「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第20号 買い物かごと商店街


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         いいとき生まれた!昭和30年代  第20号     


                 2004.11.26           


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  私鉄の駅前に広がるような、個人商店街を見ると、
  わくわくします。
  私が幼い頃、毎日のように連れられて通った商店街を
  思い出すからだろうと思います。
  
  当時の買物スタイルは、買物かごに財布をむき出しで放り込んで、
  サンダルをつっかけて出かけるのが定番。
  今思えば、どうぞ財布をすってくださいと言わんばかりの、
  無防備さでしたが、幸いそういうことには遭遇しませんでした。
  
  しかし、この買物かごというのは、日本では姿を消してしまいましたね。
  この間、テレビのロシア語講座の中の物語フィルムで、
  市場に買物に行くというシーンを放送していたのですが、
  ふと見ると、登場人物の若い女の子が、
  買物かごをぶらさげて買物してました。
  どうやらロシアでは健在のようです。
  
  一方、サンダルはミュールなどという気取った名前で呼ばれて、
  ファッションアイテムとして、出世しました。
  でも、私にとっては、いまだ買物のときに履いて行った、
  つっかけサンダル以外の何者でもなくて、
  ミュールなんて書かれて、お店に並んでいると、
  「やーだ、何、気取ってんのよー」
  と、ツッコミを入れたくなってしまうのです。
  悲しい性です。
  
  そのサンダルとは、明暗を分けるように衰退した買物かごですが、
  当時は、物を買っても、新聞紙でくるんでもらう時代ですから、
  少々濡れたものや、泥がついたものが入っても平気なかごは、
  必需品でした。
  特に八百屋などでは、水をちょろちょろ流した木樽につけてあるもやしを
  すくい上げて、店の真ん中に吊るしてある切った新聞紙に、
  ひょいとくるんで渡されましたし、土つきの野菜も多かったですから。
  (しかしあのもやし、昔は、しゃきしゃき感を保つために
   そうしていたのでしょうが、今思うと、ビタミンCが皆流れていたろうな。)
  
  買いに行く方が、財布をむき出しで放り込んでいくなら、
  八百屋さんでも、かごがお店の真ん中にゴムでつるされて、
  売上金もおつりもそこで出し入れ。
  大らかなもんでした。
  でも、私がいつも驚異に思ってたのは、八百屋さんの暗算力。
  お客さんがこれとこれとこれね、って見せると、
  いくらって答える速さは、子供心に尊敬ものでした。
  大人になれば、誰でもああなれるのかと思ってました。
  大きな勘違いでした…。
  最近は個人の八百屋さんもレジが多いようで、
  そんな技もあまり見られなくなりました。
 
  野菜といえば、私は夏の夕方、
  (昔は旬がありましたから、トマトは夏のものでしたね。)
  トマトに塩を振って食べるのが好きでした。
  
  しかも、なぜかそのときばかりは、家の外に出て食べるのが好きでした。
  トマトをかじりながら、家の前で、地面に絵を書いたり、
  空をながめたりしていたものです。
  でも、あの時のトマトの味には、いつのまにか出会えなくなって、
  いつも物足りない思いでした。
  
  あるとき、友人の家でごちそうになったとき、
  何気なく食べたトマトが、
  まさしくその味だったので、
  「これは昔のトマトの味だ!」
  って言ったら、それは有機栽培のトマトでした。
  さすが、健康には人一倍気を使って、
  エンゲル係数かけてる友人です。
  
  そうか、そういうわけだったのか。
  昔は都会でも贅沢な味が、手に入ってたんだな。
  昔の野性味あふれる野菜、本当になくなってしまいましたね。
  
  お肉屋さんにも楽しみがありました。
  それは、コロッケを買ってもらうこと。
  おかずで買うときは、紙にくるまれてしまいますが、
  おやつで買ってもらえるときは、
  揚げたてのコロッケの下半分を、紙でくるんで、
  手に持てるようにして渡してくれます。
  それを食べながら歩くときのおいしかったこと。
  母は、外で食べ物を買っても、家に帰るまで絶対に食べさせてくれず、
  まして物を食べながら歩くということも許さなかったけれど、
  これだけはなぜか例外でした。
  だから、肉屋に入るときに、今日はコロッケを買うか、
  そして買うなら、おかずで買うのか、おやつなのかは、
  子供にとって、けっこう大きな問題でした。
  
  このコロッケ、当時は3個で10円だったそうで、
  安くて栄養があって、おいしいときてるので、
  3人の子のおやつには最適なため、よく買ってくれたそうです。
  
  こちらも、あの味にはなかなか出会えないと思っていたら、
  この間、それを思い出させるじゃがいもに唐突に出会いました。
  これも、北海道から直接取り寄せたじゃがいもでした。
  そうか、じゃがいもの差か。
  
  そうなってくると、今、都会の人が普段食べてるものって、
  一体なにもの?
  食料が豊かでも、昔は庶民でも食べられた健全な野菜の味が、
  高いお金を出さないと手に入らない特別なものになってしまったというのは、
  どこかおかしくない?

  都会に住んでいても、本当の野菜の味の片鱗を知ることができたことは、
  今おもえば、とても贅沢なことだったんですね。
  
  そして、もう一つ、おもしろく思っていたのは、
  瀬戸物屋さんで買うと、底を丸い石で2,3回こすって、
  なめらかにしてくれること。
  少なくとも、20歳くらいのときに買った個人商店では、
  まだしてましたが、
  今は瀬戸物買っても、そんなことしてるような記憶がないところをみると、
  してない気がします。

  夏には、商品を直射日光から守るためでしょう、
  よしずをかけるお店も、よくありました。
  その日陰で買物するようになると、夏だなあと思ったものです。
  常連客が多い商店街では、よしずでさえぎっても、
  客足が減る心配もなかったでしょうし。  
  そんなわけで、個人商店街には、見るものがたくさんありました。
  だから、ああいう商店街を見ると、わくわくしてしまうクセだけは、
  いまだに直りません。
  



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    編集後記
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  ◇今は地下鉄沿線ですが、スーパーばかりで、
   近くにそんな商店街はありません。
   ですので、買物はほとんどスーパーですが、
   個人商店もないわけではありません。
   大量安売りのスーパーに押されっぱなしの個人商店ですが、
   やはり「餅は餅屋」のたとえどおり、
   素材の差は、スーパーとは全然違います。
   それが、個人商店が生き残れる武器なんでしょうね。 

  ◇ある人から、こんな話を聞かされたことがあります。
   その人が仕事で、養殖場にとある調査に行って、
   見学させてもらったときのこと。
   魚には、病気を防ぐために、抗生物質のがんがん入ったえさが
   与えられていることを知りました。
   それを見て以来、その人は、天然物しか食べなくなったと言ってました。
   当の養殖場の人たちも、私らこんなの食べませんよと言っていたそうです。
   その、「こんなの」しか食べられない、都会の庶民はどうするの?
  
   今や、安全な食材は、高くて贅沢なものになってしまいました。
   お金をかけなければ、本物の味にも出会えなくなりました。
   貧乏人は、農薬や抗生物質の力を借りた食材を食べて、早く死ねってこと?
   長生きしたけりゃ、田舎暮らしで自給自足するか、
   化学物質に負けない超人的な体を作るしかない時代になったのかなあ。
  
  
                            (ひとみ)


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