「いいとき生まれた!昭和30年代」
メールマガジンバックナンバー
第26号 どぶそうじ
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いいとき生まれた!昭和30年代 第26号
2005.1.16
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家の前には、デッキブラシが1本入る程度の小さな排水溝がありました。
月一回程度だったのでしょうか、
時々日曜日に、住宅総出で各棟の前のその溝の掃除をしました。
蓋をしてある部分は、蓋をはずし、
各家にある小さなスコップとデッキブラシを使って、
溜まった土砂などを外にすくって、洗い流していきます。
(小さなスコップは、そういえば「じゅうのう」とか言ってたかな?
わー懐かしい言葉を思い出してしまった!)
しかし、そういうときでなくても、たまたま遊び相手もみつからず、
暇をもてあましているときなど、私はよくこのどぶ掃除をしていました。
といっても、私は掃除しているという感覚ではなく、
ただおもしろいお遊び気分でやっていたのが、
たまたま実益を兼ねているだけのことでしたけど。
もちろん、そういうときは、蓋までは動かせないので、
蓋をしている部分は適当に押し出してみるだけの、
きわめて大雑把なもの。
でも、お遊びですから、多少の大雑把など関係ありません。
(もっとも、お掃除も、大雑把かもしれないけど…。)
しかし、傍目には子供が、自主的にどぶ掃除をしているのです。
ほめてもらっても、よさそうなものです。
今、もしそんなことしている子供がいたら、
私は、ほめてしまうと思います。
でも、特にほめられたという記憶がないのです。
思うに、子供がそんなことしていても、
当たり前のことだったのかもしれません。
住宅総出のどぶ掃除のときも、
子供たちも当然のごとく、参加してましたし。
すでに、昭和30年代世代は、
「家の手伝いをするより勉強しなさい」という傾向が、
出てきて、それ以前の子供よりは、
家の手伝いをしない世代に入っています。
私だって、胸をはれるほどの手伝いはしてません。
(でも、勉強もしていません。)
それでも、さらに後の世代よりは、
まだまだ家のお手伝いはさせられていたと思います。
以前に紹介したゆきんこさんも、
子供には重過ぎるようなごみバケツを、
運んでいったりしてましたしね。
さすがに、赤ちゃんを背中にくくりつけられているような子供は
もういませんでした。
奉公に出させられる時代でもありません。
しかし、今でも発展途上国の子供は、よく手伝いをして働きます。
そういう姿を見て、「えらいなあ」と感じるのは、
先進国となった国の民だけで、
そういうところでは、それが当たり前のことです。
もちろん、昔の日本にもそういう時代はありましたよね。
「おしん」が反響を呼んだのも、
思い出す人、はじめて知る人双方に、
受け入れられたからだと思います。
そういう時代には、働く子供は当たり前のこと。
そして、どこの国でも、そういう時代を経ているのです。
もちろん、今でもそうという国も、たくさんあります。
「子供なのにお手伝いしてえらいね」という感覚は、
生活が豊かな社会で成り立つもので、
本来はありえないものなのかもしれません。
そして、あの時代は、まだ子供のお手伝いは当たり前という、
至極当然の考えが残っていたのかもしれないなあと、
思い至ったのです。
でも、単にお遊びと見抜かれてただけかなあ?
それとも、どぶ掃除姿が似合いすぎて、ごく自然に見えていたのかなあ?
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編集後記
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◇懐かしいと思った「じゅうのう」。
たった今、物置の中で偶然にみつけました。
先もぼろぼろになって、年季もかなり入ってましたが、
当時のものだそうで、
「おー、これを使ってどぶ掃除してたのかあ。」
感慨ひとしおでした。
◇前号のお雑煮のお話で、名古屋出身の方からも、
やはり同じシンプルお雑煮でしたというメールをいただきました。
でも、小松菜のほかに、かつおぶしがかかっていたそうです。
うーん、負けた…。
で、ネットで調べてみたら、やっぱりかつおぶしをかけるようです。
小松菜も、本来は餅菜という小松菜の仲間を使うそうですが、
手に入りにくいので、小松菜が主流になってることもわかりました。
ではなぜ、我が家のお雑煮には、かつおぶしをかけないのか。
そういえば、いなかで食べるときには、
かかっていたような気がしないでもないが、
いまいち、記憶があやふや。
そこで母に聞きました。
「あのお雑煮は、本当はかつおぶしもかけるようだよ。」
「そうだよ。私もいなかではそうしてかけて食べてたよ。」
えっ?
「でも、うちのお雑煮にはかけてないじゃない。」
「昔は、花鰹を、いちいち、かかなきゃならなかったじゃない。
面倒だからかけなかった。」
つまり、かつおぶしを削るのが面倒だったから、やめたらしい。
かくのが面倒でかけるのをやめた、という、
ややこしい話だけど、
しかし、それにしてもだしをとるためには、
どちみち削るじゃないか…。
それに、削る時代ではなくなっても、
我が家のお雑煮にかつおぶしがかかることはなかったし。
やっぱり、母の手抜きはあったのでした。
ただでさえ、シンプルなのにさらに手を抜いていた母を、
尊敬いたしました。
(ひとみ)
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