「いいとき生まれた!昭和30年代」

メールマガジンバックナンバー

 


第34号 お風呂騒動


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         いいとき生まれた!昭和30年代  第34号     


                 2005. 4. 17           


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  昔の公営住宅って鷹揚だったのでしょうか。
  
  私の住んでいた都営住宅も、
  動物は飼えないはずなのに、
  庭で犬を飼っている家は結構ありました。
  
  もちろん、猫を飼っている家もありました。
  (なぜか、おばあさんがいるところは、
  猫を飼っている家が多かった気がする。)
  
  鳩小屋をつくり、2階の窓から出入りできるようにして、
  伝書鳩を飼ってる家もありました。
  
  動物だけではありません。
  我が家では、庭にお風呂を作ってしまいました。
  さらに、お風呂に出入りするのに、廊下も必要ということで、
  廊下も建て増ししてしまいました。
  廊下といっても、箱型ブランコが置けて遊べましたので、
  小部屋といってもいいかもしれません。
  
  各戸の庭の広さは5坪ほどありましたので、
  そんなのを建て増ししても、
  花壇も、遊べるほどの広さも、まだ充分ありました。
  私が生まれる前は、池なども作っていました。
  写真が1枚だけ残っていますが、
  それだけ見ると、どこかの庭園みたいに見えるほど、
  気合が入ってます。
  子供が生まれるので、危ないからと埋めたそうですが、
  都営住宅に住む庶民でも、ある意味では、
  今より贅沢なゆとりのある暮らしを
  していたのかもしれません。
  
  以前メールをいただいたなかで、
  県営住宅に住んでいて、家族が増えたので、
  庭にプレハブを建てたという方がいらっしゃいましたから、
  やはり、それくらいの広さが普通だったし、
  出るときに、元通りにしておけば、
  全国的にあまりうるさいことを言わなかったのかもしれません。  
  
  動物を飼ってるとか、建て増ししてるとかいうことで、
  わざわざ抗議したり、告げ口するような人もいませんでした。
  近所のコミュニティができあがっていたのか、
  暗黙の了解みたいなものになっていたのでしょう。
  そういうことでトラブルがおきたことも、
  自治体から何か言われることも、ありませんでした。
  
  それでも、教育上、よろしくないことをしていると思ったのか、
  親は、
  「本当はいけないことなんだよ。
   取り壊せといわれたら壊さなきゃいけないんだよ。
   だから、近所の人はいいけど、
   ほかのところでは、あまり話すんじゃないよ。」
  と、まるで秘密のアジトみたいなことを私たちに言ってました。
  でも、そっちのほうも、教育上よろしくない気がいたします。
  しかも、大工さんに頼んで、作ってもらってるのですから、
  もう完全な確信犯です。
  
  もっとも、お風呂といっても、
  トタンで囲って、コンクリートを張り、
  昔よくあった、小さな煙突のある釜付きの木の風呂桶と
  すのこを置いただけ、
  と言っても過言ではないほど、簡単なもの。
  水道は必要ですから作られましたが、
  排水は、庭に垂れ流しでした。
  かなり、無謀な所業です。

  お風呂ができたことで、
  銭湯から遠ざかってしまったのは残念なことですが、
  便利さにはかないませんでした。
  口止め料というわけではないでしょうが、
  近所のおばちゃんたちも、
  時々このアジトの一番風呂に招待しました。
  
  「お風呂がわいたから、どこどこのおばちゃん、
  呼んどいで。」
  と言われて、呼びに行ったりしたものです。
  (そう言えば、「もらい湯」という言葉も、なくなりましたね。)
  
  シャワーなどは、ありませんでしたから、
  頭も体も湯船のお湯をかけて洗います。
  でも、同じようなお風呂があった方は、
  おわかりでしょうが、
  浴槽の横の釜の上にあたる部分に、
  小さな水槽があって、そこにも水を張って、
  沸かせるようになっており、
  そのお湯を上がり湯として、
  使えるようになってました。
  
  ただし、こちらは熱いままですので、
  汲んだ後に、水で埋めてからかけなくてはなりませんでしたが、
  シャンプーのすすぎの一番最後には、そのきれいなお湯を頭に、
  お風呂から出る前には、体にかけて出ました。
  
  今にして思えば、いくら最後にきれいなお湯をかぶるといっても、
  汚れた体が浸かったお湯ですすいで、
  果たして、洗ったことになるんだろうか?
  という疑問もおこるのですが、
  当時は、普通のことと思ってました。
  
  しかし、今のようにシャワーがあったらなあ、
  と、いまだに思わずにはいられないことが、
  一度あります。
  
  当時は、たいてい姉妹三人で入って、
  洗う時だけ、母親がやってきて洗ってくれました。
  
  ある日のことです。
  その日は、招待客もなく、私達が最初でした。
  私が洗ってもらってるとき、
  湯船の中にいた妹の一人が、びっくりした声をあげました。
  
  見てびっくり。
  なんと、湯船のふちに座っていたもう一人の妹が、
  座ったまま、湯船の中に、おしっこをしているではありませんか。
  
  母親に頭をはたかれて、
  すぐにトイレに行かされた妹ですが、
  当時を回顧する妹いわく、
  「すでに、お風呂で出てしまったのだから、
  トイレに行っても、もう出るわけないのになあ、
  と不思議に思っていた。」
  
  そちらのお説はごもっともではありますが、
  問題はそこではなく、お風呂のほうだい!
  
  しかし、母は動じなかった。
  入れ替えてくれ〜という私たちに、
  こう言い放った。
  
  「沸かせば、消毒できる!」
  
  今なら言える。
  おっかさんよ、
  それは、沸騰するくらいグラグラ煮え立たせなければ、
  無理ってもんだろ。
  もう一人の妹などは、なかなか潔癖なので、
  今なら発狂してしまうかもしれません。

  しかし、当時は、喜ぶべきか悲しむべきか、
  そこまでの知恵はなかったんですな。
  もちろん、本能的にどこか納得できない部分があったのですが、
  その言葉にしぶしぶ、いつもどおりの、
  パターンとなったのです。
  しかも、いつもより熱めのお湯を我慢する、
  というおまけつき。
  まあ、当然、上がり湯はいつもより、
  たくさんかけられましたけど。
  
  問題を起こした妹いわく、
  「お風呂ではおしっこしてもいいものだと思っていた。」
  
  私の記憶では、おふろでおしっこすると、
  お尻が曲がるって、よく言われてた気がするんだけどなあ。
  それとも、その事件の後から、そう言われるようになったのかな。
  
  しかし、ちょっと待て。
  ってことは、もしかして、
  あの日だけではなかったのかもしれないってこと?
  
  でも、真実を確かめるのには、ちょっと勇気がいるなあ…。

  しかし、招待するなら一番風呂というのは、
  礼儀という以前に、賢明なことでもあったようです。


  

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    編集後記
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  ◇前号のタミーちゃんの話に対し、
   「私はスカーレットちゃんでした。」
   というメールをいただきました。
  
   男性諸氏には、あまり興味のない話でしょうが、
   スカーレットちゃんと言えば、
   タミーちゃんのよきライバルでした。
  
   スカーレットちゃんは、
   日本のメーカーの製品でしたが、
   アメリカ製のタミーちゃんと
   対等に勝負していたどころか、
   むしろタミーちゃんより作りがよかったかもしれません。
   バービーみたいに、関節も曲げられましたし。
   日本のものづくり技術は、すでにおもちゃの世界でも、
   発揮されていたのですね。
  
   もちろん、他にも着せ替え人形はたくさん出てましたが、
   バービー、タミー、スカーレットが、
   3大メジャー人形だったでしょうね。
  
   世代を問わず、知名度がある着せ替え人形っていうと、
   リカちゃんに並ぶものはいない今より、
   バラエティがあったかもしれません。



  ◇時間がとりにくくなって、不定期発行に戻したとはいえ、
   あまり開いてしまうのも、本意ではありません。
   次号は、GW前を目処に発行します。
  
  
                           (ひとみ)
 



 
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