「いいとき生まれた!昭和30年代」

メールマガジンバックナンバー

 


第49号 雑貨屋の引き売り


  ★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆


        いいとき生まれた!昭和30年代  第49号     


                    2005. 11. 1      


  ★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆



  江戸時代の物売りの声を伝承している人がいて、
  テレビで聞いたことがありますが、
  なかなか粋です。
  
  
  当時の物売りは、注意をひくためにでしょうが、
  衣装に凝ったり、芸をしたりと、
  なかなか努力していたようで、
  独特の売り声も、その一環なのでしょう。
  
  
  そういう意味では、昭和30年代の物売りは、
  かなり地味になってましたけど、
  今にくらべたら、ずっと味がありました。
  すでにこれまでにも、いろいろな引き売りの話が出ましたね。
  
  
  さすがに天秤棒かついでというのはありませんでしたが、
  中心となっていたのは、
  リヤカーとか屋台とか大八車とかいった類の、
  人が足で歩いて、車をひいてくるものが中心。
  ロバのパン屋だって、ロバまかせではありません。
  私の記憶では、自転車で来ていたのはお豆腐やさんと
  前号の紙芝居やさんくらいだったかな。
  それにしても、これも人力ですね。
  
  
  もう一つの共通点は、
  来たことを知らせるのは売り声ではなく、
  鳴り物入りのご登場!だったこと。
  
  
  一番多かったのは、
  鐘を鳴らして歩くものでしょうか。
  福引開場などで、当たりが出たときに、
  からんからん鳴らす、
  あの大きな鐘を鳴らしながら、
  車をひいてくる姿、
  覚えていらっしゃいますか。
  豆腐屋のラッパや前号の紙芝居やの拍子木などは、
  それだけで何が来たかがわかります。
  そうそう前号の紙芝居やの拍子木は、
  拍子木ではなく太鼓だったという方も、
  いらっしゃいました。
  これも地域性があるようです。

  
  夏の風物詩の風鈴売りなら、
  もうその涼やかな音そのものが、
  お知らせになります。
  今思うに、風鈴売りのおじさんは、
  いつも癒しの音の中にいたんだなあ。
  それとも、いつも大量の風鈴の音を聞いていると、
  癒しにならないのかな?
  
  
  (もう一つの夏の風物詩といえば、金魚やさん。
  金魚やさんといえば、ひかれている台車の上で、
  水槽の水がタップタップ揺れて、
  金魚がおたおたしながら一緒に揺れていたけど、
  あれで、金魚は酔っ払らわなかったのだろうか?
  と、今頃になって、気になって仕方ありません。)
  
  
  でも、その他にも、
  特に印象に残っている引き売りがあるのです。
  それは、雑貨屋さんです。
  子供にはあまり縁のない引き売りなのに、
  なぜ、よく覚えているのかというと、
  その引いている車に満載の商品の多さです。
  
  
  うわー、よくあんなものが引けるなあ、
  と思えるほどで、
  とにかく、民族大移動かと思えるほど、
  いろいろな雑貨が、山となってぶらさがっていました。
  子供でしたから、
  なお、その山が大きく見えていたのだと思いますが、
  だいたい、どこに何があるかわかるのか?
  上のほうのはとれるのか?
  と心配するほど、山盛り鈴なりといった風情でした。
  
  
  でも、おじさんは言われたものを、
  きちんとその山の中から取ってくれるのです。
  もっとも、そうでなければ、
  商売になりませんが。
  
  
  そういう車ですから、
  車の通る道などでひいていれば、
  けっこう邪魔になります。
  今なら、まず街中で引いて歩くことなどできないしろものです。
  
  
  でも、昔は、そういう引き売りのリヤカーなどが、
  道を占領して歩いているからって、
  クラクションを鳴らすようなドライバーもいず、
  当然のように後ろで待ち、
  対向車の途切れるのを待って、
  大きく迂回して追い越していくというのは、
  あたりまえでした。
  
  
  それだけ、まだまだ、
  人力でひく車が社会に馴染んでいた時代の
  名残があったからではないのかと思います。
  
  
  車はすでによく走ってはいましたけど、
  まだまだ今のようにのさばってはいず、
  マナーやドライバーの心には、
  まだまだゆとりがあった時代のことですから。
  最初の頃、書きましたけど、
  よちよち歩きの赤ん坊だった私が、
  道路のまんなかで道を占拠していた時は、
  渋滞の列を作って、
  車が様子見で待っていてくれたのですから、
  それから数年たったくらいでは、
  まだのんびりしていたのですね。

  
  そうは言っても、その後車は増え続け、
  道をふさぐようなリヤカーは、
  だんだんと邪魔者扱いされるようになって、
  とても道路ではひいて歩けない社会になり、
  鳴り物つきの歩く引き売りは、
  スピーカーつきの車での移動販売、
  という形に変貌してしまったのですね。
  まさに時代の流れとしか言いようがないです。
  
  
  今、あの引き売りを復活させようとしたら、
  まず引き売り専用レーンの道路整備からはじめなくてはなりませんな。
  でも、今なら歩行者や自転車にまで、
  邪魔者扱いされてしまうでしょうか。
  それ以前に、まず、
  あのきつい肉体労働をする人がいないか?
  
  
  外で遊んでいてふと顔をあげたとき、
  荷物がうずたかく満載されたそんな雑貨屋のリヤカーを、
  おじさんがえっちらおっちら引きながら、
  脇の道をゆっくりと通り過ぎていく姿、
  自動車に乗っていて、そんなリヤカーが、
  道路をふさぐように前方にのそのそ動いている姿は、
  当時もなんとなく目が離せなくなるものでした。
  だからこそ、今でも鮮明に覚えているのです。
  
  
  その姿は、それほど子供心にも大変だなあ、
  すごいなあと思わせるものだったのです。
  
  
  そして、あの引き売りの姿を今思い出すと、
  なぜかその上に、
  
  「生きる」
  
  という文字が浮かび上がってきてしまうのです。
  
  
  うん、いいものを学ばせてもらっていたのかも。
  

  
  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    あれこれ後記
  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  

  
  ◇いつだったか、
   音が割れてるほどの大音響で行く竿竹屋が、
   いました。
   たぶん、スピーカーの音をずっと聞いているうちに、
   難聴になったんだと思います。
   普通の人なら、そんな音をずっと聞いてる自分が、
   まず耐えられないだろうくらいの大音量でしたから。
  
  
   あれじゃ、もし呼び止められても、
   聞こえないだろな。
   あっ、今は家の中から呼び止めるより、
   出ていって合図しなくてはならないから、
   かまわないのか。
   その前に、そんな迷惑な奴から買わないな。
  
  
  
  
  
  ◇ところで、前号の紙芝居屋さんの話に続き、
   T.Oさんが、もう一つ子供向けの商売、
   型屋さんの話を送ってくれました。

  
   皆さんからいただくメールを見ていると、
   特に男性のほうが
   小学校前のあやしい商売とか、
   この型屋さんなどは
   よく覚えているようです。
  
  
   実は、私は型屋さんに関しては記憶がないのですが、
  でも、「私は知りません」
  と言い切れないあやふやな感覚もあるのです。

  
  まあ、とりあえず、
  T.Oさんのメールの一部をどうぞ。
  
  
  「小学校には帰り道の子供を狙って、ひよこ売りや亀売りも
  よく来ていましたが、ちょっと変わったところでは型屋
  というのがありました。
  
  あまり知られていないと思うのですが、小学校の裏の
  空き地で商売してましたね。
  
  内容は素焼きの型に、粘土を押し込んで出来た人や
  乗り物等に粉の塗料で彩色し、完成するとおばちゃんの
  ところに持っていきます。そういった作品がある程度
  たまるとおばちゃんが、皆の前で採点し、採点によって
  点数券をもらったような気がします(記憶不確か)
  
  粘土や塗料はその都度、おばちゃんから買ってました
  型も持っていましたが、高得点を得られる大きな型は
  高くて買えなかったのですが、そこは良くしたもので、
  レンタルで借りられました。前途した点数券で粘土や
  塗料と交換してくれた?と思います。
  
  小学校低学年の頃(私昭和32年生まれ)にたまに来る
  程度で、その後は来なくなりましたし、名称の型屋という
  のも周りがそう言っていただけなのでよくわかりません。
  地域的なものだったのかもしれませんね。
  
  ただ、学校が引ける頃に目敏い子が「おーい型屋がきてるぞ」
  なんて聞くと、家に走って帰って小遣い握りしめて、空き地に
  走った記憶はあります。」
  
  
  で、探してみたら、
  こんなページを見つけました。 
   http://www.bekkoame.ne.jp/ha/asobi/katazyouhou/kataz.html
  
  
  昭和30年世代より上の世代の方も、
  思い出として残っているようなので、
  紙芝居と同時代で全盛を築いていたようです。
  でも、これを見たら、
  ますます覚えがないといいきれない気がしてきました。
  でも自分ではやった記憶はありません。
  推測するに、どっかに来ているのは見ていたけど、
  自分ではやらなかった、というところでしょうか。
  
  
  でも、懐かしく思い出す方、
  いらっしゃるでしょう。
  
  
  T.Oさんもいろいろな物売りには、
  「今日廃れてしまった商売を目にすることが出来たのは幸せだった
  のかなと思います。」
  としたためてくださいましたけれど、
  考えてみたら、確かに財産ですよ、これは。
  ちょっと大げさ?
  
                               (ひとみ)
  
  


  
  
  ======================================================================
   
   発 行 日本の小粋な和みの暮らし「和・は・は」
       http://wa.hitokiwa.com/

    このメールマガジンは『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/を利用して
    発行させていただいております。

   「いいとき生まれた!昭和30年代」
    バッグナンバー http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000135400
    購読・解除    http://wa.hitokiwa.com/merumaga.htm



    姉妹サイト やる気元気前向き!「あっぱれぷらすサイト」
        http://www2.ocn.ne.jp/~aps/
        よりこんなメルマガも発行しています。

   「あっぱれ長屋のプラス話」
    バッグナンバー http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000115032
    購読・解除    http://www2.ocn.ne.jp/~aps/nohohon.htm


   「脱!惰性生活〜惰性で生きるな、自分を生きよう」
    バッグナンバー http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000117051
    購読・解除    http://www2.ocn.ne.jp/~aps/nohohon.htm
  

   
    ※メールはこのメールの返信ボタンをクリックすれば、
     返信用のメールが開きます。
     (件名はそのままでけっこうです。)


  ======================================================================   
           
 
←前の号      次の号→

一覧から選ぶ


登録する



このページのTOPへ戻る









あっぱれぷらすサイト ぷらっとネットショップ


和ははホーム


今の日本を楽しむ和はは生活

懐かしの昭和30年代

幕末維新の時代

日本の物産名産入口

日本の旅

日本のエコロジー

こだわり国産品



日本の伝統文化を取り入れた和はは生活

日本の衣

日本の食

日本の住

日本の癒し

日本の美

日本の縁起物

日本を知る本

寄り道・和はは生活

松竹梅子の小遣い稼ぎの口入屋

メールマガジンのご案内

和ははの日本人講座

お休み処