が入ることもありましたから、
  なお、緊張しました。
  

  今なら、出たのが子供だったら、
  またあとで電話するってことになるでしょうが、
  当時は、子供に大人と同じように伝言を頼む奴…じゃなくて
  それだけ子供を信頼して一人前扱いしてくださる方も
  おわしました。
  
  
  子供のころから、
  小僧に出たような世代の人も、
  当時の現役世代にはいましたから、
  そういう感覚だったのかもしれません。
  
  
  でも、私はそんな根性すわった時代の子供ではありません。
  ただ、電話くださいという程度ならいいですが、
  注文とか、具体的な話の内容を告げられたりしますと、
  そりゃもう必死でした。
  
  
  だから、よけい出たくありません。
  で、母がいるときは、
  近くにいても受話器をとりませんでした。
  母が、
  「なんで出ないの!早く出なくちゃ、だめじゃないの!」
  と怒りながらやってきて、
  一転したよそいきの声で
  「もしもし」
  と出てくれるのを待っていました。
  
  
  でも、我が家のように、
  商売関係の電話が入ることがなくても、
  電話に出るのはいやだった、という人が、
  同世代にわりといるのです。
  

  生まれたときからあって、
  使用されている様子を見ている今の子供たちには、
  電話は実に好奇心をかきたてられるものだと思います。
  だから、スキあらば、
  出てみたいという思いが強い。

  
  対して、途中から生活に入ってきた世代は、
  慣れてません。
  しかも、すでに大人になってるとか、
  まだ赤ちゃんの時ならともかく、
  中途半端な子供時代に入ってきたのですから、
  どちらかといえば、得体のしれないものに近い。
  で、躊躇してしまう人が多いということなのでは、
  と私なりに分析しているのですが、
  みなさんはいかがでしたでしょう。
  


  
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    あれこれ後記
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  ◇いまや、携帯電話を持ってない人は、変人扱いされる世の中ですが、
   私は、その変人です。
   なぜかと言うと、うっとおしいのです。
   なぜ、道を歩いているときに、
   電話に呼び出されなくてはならないのか。
     

   パソコンにはいち早く手を染めたのに、
   携帯電話では非文明人を貫き通す姉に、
   見かねた妹が、プリベイド式のお古を貸してくれました。
   一応、それは使ってます。
   ただし、公衆電話が減ったため、外出先でかけるとき専用として。
   だから、ふだんは切ってあります。
   しかも、いつも持ち歩くわけでもありません。
  

   こんな私ですが、人には、
   持っていてもらいたいのです。
   だって、連絡取りたいときに、
   すぐ連絡とれるものねえ。


   こういう人のことを、日本語では、
   「わがままな人」もしくは「自分勝手な人」と言います。
  




  ◇今回も、ドクターペッパーとミスタービブの話が続きます。
   こけにしまくりながらも、
   「でもたまに好きだという人もいるから、
   読者の皆さんの中にもいるかもしれないなあ」
   と思って、前号で、隠れキリシタンとして言及しました。
  
 
   そうしたら、やはり、いらっしゃいました。
   さらに、ドクターペッパーへの
   熱い思いがひしひしと伝わるメールをいただきました。


   ということで、
   今日は、隠れキリシタン、じゃなくて、
   ドクターペッパーファン代表として、
   WAIMEA ALOHAさんのメールをご紹介します。



  『はじめまして ひとみさん
   いつも 楽しく懐かしい話題をありがとうございます
   小生 昭和31年生まれ もうすぐ50才の
   ドクターペッパー 大好きの隠れキリシタンです
   我が青春のドクターペッパーをまずいまずいと
   連呼され 少しへこんでおります

   発売当時 高校生だった私は東村山
   付き合っていた彼女は所沢に住み 駅では一駅でも
   東京と埼玉の長距離恋愛?をしていました
   そして 東村山駅の販売機はドクターペッパー
   所沢駅の販売機に入っていたのはミスターピブでした

   彼女に これはおいしいからとすすめると
   一口飲んで顔をしかめ 私に返したので
   思惑通り間接キスをゲットしました(恥)
   そして 今のかみさんは(彼女とは別人です)
   ドクターペッパーが大好きです でも国内ではあまり
   安売りをしていないので(大量安売り品専門です)
   もっぱら 毎年行くハワイで安い(30セントくらい)
   ドクターペッパーを楽しんでいます
   今でも アメリカでは普通にドクターペッパーが
   みんなに親しまれていますよ

   どうか せつにドクターペッパーの復権を望みます
   まずいまずいといわずもう一度味わってみてください
   昔と味覚も変わっているかもしれませんよ
   これからも ひとみさんのM.M楽しみにしています
   乱筆乱文ご容赦』
 
  


   もしかしたら、他にもへこませてしまった方がいらしたら、
   ごめんなさい。


   WAIMEA ALOHAさんのおしゃるとおり、  
   確かに大人の味覚で、再チャレンジに挑んでみたら、
   昔とは違う感想を得て、改宗できる(?)方も、
   いらっしゃるかもしれません。
   ドクターペッパーの名誉回復なるか!ということで、
   機会があったら、皆さん、ぜひチャレンジしてみてください。
  
  
   って、ひとごとみたいに言ってるあなたはどうよって?
   私ですか?
   私は、大人になってからは、味がどうこう言う前に、
   炭酸飲料自体が苦手になってしまったのです。
   サイダーもコーラもジュースでも、
   とにかく炭酸飲料と名のつくものは、
   全く飲みません。
   だから、だめなんです。
   (って、どこか安心して言ってないか、おまえ…)
    
  
   でも、愛するドクターペッパーが、
   口の悪いおばさんに散々こけにされて、
   胸を痛めていた方も、
   WAIMEA ALOHAさんのメールで、
   勇気をもらい、救われたことでしょう。
   ということは、WAIMEA ALOHAさんは、
   やはり、隠れキリシタン代表みたいなものですね。
   
   
   待てよ。
   WAIMEA ALOHAさんをキリシタンにしてしまうと、
   私はさしずめ悪魔ということに?
   

                             (ひとみ)  
  




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