「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第50号 エスカレーター


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        いいとき生まれた!昭和30年代  第50号     


                    2005. 11. 15      


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  今は、街に外出すれば絶対出会わないことはない、
  というくらいに普及しているエスカレーター。
  このエスカレーターが、
  私には曲者でした。

 
  昭和30年代当時は、
  エスカレーターなんて、
  デパートくらいにしかなかったのではないでしょうか。
  だから、あまり乗り慣れていません。


  そこで、上りに乗るときは、
  喜んで珍しがってホイホイ乗っていくのですが、
  問題は下りです。
  

  この下りのエスカレーターが、
  怖くてなかなか乗れませんでした。
  私より小さい妹たちが、
  平気でクリアして乗るのに、
  この姉さんときたら、
  しっかり手をつないでもらって、
  乗せてもらわないと、だめなのでした。

  
  毎階、乗り口でごねるのをなだめすかされ、
  親に乗せてもらうのですから、
  後ろの客がよく怒らなかったもんだと思います。
  

  (いや、正直に言えば、
  今でも、エスカレーターに乗るときは、
  手すりにつかまらないと乗れないんすけどね。
  エスカレーターから降りるときは平気なんだけど…。)
  

  で、親も面倒なのか、迷惑をかけないようにか、
  数階程度ならエスカレーターを使っても、
  エレベーターを使うことも多かったのです。
  

  このエレベーターも当時のは、
  時代がかってましたね。
  
  
  ガラスと鉄格子の二重扉。
  (今でも、こういうエレベーターがあるデパートを
  見たような気がするのですが、
  どこだったのか、いつのことだったのか、
  記憶が定かでありません。)
  
  
  箱が来ていないときは、
  動いているワイヤーがよく見えました。
  その暗闇でうごめくワイヤーの動きは、
  ちょっと怖くもあり、興味もひくものでもありました。
  思わず、ガラスから覗き込んだりしたものですが、
  もちろん、下は真っ暗で何も見えません。
  

  階数表示なんて子供ですから見てません。
  ですから、そんな中で、
  突然、満杯の人を乗せた明るい箱が、
  ふわっと浮き上がってきたり、上から降りてきたりします。
  そしてエレベーターガールのお姉さんが、
  「上へ参ります」とか
  「下へ参ります」なんて言いながら、
  にこやかに出てくるのですから、
  それまでのガラスの中の世界とのギャップが
  とても不思議であり、おもしろくもありました。
  
  
  そんなデパートにはさすがに、
  いつもの商店街にはないようなものが、
  たくさんありました。
  

  で、子供心に素敵なものとか、
  きれいなものを見つけると、
  私は親に向かって言いました。

  
  「大きくなって社長になったら、
  買ってあげるね。」

  
  まったく、言うことだけは、
  でかいことを言います。
  こういうのを、大ぼら吹きというのですね。
  

  しかし、何を隠そう、実は私、
  子供の頃は、大きくなったら社長になりたいと
  思っていたのです。

  
  当時は、女の子は、
  「大きくなったらお嫁さんになりたい」という子が、
  けっこう多かったですが、
  私にとってはこれがわかりませんでした。
  きいちのぬりえの、
  文金高島田のお嫁さんの絵など思い描いて、
  なんであんなものになりたいんだろ?
  と思ってました。
  
  
  やっぱり、ちょっと変ってましたが、
  こんなことを言う子供に、
  うちの親は、
  ひょっとしたら、将来頼もしい子かも、
  と思ったでしょうか。
 
 
  いや、エスカレーターも1人で乗れない子供だもの、
  はなっからそんな期待なんかしてない、
  と言われそうです。
  そういえば、いつ社長になるのかという催促は、
  一度も受けたことがないや…。
  
 


 
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    あれこれ後記
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  ◇少し前になりますが、
   スーパーの4階で買い物していたら、
   どこからか激しい子供の泣き声がしてきました。
   店内中に響き渡っているのですが、
   どこから聞こえてくるのかわかりません。
  
  
   買い物をすませ、
   エスカレーターで3階まで降りてきたら、
   その泣き声がだんだん近づいてきます。
   見ると、3階から2階への下りエスカレーターのところで、
   幼稚園の制服を着た男の子が、
   幼い日の私と同じように、
   下りのエスカレーターに乗れないで、
   泣いているのです。
  

   おお、同類よ!
   おばちゃんは、あなたの気持がよくわかる。

  
   下を見ると、その子のお姉ちゃんらしい子が、
   「早くおいでよ」
   と困ったような顔をして、
   呼んでいました。
  
    
   子供だけで来てるのか、親らしき姿はありません。
   これでは心細いだろうと思い、
   私はその子に声をかけて、
   手をつないで一緒に乗せてあげようとしました。
   でも、その子は、それでも怖がって乗ろうとしません。
  
  
   こうなると、その子を持ち上げて
   乗せるしかありません。
   しかし、そこではたと気づきました。
   自分の荷物もある状態で、
   この子を持ち上げて下りエスカレーターに乗せる、
   これは自分でもちょっと怖いではないか。
   しかもエスカレーターの幅が狭いので、
   誰かの力を借りて、
   二人がかりで乗せるわけにもいきません。
   これは、怪我でもさせたら、大変なことになるぞ。
  
  
   とはいうものの、そんな不安な様子を見せたら、
   この子もますます怖がってしまう。
   そこで、顔はにこやかに、
   内心はかなりの緊張感をもって、
   その子を乗せました。
  
  
   後ろに来た、私の母親世代のおばさんも、
   声をかけて、その子を励ましてくれました。
   (私も励ましてほしかったぞ。)
  
  
   その子の体がこわばってたので、
   ちょっとふらついたものの、
   無事乗せて、下へ待つお姉ちゃんのもとへ。
  
  
   ところが、下にいたお姉ちゃん、
   私たちが降りてきたのを見ると、
   即座に走り出しました。


   『きれいなおねえさん、ありがとう、
    幼い姉と弟はこう言って、 
    仲良く手を取り合って帰っていきました』
   なーんて展開は、
   想像していませんが、
   おいおい、お姉ちゃんよ、
   弟ほっぽらかしてどこへ行く。


   これを見て、置き去りにされるのではないか、
   という不安に駆られた弟も、
   降りるとあわてて後を追って走っていきました。
  

   すると、お姉ちゃん、なんと、
   また上りエスカレーターに乗るではありませんか。
   弟も、つられるように上りエスカレーターに。
  
  
   せっかく苦労して降りたのに、また行くか〜!
   表面では、「あらあら、また行っちゃうの〜」
   なんて言いながら、内心むかつく私。
  
  
   それに、また上までついていって、
   面倒見てあげるほど人が良くないのです。
   今度はまた別の人が降ろしてくれるだろうと思い、
   下りエスカレーターに乗りました。
 
  
   すると、
   「危ないから降りてきたらだめだよ。
    そのまま上に行きなさい。」
   そういう2,3人のおばさんの声が聞こえてきました。
  
 
   どうやら、途中で自分のこれからの運命の展開に
   気がついたらしい男の子が、
   引き返して降りようとしているらしいのです。
  
  
   大丈夫かな、
   と心配になったとたん、
   「なにやってんの!!!」
   と母親らしき叱声が聞こえました。
  
  
   な、なぬ!
   おっかさん、そこの階にいるのかよ。
  
  
   だったら、店内中に響き渡っていた子供の泣き声も、
   騒ぎも聞こえてるだろうが!
   抜き差しならぬとみて、ようやくお出ましと見える。  
   そんなんで、子供を叱れる立場か。 


   思わず、こっちもエスカレーターを逆走して駆け上がって、
   その母親に「あんたこそ、なにやってんのよ!!!」
   と怒鳴りたい衝動にかられました。
  
   
   緊張してようやくの思いで乗せただけに、
   よけいに腹のたつ、後味の悪い出来事でした。
  
  
   それから少したって、
   子供のエスカレーター事故のニュースがありました。
  
  
   そのニュースを知ったとき、
   あのときのおっかさんが、
   このニュースを見て、
   子供を危険な状態で放置しているということに、
   気がついてくれるといいなあと、
   真っ先に思ってしまいました。
  
  
   躾のなってない母親が自覚を持ってくれるのはもちろんですが、
   あの男の子が、すでにその影響が心配なお姉ちゃん共々、
   まっすぐ育ってほしいと願うばかりです。
  
  
  
  ◇もう一つ、正直に言います。
   私はいまだに、エレベーターとエスカレーターの区別が
   一瞬でできません。
   それを確認するのに、必ず最初に頭の中で
   「エスカレーターにお乗りの際は…」
   というアナウンスを思い出して、
   「だから、階段がエスカレーターで、
   箱がエレベーターだな」
   と区別してます。
   今回のメルマガの中でも、無意識のうちに、
   かなりごちゃまぜになっていて、だいぶ直しました。
  

   苦手なのは下りエスカレーターだけでなく、
   その名前もなのでした。


  ◇今日は紀宮さまご結婚の良き日、
   そして友人の誕生日とおめでたいことが重なる日でした。
   あっ、もう一つ、メルマガ発行日となったことも、
   おめでたい。(そう思うのは自分だけ)
 

                             ひとみ
 


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