「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第52号 当時の食卓


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        いいとき生まれた!昭和30年代  第52号     


                    2005. 12. 26      


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  昭和30年代の朝食の象徴といえば欠かせない、
  丸いちゃぶ台、ごはん、味噌汁。
  もちろん、我が家もこの基本3点セットは、
  きっちり押さえてました。
  って、押さえるも何も、
  それが本当に一般的でしたね。
  
  
  もちろん、一家全員が揃って食べました。
  父は商売をしてましたから帰りが遅く、
  平日の夕食は、ほとんど父抜きでしたが、
  朝だけは、必ず一緒でした。
  
  
  一度、この朝食の席で、
  父におしりをぱんぱん叩かれ、
  こっぴどく叱られたことがあります。
  ところが、何をしたのか覚えていないんですなあ。
  よほど、「ここはきっちり躾しとかなくてはならぬ」
  と思えたことだったんでしょうが、
  めったに手をあげない父に、
  そのように叱られたことのほうが印象的で、
  肝心のところを忘れてしまったみたいです。
  
  
  まあ、そんなこともありましたが、
  炊き立てのご飯と、味噌汁の香りは、
  いつもそこにありました。
  
  
  もちろん、その味噌汁のだしは煮干とかつおぶし。
  よく母が、煮干の頭とはらわたをとったり、
  鰹節を削ってました。
  この鰹節削りは、昭和30年代生まれなら、
  やった経験ありますよね?
  最初は、おもしろそうにみえて喜んでやるんですが、
  削っても削っても、
  思ったほどたまってくれなくて、
  そのうち飽きてくるしろもの。
  ただ、へたくそなだけだったのかしら。
  
  
  煮干だって、しばらく水につけておかなかければなりませんから、
  前もって準備が必要です。
  うちの母は、前の晩から翌朝の味噌汁の分を、
  鍋にいれてつけてたような気がします。
  今の、顆粒だしをちょっと入れるだけで済んでしまうことに、
  毎回、えらい手間がかってましたが、
  本物の味と食の安全は、間違いないところでした。
  
  
  でも、私には嫌いな味噌汁がありました。
  それは、切干大根のお味噌汁。
  具が切干大根だと知ると、
  「えー、きりぼし〜?」
  って必ず文句言ってました。
  

  でも、あまり言うと、嫌がらせのように、
  3,4日後にもすぐ出てくるので、
  結局は、不満に思いながらも食べてました。
  
  
  ところが、今思うと、
  長じてからは、切干大根を具にした味噌汁は、
  ほとんど作っていないのです。
  
  
  やっぱりただの嫌がらせだったか?
  
  
  でも、切干大根自体は好きですよ。
  ただ、子供の私にはまだわからない味だったんでしょうね。
  
  
  ところで、以前テレビの実験で、
  子供達に、本物のだしと化学だしの味噌汁を飲ませたところ、
  慣れた化学だしの味噌汁のほうがおいしいと感じる子供のほうが、
  多かったという結果が出たことがありました。
  そして、その子たちが若者になったころ、
  異常な味をおいしいと感じる食べ方をするような、
  いわゆる味覚音痴な人間が増えてきました。
  
  
  せめて子供時代だけでも、
  きちんとした食事をさせないと
  いけないのかもしれませんが、
  食事どころか、
  今は朝食自体を食べない子供も増え、
  それどころではないようですね。
  
  
  学校の先生が、
  「お子さんには、朝食を食べさせてください。」
  と言ったところ、
  「食べさせられない家はどうしたらいいですか。」
  と平然と聞いてきた親がいたというくらいです。
  
  
  あの時代にそんなこと言ったら、
  そんなに貧しいのかと思われたでしょう。
  あの時代の「食べさせられない」は、
  食べさせたくても「食べさせられない」という意味にとられ、
  時間がなくて「食べさせらない」とか、
  子供が食べたがらなくて「食べさせられない」
  なんてことで言ってたとしたら、
  親として、とんだ赤っ恥になってしまうところです。
  
  
  でも、この朝食を食べない習慣を生み出したのは、
  私達世代ではないかと思うのです。


  中学生くらいになると、
  食べるくらいなら寝ていたいとか、
  食べたくないということで、
  朝食を食べないという人もちらほらいました。
  
  
  我が家の場合は、
  食べたくなくても朝食をとってからでないと、
  外に出さない!
  という母の鉄の掟がありましたが、
  小生意気になってきた私も、
  食べる気分になれないときに、
  そういう人たちみたいに、
  破ってみたことがありました。

  でも、お昼までには、へろへろになってしまいまして、
  やっぱり鉄の掟なことだけはある、
  と思ったものです。
   
  
  この朝食を抜くという発想が出てくる事自体、
  飽食の時代に育った人間ならではないでしょうか。
  
  
  とはいえ、私達が生まれた昭和30年代は、
  まだまだ、どうしたらやせられるかより、
  どうしたら太れるか、のほうに重点がありましたし、
  糖尿病は贅沢病と言われていた時代です。
  
  
  そんな時代に育った人間でもそうなんですから、
  子供の糖尿病なんて珍しくもなくなった時代に育った人間が、
  ますます朝食をおろそかにするのも、
  納得できます。
  
  
  母は料理嫌いのわりには、
  食事をとるということに関しては、
  きっちりした教育をしてくれたと思います。
  
  
  夕食など食べるときに、
  これは血になるとか、肉になるとか、骨になるなど
  と言う感じで、食べながら教えてもらったこともあります。
  明確な目標ができると、はりきって食べることができました。
  
  
  同じ住宅に、子沢山な上に、
  子供をろくに学校にもやらず、
  学校の先生が時々来ているような家がありました。
  その家では、食べるものがなくて
  ごはんにしょうゆをかけて食べているって、
  まことしやかに言われていて、
  おかずに文句など言おうものなら、
  必ずその話を持ち出されたものです。
  
  
  よく、食糧不足の国の話をして、
  粗末にするなということはありますが、
  実際に知らない国の話ではなくて、
  近所の何某さんなんていわれると、
  あまりに現実味がありすぎて、
  これもしっかり食べたものです。
  
  
  でも、あくまでも噂だけでしたので、
  もしかしたら、何某さんに対して、
  失礼な話だったかもしれません。
  だって、その家とは、離れていたこともあって、
  直接のつき合いもなかったし、
  あくまでも母が又聞きしてきた話だけでしたから。
  
  
  今や、食糧自給率が低いくせに贅沢している日本ですが、
  戦中、戦後の食糧難の時代をのぞいても、
  飽食なんてしていませんでした。
  
  
  ですから、自然と「食べる」ということには、
  きっちり向き合っていたのでしょうね。
  食育なんてわざわざ大騒ぎしなくても、
  それはあたりまえのこととしてあったのです。
  
  
  私が赤ん坊の頃、母が私をおぶって乾物屋さんに行った時、
  そこのあばあちゃんが、私を見て、
  「子供には硬いものを食べさせるんだよ。
  そうすると、頭が良くなるからね。」
  そう言って、するめの足を1本抜くと、
  「こうすると、落とさないで、
  噛んでいられるから」
  って、私の指にくるりと巻きつけてくれたそうです。
  
  
  そのせいか、小さい頃は、
  母はよくするめを焼いて食べさせてくれました。
  
  
  今、子供が硬いものを食べなくなって、
  あごや脳の発達に障害がおきていると
  言われていますが、
  そういうことも、自然に伝承されていたんだなあと思います。
  
  
  しかし、この話、私には、
  気になることが二つあるのです。
  一つは、足を抜かれたするめが売り物だったのかどうか。
  商品価値をなくしてしまったにしても、
  反対にそのまま売られてしまったにしても、
  気になるではありませんか。
  
  
  そして、もう一つ気になることは…。
  そこまでしてくれたのは、
  あまりに馬鹿面している赤ん坊だったので、つい…
  って思ってくれてのことかもしれないってことであります。
  
  
  
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    あれこれ後記
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  ◇プリンターの調子が悪くなり、スキャナーの調子も悪くなり、
   仕方ないので、一体型の複合印刷機を買いました。
   やれやれ、これで一安心。
  
  
   と思ったら、今度は自転車の調子が悪くなり、
   自転車屋さんに修理に持っていったら、
   部品がもう磨耗破損してしまって、
   修理するとしたら全部分解して、入れ替えることになるから、
   高い物についてしまうというのです。
   タイヤも傷んできてたので、もし乗り続けるなら、
   これも替えないとならないし。
   11年乗りとおしてきた自転車、愛着はあるのですが、
   お金がないので、新車を買う事にしました。
  
  
   自転車屋さんいわく、
   「昔の自転車なら、簡単に部品だけ交換できたんだけど、
   今の自転車は、みんなこうなってしまってね。
   きれいに乗ってるからもったいないけど。」
  
  
   そうなんです。
   箱入り娘みたいにして、大事にしてきたんですよ。
 
  
   以前、駐輪場で隣に自転車をとめていたおばさんの、
   自転車を出すのを手伝ったら、
   それが恐ろしく古い自転車で内心びっくりしたのです。
   それを見透かしたかのように、
   おばさん曰く
   「もう、これ20年以上も乗ってるの。
   タイヤも3回替えたし。
   でも、愛着あるからこれじゃないとだめなのよー。」
  
  
   それを聞いて、
   「よし、私も今の自転車は20年もたすぞ。」
   と思って、きれいに乗ってきたのに、
   あえなく半分で挫折。
  
  
   今までの自転車の中で、
   一番たくさんの距離走った自転車だと思うので、
   別れはつらかったのですが、
   置いておくわけにもいかないし…。
  
  
   本当に今は、なんでもかんでも、
   修理するより買った方が安いような仕組みに
   なってしまいましたね。
   まあ、新しいものは嬉しいって気持ちもあるのは確かですが、
   簡単に部品交換できるようにしといてよ。
  
  
   しかし、また何か壊れないことを祈るのみっす。
   お願いっす。




  ◇夕暮れの中、小学生たちが、
   それぞれの別れ道に来て、
   「じゃーね。バイバイ!」
   と元気よく挨拶しています。


   そこまでは普通の光景でしたが、
   そのあとに、
   「良いお年を!」
   なんて言いあって、別れて行くのにびっくり。
   自分の小学生時代、「良いお年を」なんて、
   言い合ってたかなあ。


   今の小学生のほうがしっかりしていることもあるじゃない、
   と思った出来事でした。
   皆さんは、子供の頃、友達どうしで言ってましたか?
   

   さて、今年も1年、本当にありがとうございました。
   忙しさにも拍車がかかる年の暮れ、
   皆様もお忙しいでしょうが、
   元気に新しい年をお迎えください。


   それでは、私も小学生に負けないように、
   「良いお年を!」
     

                        (ひとみ)
  
  


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