「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第55号 牛肉


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        いいとき生まれた!昭和30年代  第55号     


                    2006. 2. 19      


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  こんにちは。
  前号の鯨の話の時に、ミョーに疑い深い思考に走っていたのは、
  アメリカ産牛肉騒動のせいかもしれないなあ、
  と思ってしまった発行人のひとみです。
  
  
  しかし、アメリカに、
  交通事故より確率低いなんて言われたら、
  「その程度の安全性かい。」
  って、逆につっこんでほしかったなー。
  まあ、政府の対応見てると、
  なめられるのは当然ですけどね。
  だいたい、その政府自体が信じられない奴だったんですから、
  お話になりませんけど。
  
  
  さて、我らが昭和30年代、
  牛肉は今よりも特別感覚なお肉でした。
  漫画などでも、わずかなすき焼きの肉をいかにして、
  ゲットするかなんていうのが、
  よくネタになってました。
  
  
  お金持ちを表す時も、
  フォークとナイフで、
  ビフテキなんかを食べているような、
  絵がよくありました。
  そういえば、ビフテキなんて言い方も、
  だんだん減ってきてますね。
  ステーキといえば牛肉、
  というのが、それだけ浸透したせいでしょうか。
  
  
  (ところで、もし豚肉が高級肉だったら、ポクテキ?
   「今日は特別だから、ポクテキだよ!」
   と言われても、なんだかねえ…。 
   名前でも、牛肉を超えることが許されなくて、
   可愛そうな豚さん…。)
  
  
  牛肉輸入が自由化される前の、
  国産牛肉が主流の時代でしたから、
  牛肉の存在感が大きかったのは
  無理はなかったのかもしれませんが、
  実は、国産牛肉は今より割安なものだったんです。
  
  
  もちろん、鶏肉、豚肉とくらべれば、
  価格的には、牛肉が一番高いことは確かなのですが、
  昭和25年と平成14年との価格をくらべたら、
  鶏肉は約3倍、豚肉は約6倍の価格になっているのに対し、
  牛肉は、なんと約16倍!
  めちゃくちゃ、高いものになってるじゃないですか。
  25年の数字とはいえ、30年代にも、
  そう大きな変化はないので、
  あがっていたとしても、わずかでしょうから、
  ほぼこれと同じ状態とみて間違いないでしょう。
  
  
  まあ、いずれにしても、
  私は、庶民の子ですから、
  ビフテキなんてのには、
  まったく縁がありませんでしたが、
  実は、すき焼きのほうは、よく食べましたのよ。
  
  
  な〜んて、
  実を申しますと、私達3姉妹、
  今は食べますが、
  子供の頃は、豚肉、牛肉が嫌いで、
  ひき肉と鶏肉しか食べなかったのです。
  庶民の子として、これほど似つかわしい子供たちはいません。
  だから、よく食べたというのは鶏すき。
  
  
  以前、母から食べるということに関しては、
  きっちり教育を受けたという話をしましたが、
  好き嫌いが無かったかとなると話は別で、
  そもそも、母自身が大の肉嫌い。
  
  
  母の肉嫌いは徹底してます。
  父と母は、お見合結婚でした。
  母は3人とお見合いをしたそうですが、
  そこで、必ず聞いたのが
  「肉は好きですか?」
  
  
  で、父だけが好きじゃないと答えたので、
  父に決めたそうなのですが、
  結婚してみたら、
  父はしっかり肉を食べる人だった
  とぼやくことしきり。
  
  
  正確には、
  「好きではないけど食べる。」
  ということであっただけで、
  父が母と一緒になりたい一心で、
  でまかせを言ったわけでもないようです。
  まあそこは、ご縁があったということでしょう。
  
  
  もし、母が、
  「肉は食べますか。」
  と質問してたら、
  私はこの世に存在してなかったかも。
  
  
  そういう人の子供だったせいか、
  比較的癖のない鶏肉やひき肉以外の肉を、
  おいしいとは感じませんでした。
  
  
  それでも、すきやきのふりかけはおいしそうに見えて、
  買って!とねだったら、
  あんなもの臭いだけだって、
  即座に拒否されたこともあります。
  
  
  自分がそんななので、
  子供に食べろというのも説得力がないと思ったのか、
  母も、無理に食べさせようとはしませんでした。
  
  
  ですから、父のために牛肉を奮発して、
  「今日のすき焼きは牛肉だよ。」
  なんてときは、
  子供たちからは、
  「えー、牛肉?なんで鶏肉じゃないの〜。」
  と抗議が出るという、
  まことにもって、おかしな家でした。
  
  
  で、我が家では、必然的に魚が増えました。
  しかし、このお魚も、親は刺身も大好きなんですが、
  子供である私たちは、生のお魚が苦手で、
  火を通したものでないと、
  食べませんでした。
  
  
  野菜の偏食はきっちり克服させてくれた母が、
  肉と共に、無理にお刺身嫌いも治さなかったのは、
  肉は鶏肉とひき肉なら食べるし、
  魚は火を通してやれば食べるから、
  まあいいと思っていたのかもしれません。
  というのは、たてまえで、
  実は家計のためにもちょうどいいと思ってたからだったりして?
  まあ、どこまでも、庶民仕様に生まれついた子供たちでした。
  
  
  そういえば、回転寿司もない時代なのに、
  小さい頃は、お寿司やさんによく連れて行ってもらいました。
  
  
  「へい、らっしゃい!何にしやしょ。」
  「のりまき!」
  「たまご!」
  「かっぱまき!」
  こんな安上がりな子供たちですから、
  連れて行ってくれたわけですな。
  
  
  もっとも、お寿司屋さんは、内心、
  いろいろな意味で涙していたことでしょうが。
  
  
  でも、もしこれが、
  「いくら!」
  「うに!」
  「おおとろ!」
  なんていう子供だったら、
  まず、連れて行ってもらえなかったことを思えば、
  高いものが、嫌いなものであったことは、
  幸せだったのかしら。
  
  
  ただね、
  「世の中では、お寿司お寿司と大騒ぎするが、
  そんなに騒ぐほどのものか?」
  と思ってたのは確かです。
  のりまきで、お寿司は偉大だよね!と感動していたら、
  庶民仕様の子供をさらに極められたのにと、
  残念ですが。
  
  
  今では、牛肉もお寿司も、
  安く食べられる道は広がりましたし、
  昔より気軽に手に入る食材も増えました。
  でも、その条件が、
  安全性が保障されないお肉であったり、
  抗生物質入りのえさを食べてる養殖の魚であったり、
  農薬で育った野菜であったり、
  というのは、やはりおかしいと思います。
  
  
  贅沢なものばかりではありません。
  一般的なものだって、
  今は、安全性を追求した食材を手に入れようとすると、
  とても割高です。
  けれど、昔は、そういうものがあたりまえで、
  しかも庶民でも手に入る価格で出回っていたはずです。
  
  
  無能な政治家、利益追求の企業や生産者、贅沢を覚えた消費者が、
  正常なサイクルをおかしな方向に回してきたのだとすれば、
  食の安全性には、
  もっと関心をもたないといけないなあと思います。
  
  
  牛肉はおいしいと思いますが、
  割高でなかった時代のほうが、
  特別感を持っていて、
  割高になってる時代のほうが、
  身近になっている感覚というのは、どうなんでしょう。
  それだけ、暮らしが豊かになった証ではありますが、
  贅沢に慣れたということにもなりませんか。
  
  
  だから、私は、これからもアメリカ産牛肉は、
  買わないつもりです。
  あの時代の感覚を、取り戻す気持になれば、
  回数を減らして、安全な肉を食べることにするくらい、
  なんでもないことだと思います。
  
  
  何より、そのほうが、おいしくいただけるし。
  とはいえ、その安全基準が何を信じていいか、
  わからない状態になってるから困るんですけどね。
  
  
  ともあれ、妹たちは、いまだに、
  お刺身系統はだめなようです。
  でも、私は、肉もお刺身も
  しっかり食べます。
  
  
  だから、こう言うことにしてます。
  「幼いころ、我が家ではすき焼きをよくやりましたの。
  お寿司屋さんにも、よく連れて行ってもらいましたわ。」
  って。
  
  
  もっとも、今の子供からは、逆に
  「それがどうかしたの?」
  って聞かれるかも。
 
 
 
 
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    あれこれ後記
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  父が病院に行くのに、母が用事で付き添えないと言うので、
  私が代わりについて行きました。
  
  
  帰りに病院の前から乗ったタクシーの運転手さんが、 
  すごい人でした。
  父が、「この仕事も疲れるでしょう。」
  と聞いたら、
  その運転手さん曰く、
  「私は、不思議と、疲れるってことを知らないんですよ。
  今でも、1日2日通しでやっても、
  睡眠時間3時間くらいで平気だし、
  1日乗務したあと、茨城あたりまで(ここは東京ですので)
  そのまま釣りに行ったりしても、全然平気だし。
  馬鹿みたいに食べたり、
  反対にずっといいかげんなものしか食べなかったり、
  なんて無茶もするんですが、
  年2回の健康診断も異常ないし。」
  
  
  ちなみにその方、66歳だというのですが、
  どう見ても、私と同年代か、
  いや私より下といっても、通じそう。
  声も張りがあって、声だけ聞いたら、
  30代でも通じるくらいです。
  
  
  若いときに、トラックを運転していて、
  きつい勤務をしてたので、
  「体が慣れちゃうみたいですよ。
  それに、気持ち的に自分が大丈夫と思えば大丈夫みたいだし。」
  とあっさり言ってのける。
  
  
  トラック運転手時代は、走るだけでなく、
  荷物の上げ下ろしもするわけで、
  3、40キロもある荷物を、
  ぼんぼん載せたり降ろしたり。
  雪の新潟に行ったときも、
  上半身裸で作業していて、
  寒いどころか汗だくになったそうです。
  
  
  一度、高いところから落ちて、
  ちょっと気を失ったが、それでもなんでもなかった。
  ヘルメットは割れたけどね。
  なんて、すごすぎ。
  
  
  「じゃあ、運も強いんじゃないですか?」
  と聞いたら、
  「あー、強いです!
  くじなんかもよく当たるし!」
  とこれまた、力強いお言葉。
  
  
  まるで、超人的パワーの塊みたいな人でした。
  こういう人からは、まわりも元気をもらえます。
  こういう人が、病院の前でタクシーの客待ちをしてくれていたのは、
  パワーを分け与えてもらえるようで、ありがたいことかも。
  
  
  そういえば、病院で診察のあと、
  父を処置室に連れて行ってたのですが、
  父が処置を受けている間の待ち時間に、
  突然話しかけてきた、
  あちこち悪いというわりにはとても元気そうで、
  でしゃばりおよねみたいなおばあさんも、
  すごかったんです。
  
  
  肺炎で、入院しなくてはだめだと言われたとき、
  以前、入院中に盗難にあったのと、
  入院費がもったいないのでことわった。
  4人のお医者さんに説得されたが、
  「私は死ぬなら、家の畳の上で死にたいから。」って拒否して、
  毎日点滴に通って、治しきったというのです。
  
  
  でもそれよりすごかったのは、
  このおばあさんのいう、タクシーの運転手の話。
  「私はいつもタクシーでくるんだけどね、
  もうおばあさんだからって言うのに、
  そんなことない、まだまだいけるよって、
  誘う運転手がいるんだからやんなっちゃう。
  もう4人もよ!」
  
  
  笑顔で「あら、そうなんですか。」
  と答えておいたが、
  その笑顔は思わずうけてしまったからだなんて、
  絶対に言えない…。
  
  
  そりゃ、50歩譲ってあったとしても、
  昔の話じゃないのか、およねさん!
  それに、100歩譲って、
  その話が真実だとしたら、
  すごすぎるのは、およねさんじゃなくて、
  運転手のほうだと思うぞ。
  
  
  おかげで、長い待ち時間、退屈しなかったけど。
  
  
  まあ、いずれにしても、
  これからの日本、
  高齢者が元気にしょって立つ予感がしてきました。
  
  
  中年若輩者の我々も、負けずに元気でまいりましょう!


                          (ひとみ)




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