「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第3号 養子になりそこね?


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        いいとき生まれた!昭和30年代  第3号
  
                2004.7.30
  
               
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  前の棟の右端の家には、子供のいない夫婦が住んでいました。
  この家では、庭の花を丹精に手入れしていました。
  この棟の庭は、全部広場に面していましたので、
  その花は、広場からでもよく見ることができました。
  
  ところが、ある日、その庭のきれいに咲いた花だけが、
  根こそぎ何者かに摘まれてしまいました。
  
  一方、ちょうど広場を挟んだ向かいの棟、こちらは玄関が広場に面してました。
  
  その棟の右端の家の玄関を入っていくガキンチョが1人。
  そのガキンチョの手にはたくさんの花がああああ…。
  
  そうです。
  犯人は、前回の道路封鎖事件のよちよち歩きのときよりは、
  多少大きくなったであろう私でした。
  
  ここの奥さんは、なぜか可愛くもない私だけは、
  母が不思議がるほど気に入ってくれていた人だそうですが、
  だからといって、ずいぶん大胆なことをしでかしたものです。
  
  母親は泡食ったのなんの、あわてて謝りに行きました。
  でも、ここの奥さんは、この不届き者の所業も、
  子供のしたことだからと笑って許してくださいました。
  話を聞いた父も、あとから謝りにいったそうですから、
  相変わらず、人騒がせな子供です。

  この恩義ある人に関して、ひとつ思い出があります。
  さらに、もう少し大きくなってたある日のこと、広場で一人で遊んでたら、
  ここの奥さんが、庭に面した戸を開けて私を呼びました。
  「ひとみちゃん、おいしいケーキとジュースがあるから食べない?」
  
  この家には子供がいませんでしたから、家に上がったことはなかったけれど、
  知ってるおばちゃんだし、
  「おいしいケーキとジュース」という魅力には勝てません。
  それにつられて、ほいほい上がりこみました。
  
  何しろ、家では3人だから、何でも3分割。
  今の子を見てると、そんなことはあまりないようですが、
  ジュースひとつにしても、コップを並べ、
  その線が1ミリでも差があったら許せんということで、
  3人で目をこらしている毎日なのです。
  兄弟のいる方なら経験がおありでしょう?
  えっ?ないですか?…
  
  それが、今日はジュースもケーキも、独り占め。
  夢のようです。
  
  おいしそうに食べる私を優しく眺めながら、
  その奥さんは言いました。
  「ひとみちゃん、おばちゃんちの子にならない?」
  
  私は、ケーキをほおばりながら、ふむと考えた。
  ここの家の子になれば、ひとりっ子になれる。
  毎日、ケーキもジュースもひとりじめできる。
  悪くないかもと家の中を見渡しました。
  そのとき、新たなことに気がついたのです。
  だけど、この家には、おもちゃがないからなあ。
  
  うかつでした。子供でした。
  もし、この家の子になったら、
  自分のためだけのおもちゃなんて、
  山ほど買ってもらえたのに。
  
  こうして、お花とケーキの恩を仇で返し、
  たくさんのおもちゃもふいにした私でした。
  
  ずいぶん後になって、この話を母にしたところ、
  母は「えっ、そんな話、初めて聞いた」とびっくりしたように言ったので、
  こっちがびっくりしました。
  
  でも、子供が生まれて当然の風潮が、今とはくらべ物にならないほど
  強かった時代、子供の声の絶えないこの住宅で毎日家にいた気持ちを考えると、
  この奥さんの言ったことは、けっこう本気だったのかもしれません。
  
  当時の私はそれを感じて、子供心に、この話は母に言ってはいけないと
  思ってでもいたのでしょうか。
  
  しかし、もしそこまで賢かったら、人生最初の岐路選択の判断基準が、
  ケーキとおもちゃのわけはないよなあ。
  
  
  

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    編集後記
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  数々の事件を引き起こしていたころの私の頭は、わかめちゃんカット風。
  そう、あくまでも「風」がつきます。
  わかめちゃんカットなら、まだ刈上げボブとでもいえますが、
  髪の毛の長さはまだわかめちゃんに及んでいない状態。
  つまりわかめちゃんカット風の刈上げ。
  
  まっすぐに刈上げ状に切りそろえられた位置は、耳上1,2センチライン、
  髪の毛の短い分、そのラインの目立つこと。
  この切りそろえライン、成長と共に少しづつ、微妙に下がっていきます。

  この頭で、ぶいぶい騒動をおこしていたのか。
  いや、ひょっとしたらこんな頭にされたから、騒動をおこしていたのかも。
    
  このヘアスタイルは、いつも妹たちに笑われます。
  たった、2年半の差なのに、彼女たちはこれを免れました。
  納得いかない…。

  それともひょっとして、私と同じ年の人の中でも私だけだったのだろうか。

                

                        (ひとみ)



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