「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第45号 行水


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         いいとき生まれた!昭和30年代  第45号     


                    2005. 9. 4        


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  この間、妹の家の、外にある風呂釜に、
  なんと雷が落ちて、風呂釜が壊れてしまったそうです。
  風呂釜だけですんで良かったですが、怖いですね。


  しかし、風呂釜が壊れてしまっては、お風呂に入れません。
  いくら夏でも、水風呂というわけにはいかず、
  思わず、行水ができるたらいを買いに行こうかと思ったそうです。
  でも、今時、そんなたらいが売ってるかどうかわからないと思い直して、
  ともかく、鍋ややかんを総動員して、お湯を沸かしまくり、
  水は出るので、それで各自が適当に、体を洗ったそうですが、
  真っ先にたらいを買いに行こうと思うのは、
  行水を知っている世代だから、出る発想です。
  

  銭湯に行けば良かったのにと言ったら、
  それでは出費が大変だと言われました。
  確かに、お姑さんも同居してますので家族5人、
  銭湯へ行ったら、大変な出費ですね。
  一日で済む話でもありませんし。
  銭湯も気楽に毎日通えなくなったというより、
  銭湯に毎日通う必要がなくなった時代だから、
  仕方ないことですが。
  

  子ども達は、今流行の、お風呂がメインの娯楽施設みたいなところに、
  毎日連れて行ってもらえると
  期待していたみたいですが、
  もちろんそんなことはありませんって。
  

  でも、考えたら、夏の風物詩だった行水の経験がある世代としても、
  私たちはぎりぎり世代かもしれません。
  もしかしたら、すでに経験がないという方も、
  いらっしゃいますか。
  内風呂の普及で、銭湯通いが消えたと共に、
  行水も姿を消してしまいました。
  

  テレビで下積みの芸人が、
  お風呂代がもったいないと、
  台所の流し台で、
  窮屈そうに体を洗っていたのを、
  見たことがありますが、
  行水ができる場所があったなら、この人も、
  もう少しまともなお風呂気分を味わえるのになあと、
  思ったことがあります。
  

  その場所ですが、行水といえば庭先で、
  というのが多いですが、
  当時住んでいた都営住宅は、
  庭はあっても、塀がありませんでしたので、
  庭ではできません。
  

  そこで、どこでしたかというと、
  玄関でした。
  

  今思うと、よくしたよなあと思いますが、
  子供の頃は、玄関がお風呂に変わってしまうことが楽しくて、
  「今日は、行水にしよう」
  というと、わくわくしてました。
  もちろん、夏だけの季節限定というのも、
  わくわく感を高めていたのかもしれません。
  

  靴を上にあげ、たらいを置いて、鍵を閉めれば、
  即席浴場。
  「熱いから、どきなさい!」
  と言いながら、母親がお湯を沸かした鍋ややかんを持ってきて、
  たらいにざーっとあけると、
  湯気が立ち込めます。
  そうして、今度は、バケツに汲んだ水を流し込んで、
  適温になったとみると、
  「よし!」
  

  いつもは玄関なのに、
  そこでお風呂に入っている感覚がとにかく楽しかったです。
  せまっ苦しいのにね。
  

  たらいに漬かって、背中にお湯をかけて充分遊んだら、
  じゃなくて、汗を流したら、
  石鹸で身体も頭も一緒に洗います。

  
  上がり湯として、用意したバケツに入れたきれいな適温のお湯で、
  石鹸を流して、最後に漬かっている足を片足ずつ流して出るのですが、
  時には、せっかく流した片足を、またどぼんとつけてしまって、
  怒られたりしたこともあったような気が…。


  ぬか袋など使っていた昔の行水とは、
  ちょっとスタイルが違うかもしれませんが、
  我が家の行水は、こんな感じだったように記憶しています。


  しかし、そんな行水となるといくら子どもでも、
  三人一緒にはたらいに入りきらないので、
  いちいちお湯をわかしたり、入れ替えたり、洗ってやったり…と、
  かえって大変な重労働だったと思うんですけど、
  母親は玄関で行水させてたことなど、
  すっかり忘れているのです。
  

  それとも、実際は回数はそんなに多くなくて、
  印象的なことだったから、
  私は鮮明な記憶で残り、母は忘れたのか、
  そのあたりは定かではありません。
  今度、妹たちにも聞いてみようと思っています。

  
  でも、やっぱり行水は、庭でできるのが一番ですよね。
  涼しいし。
  とはいえ、行水がもっと盛んだった江戸時代だって、
  庭付きの家に住んでいる庶民は限られてたでしょうから、
  目隠しは必要だったみたいです。
  だから、きっと長屋などでは、
  玄関にあたる入口の土間などで入っていたことも、
  ありえるのではないかと思います。
  だとしたら、江戸の伝統を、きっちりと引き継いでいたことになるなあ。


  人口が集中して、高い建物も多い都市部では、
  今はどんなに目隠ししても、
  完全に人の目をシャットアウトするのはむずかしいですから、
  仮に、内風呂が普及しなかったとしても、
  場所の面で、行水は廃れていく運命にあったかもしれません。
    
  
  行水は消えたけど、
  玄関先にビニールプールを出して、
  子供が水遊びをしている光景は、
  今でも見られます。

  
  これも、私もやったなあと懐かしく思い出します。
  もちろん、このときは、玄関の外か庭でした。
  ですので、あれを見ると、当時のわくわく感を思い出してきます。
  子供がいかに楽しんでるかも、手にとるようにわかります。
  
  
  これは、今とは違ってた点は、ほとんどありません。
  いや、あった。
  今の子供は、家の前のビニールプールでも、
  きちんと水着を着ているけれど、
  当時は、その程度の水遊びならパンツ一丁だったな。
  
  



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    あれこれ後記
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  ◇妹のところに、雷が落ちたときは、
   地響きがしたそうですが、
   私も小学生の頃、
   遊びに来ていた友達と、
   窓辺にあった椅子に座っていたら、
   その窓のすぐそばにあった電柱に、
   雷が落ちたということがありました。
  
   このときは、もう引っ越していて、
   都営住宅ではありませんでしたが、
   それがために、そばに電柱が立っていたのですね。
  
   ものすごい音で、そのときは、思わず、それこそ漫画みたいに、
   2人でウワッ!と飛び上がりましたよ。
  
   停電して、すぐ電力会社が、電柱の修理に来ました。
   電柱がそばにあると物騒じゃないか!と子供心に思って、
   親に言ったら、
   電力会社の人曰く、こう言ってたそうな。
   「この電柱が、避雷針代わりになったので、
   もしこれがなかったら、お宅に落ちてたかもしれません。」
 
   ……。
   もし、そうなら、ちょっとずれて、
   私達がいたところに、落ちていたのだろうか…
   いや、家の中に落ちるなんて、それはないよなあ…。
  
   とにかく、それを聞いて、
   瞬時におとなしくなったことは、
   言うまでもありません。
  
   ところで、この電柱、いつのまにかなくなって、
   今はないです。
  
   母は残念がってます。
   いえ、避雷針になるからではなくて、
   それまでは、私道部分などに2本立っていたので、
   2本分の地代が入っていたのに、
   1本になってしまったから…。
  
  

  ◇jararacaさんより、ちょっとおもしろい話をいただきました。
  

   「昔は情報の伝達が遅いのと不正確なので各地域で面白い物や何で
   そんな風にって物がいろいろあったような気がします。(いや有りました)
  
   今でも思い出すのは幼少の頃、私の住んでた地区ではタコ焼きを串に
   3個(4個もまれに)刺して一本単位で売っていたんです。
   そうチビ太のおでんみたいな感じで!
   ソースだけではなく醤油がオプションだったお店や屋台も有りました。
   あれ本当に美味かったのかな?
   疑問です?
  
   今はどこの店でも、フネに乗せてある物ばかりで串に刺してある物は
   見ません......ちょっと寂しいです。
  
   チビ太みたいなおでんは見た事がないのですがやっぱり何処かの地方
   ではちゃんと普通に売っていたのでしょうか?」
  
   
   jararacaさんには、返信メールで書いたことと
   同じになってしまうので、申し訳ないのですが、
   私は、逆に、第9号(2004.9.10発行)で書いたとおり、
   チビ太のおでんには、大いに馴染みがあり、
   串刺しのたこ焼きを全く知らないので、
   これはおもしろい話でした。
   本当に地域性って、今より大きかったんだなあと思います。
   テレビ番組の放送なども、地域によってかなり放送時間が違いましたしね。
  
   でも、チビ太を、jararacaさんみたいな思いで見ていた人も、
   多かったんでしょうね。
   赤塚不二夫さんは、このこと、ご存知だったでしょうか。
  
   このメルマガも、つい自分を基準に書いてしまうので、
   時々、自分の場合と違うと思われることがあるかもしれません。
   そういうときは、自分の場合はこうだったと、
   どんどん教えてくださいね。
  

  
  ◇今年の夏も、もうすぐ終わります。
   私は基本的には冬が嫌いですが、
   夏が終わっていくという時期も、どことなく寂しくて嫌いです。
   扇風機派の私は、もちろん寝る時も扇風機ですが、
   それが必要なくなってくると、
   あのもわ〜っとして嫌だった熱帯夜が恋しくなってくるのですから、
   勝手なものです。
  
   でも今年は、そんな時期でも、選挙で熱く盛り上がってるようです。
   日本丸の舵取りをする船長選び、
   関係ないと人任せにしていたら、
   とんでもないところに連れてこられてた、
   なんてことがないようにしましょうね。
   
   な〜んてえらそうに言ってる私も、20代の頃は、
   まじめに選挙に行ってるほうではありませんでしたが、
   棄権していたら、どんな不合理な目にあわされても、
   文句を言う資格も権利もないと気がついてから、
   選挙では、そのときに自分が思う方向へ、
   一票を投じています。
  
   日本丸は、すべて船長の独断にゆだねる船ではなく、
   船長にどちらに行かせるかを、
   乗っている私たちが決める船なんですもの。
   船が座礁して、海に放り出されたら大変ですから、
   棄権している場合ではありません。

   でも、自分のところには誰が立つのかもわからないうちから、   
   関係ない土地の候補者には詳しくなったり、
   三分の一がまだ決めてないとする世論調査なのに、
   与党優勢だのなんだのって、選挙前から大騒ぎしている
   マスコミ報道の仕方を見ると、
   なんだか、世論操作でもしたいの?
   って、疑いたくなるときもあります。
   もっと、大人の報道の仕方ができないものでしょうか。

   痛みはさらに増すが、現状維持の方向に賭けるか、
   痛みはさほど増えないが、腕前は未知数の方向に賭けるか、
   自分の目で見て、自分の頭でじっくりしっかり考えて、
   決めることにしますわ。

   
                               (ひとみ)
  


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