「いいとき生まれた!昭和30年代」

メールマガジンバックナンバー




第2号 道のど真ん中騒動


  ★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆
  
     
        いいとき生まれた!昭和30年代  第2号
  
                2004.7.22
  
               
  ★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆━★☆


  当時住んでいたのは、都営住宅でした。
  でも、今のような高層建築ではありません。
  庭付きの2階建て、というと聞こえがいいですが、
  それが4軒つながっている長屋です。
  そんな長屋棟が、いくつも並んでいる住宅でした。
  昨今はとんとお目にかからなくなった形式ですが、
  おわかりになる方もいらっしゃるでしょう。
  
  それだけまだ土地がぜいたくに使えたのでしょう。
  各戸の庭もある程度の広さはありましたし、
  住宅の中には広場や公園もありました。
  さらにまわりには空き地もまだありました。
  それも駅からすぐ近くの場所だったのですから、
  今の都内なら考えられません。
  
  とはいえ、家自体は広くありません。
  下は4畳半一間、二階は4畳半と3畳。
  台所も2畳あるかないか位のスペースですし、
  トイレはもちろん汲み取り式。
  そこに一家5人、しかも一時期は2人の男性が居候してました。
  よく住めたと思うのですが、
  子供だったせいか、狭いと感じたことは一度もなかったです。
  
  居候の男性は、蔵前で人形問屋をやっていた父のもとに、
  仕事の見習いに来た人でした。
  一人は浜松からやってきた商売仲間の息子さん、
  一人は愛知から来た父の姉の子、つまり私のいとこにあたる人でした。
  
  期間的にはそんな長くはなかったと思いますが、
  今考えると、2人のほうは落ちつかなかったでしょう。
  とくに浜松のお兄さんにはよく遊んでもらいましたが、
  裏返せばこの環境では、嫌でも相手をせざるを得なかったのかも。
  
  しかし、9歳までのこの長屋暮らしは、
  私の原点であり、かけがえのないものであったと思います。
  これからこのメルマガでお届けしていくエピソードは、
  この住宅時代の話が中心になります。
  
  

  我が家は2番目の棟でしたが、
  1番目の棟と2番目の棟の間には広場があり、
  横も広場でしたので、2番目の棟は、見晴らしは良かったです。
  
  私がまだよちよち歩きの時代、
  母は玄関の前にたらいと洗濯板を出し、ざぶざぶ洗濯をしていました。
  すでに洗濯機は私の生まれたときからあったのですが、
  夏になると水をさわってたほうが気持ちいいと言って、
  母は旧式に回帰してました。
  
  でも、まだそんな光景は珍しくない時代、
  夏は皆、玄関前にたらいと洗濯板を出して、
  井戸端会議よろしく、よく洗濯していました。
  電気代節約の意味もあったのかもしれません。
  
  ところで私の一番古い記憶にある洗濯機は、
  いまや博物館でしかお目にかかれないしろものです。
  おわかりですか?
  ローラーで洗濯ものをのしいかみたいに絞リ出す、
  あの子供心をわくわくさせてくれたタイプです。
  いや今考えても、あの発想をした人を表彰したくなるくらい、
  充分わくわくしますが。
  
  で、その日も母は、玄関先でじゃぶじゃぶやってました。
  家の前の広場の向こうには、駅前に続く道路があり、そこを通る車も、
  そのまた向こうを走る電車もよく見えました。
  
  ところが、どうしたことか、その日は車が大渋滞しているのです。
  そのころは、まだそんな大渋滞もなかったですから、
  母は不思議に思いながら、洗濯をしていました。
  
  そこへ長屋の大工の留さん、だったかどうかは知りませんが、
  同じ住宅に住む大工さんが、私を抱っこしてやってきました。
  私は家の中で寝ていると思っていた母は、びっくり。
  
  で、留さん(と勝手に決める)の言うことにゃ、
  今日は車が混んでるなあと思いつつ、
  駅へと向かうその道を歩いていくと、
  その渋滞の先頭には、道路のまんなかでくつろいでいる子供がいる。
  しかも、よくよく見たら知ってる子供。
  びっくりして、あわてて連れ帰ってくれたのです。
  
  玄関先にいた母が気がつかなかったのだから、おそらく、
  裏の庭のほうから、出て行ったのでししょうが、
  出て行くのは見過ごしたとしても、
  母は外にいたのですから駅前に向かう私の姿に
  気がついてもいいようなものです。
  母ものんきなものでした。
  
  いずれにしても、留さんが通らなかったら、
  私はよちよち歩きの時代にして、
  もう警察のごやっかいになっていたかもしれません。
  いや、それから数年もたたないうちに、
  実際にごやっかいになったこともあるのですが、
  それはまた別の機会にでも。
  
  いずれにしても、その日の仕事に留さんが遅刻しなかったことを祈ります。
  
  でも、同じことが今の時代に起きていたら、と思うとぞっとします。
  事故にせよ誘拐にせよ、
  その危険性は比べものにならないでしょう。
  
  そして一番の違いは、子供が道をふさいでいるからって、
  渋滞の列を作って様子を見ているような、
  悠長なドライバーたちは存在しないってことです。
  きっと、牛が道の真ん中で寝そべっているのと同じ感覚で、
  止まっていてくれたんだとは思いますが、
  そんな心のゆとりがある人は、今は皆無でしょう。
  
  自分の子供が原因の渋滞を眺めていたのんきな母と、
  実にはた迷惑な子供は、
  そんなドライバーたちと、
  仕事に行く途中なのに、わざわざ私を連れ帰るために
  戻ってくれた留さん(なぜに留さんか?)に助けられ、
  無事ことなきを得たのでした。
  
  今でなくて、良かった。
  
  
  
  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    編集後記
  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  
  今日は私の誕生日。
  で、生まれた時刻午後2時に合わせて配信しようと思い立ち、
  ちょっと早いのですが、2号を発行しました。
  予約配信ですけどね。
  創刊号をこれに合わせて出せばよかったかな。
  自己満足だけで、他の人にはなんの意味もないことですけど。
  
  創刊号に対しては、何人かの方から早速メールをいただきました。
  ありがとうございます。
  前号のお産の病院騒動の話の最後に、
  お産婆さんに取り上げてもらった人もまだいたと書いたら、
  読者さんの中にもいらっしゃいました。
  31年生まれの方で、35年生まれの妹さんもお産婆さんだったそうです。
  
  私はお産の経験がないのですが、
  陣痛の始まったお腹をかかえて、病院までいく負担を思うと、
  自宅にお産婆さんが来てくれるというのは、
  いい制度だったと思います。
  何かあったときに不安ということはもちろんありますが、
  いつ生まれるかではなく、
  医者の都合でいつ生むかという選択をさせられることもある時代。
  人間の都合を優先させる風潮が、
  こんなとこまで及んでいいのかなって気がします。
  
  でも自然の摂理に合わせるのが当然のお産婆さんて、
  お産がだぶってしまったときは、どうしてたんでしょうか。
  
  
                        (ひとみ)
  
  
  ======================================================================
    
   発 行 「和・は・は」
        http://wa.hitokiwa.com/

       「あっぱれぷらすサイト」
        http://www2.ocn.ne.jp/~aps/ 
   
  
  (こんなメルマガも発行しています。

   「あっぱれ長屋のぷらす話」
   バッグナンバー http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000115032
  
   「脱!惰性生活〜惰性で生きるな自分を生きよう〜」
   バッグナンバー http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000117051

   「和・は・は」、メールマガジンページ、
   「あっぱれぷらすサイト」のほ本屋ページ、どちらからでも登録できます。)

         
   『まぐまぐ!』 http://www.mag2.com/ を利用して発行させていただいて
    おります。
   
    購読解除 http://www.mag2.com/m/0000135400.htm 
  
    メールはこのメールへの返信で届きます。
    
  ======================================================================
  

←前の号      次の号→

一覧から選ぶ


登録する



このページのTOPへ戻る









あっぱれぷらすサイト ぷらっとネットショップ


和ははホーム


今の日本を楽しむ和はは生活

懐かしの昭和30年代

幕末維新の時代

日本の物産名産入口

日本の旅

日本のエコロジー

こだわり国産品



日本の伝統文化を取り入れた和はは生活

日本の衣

日本の食

日本の住

日本の癒し

日本の美

日本の縁起物

日本を知る本

寄り道・和はは生活

松竹梅子の小遣い稼ぎの口入屋

メールマガジンのご案内

和ははの日本人講座

お休み処