「いいとき生まれた!昭和30年代」
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第15号 騒音への反応
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いいとき生まれた!昭和30年代 第15号
2004.10.22
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銭湯の話が続いたので、また都営住宅に話を戻しましょう。
前にも述べたとおり、庭付き2階建て!
の、4軒長屋式の都営住宅ですから、
上下の騒音問題はありません。
でも、隣の音はどうだったか。
これが、聞こえなかったんですね。
隣の壁との間に、階段がくるように、
設計されていたせいなのかもしれません。
と、思ってたのですが、
よく考えたら、重大なポイントを見落としてました。
我が家は、一番端なので、片方からの騒音は、
当然ありません。
そして、お隣はといえば、
これも前に述べたとおり、
子供はすでに大学生と高校生、
そう騒ぐわけありません。
対して、我が家は3人寄れば文殊の知恵、ではなくて、
かしましいと言われる、女の子が3人。しかも小さいときてる。
となると、騒音を出していたほうではないの?
たしかに、うるさかったと思います。
2階で3人でぎゃーぎゃー喧嘩してたら、
母がものすごい勢いで、どたどた上がってくるなり、
いきなり3人続けて、頭をはたかれたこともあります。
母もキレる騒がしさ。
(しかし、よく考えたら、母の階段を登る音や怒声、
そして、はたかれて泣きわめく3人の子供の声によって、
さらに、うるさい事態になってます。)
でも、隣から苦情が来たことはありません。
しかも、我が家の場合、
せっかくの配慮の設計、隣家との境の階段が、
私たち子供の遊び場になってしまうことも、
よくありました。
それも、ご丁寧に歌手ごっこなんかしてしまいます。
歌う順番でない人が司会者役になって、
「それでは、次はひとみさんでーす!」
パチパチパチ…!
すると、なりきったひとみさん登場。
「まこ、あまえてばかりで、ごめんね〜」
(この歌にピンときた方、間違いなく昭和30年世代)
歌手になりきって、歌いながら降りてきます。
子供ですから、隣に聞こえるかもなんて観念は、
まったくありません。
歌いまくりです。
でも、隣から苦情が来たことはありません。
また、あるときは、3人で階段の途中に腰掛けて、
くすぐりあったりして、きゃーきゃーじゃれあってます。
危険な香りがしますねー。
やがて、そのとおり、妹の一人が見事に転げ落ちます。
ここで、ちょっと話がそれますが、
まえに私の妹は双子だと言いました。
一卵性ですし、他人は似ているというのですが、
瓜二つというほどは似てません。
一人は、母が「この子だけ食べさせてないみたいで…」と言うほど、
体も細く、あさりの目に鼻ぺちゃ、
一人は、頭が大きくまんまる顔で、おでこが広く目も大きい。
今くるよを見たときに、小さいときの妹を思い出してしまったと言えば、
イメージがわくでしょうか。
(本人たちは読んでないので言いたい放題!)
このとき、落ちたのは、このくるよちゃんの方。
一瞬の緊張が走りました。
「大丈夫?」
あわてて下を覗き込むと、
まだ何が起きたか把握できていないくるよちゃんが、
大の字になって目を大きく見開いて、ひっくり返っています。
その姿に、大変な事態ということも忘れて大笑いしてしまう二人。
我にかえって、ようやく泣き出す妹と、
あわてて飛んでくる母の心配する声と、
続く子供たちへの叱責。
こんな騒動が、階段のところで繰り広げられます。
いかにも、うるさそうですね。
でも、隣から苦情が来たことはありません。
最初はオルガン、後にエレクトーンなども、
へたくそなのをビコビコ鳴らしてました。
でも、隣から苦情が来たことはありません。
昭和40年代、ピアノの音がうるさいという理由から、
殺人事件が起きました。
今ならありがちかもって思われてしまうのでしょうが、
当時の世間には大きな衝撃を与えました。
その時に、テレビで検証していたのですが、
人間はよく知っている人の出す騒音は、気にならないそうです。
その親しさが増すほど、気にならない度合いも増し、
時には、ほほえましくさえ感じるのだとか。
たとえ犬でも、知っている犬の鳴き声なら気にならないそうで、
言われてみれば、なるほどって思いませんか?
つまり、そういう事件が起きるようになったのは、
それだけ、人間関係が希薄になってきた証拠だとのことでした。
生活騒音問題に関心が集まりだしたのも、
この事件あたりからだったでしょうか。
そういえば、我が家で夫婦げんかが始まると、
お隣のおばちゃんが仲裁に来てくれたこともありました。
あまりプライバシーに頭をつっこんでは悪い、
という思いがあったのか、毎回は来てくれなかったけれど。
やっぱり、聞こえてたのね。
いくらよく知っているとはいえ、うるさくてすみませんでした。
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編集後記
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この階段を落ちたときのことは妹も覚えていて、人を突き落として
笑いころげていたひどい姉だと言っております。
天地神明に誓って、突き落としてはおりません。
ふざけていたら、向こうが勝手に落ちただけです。
冤罪です。
また、もう一人の妹も、私の持っていた鉛筆が歯茎にささって、
鉛筆の先が歯茎に残ってしまったことがあります。
この鉛筆の先は今でも歯茎にあるんだからと妹は言います。
これも、私が突き刺したと妹は言っておりますが、
ただ鉛筆を持っていたら、そこに妹が突き刺さってきただけです。
天地神明に誓って、これも冤罪です。
人は思い出を自分の都合のいいように、作りかえるものですねえ。
でも、それだけ信用されてない姉?
(ひとみ)
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