「いいとき生まれた!昭和30年代」

メールマガジンバックナンバー



         第122号 消えた立小便とたんつぼ


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      いいとき生まれた!昭和30年代  第122号     


                     2015. 3.28  


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  みなさん、こんにちは。
  春と秋にやってくるお彼岸のようなメルマガ
  (誰がそんなメルマガにしとるんじゃー!)
  ではございますが、
  お元気でお過ごしですか。


  こんなローペースのメルマガでも、
  気長に待っていてくださるのですから、
  このメルマガの読者様たちは
  本当にできたお方ばかりで、
  ありがたく思っております。
  心優しい皆様のご厚意に甘えて続けられておりますこと、
  深く感謝いたします。


  さて、最初におことわりしておきますが、
  今回は飲み食いしながら読むのは
  避けていただいたほうがよろしいかと存じます。


  おジョーヒンなわたくしが、
  勇気をもってお下劣なテーマを
  取り上げますゆえ。
  「ひとみさんが語っても違和感なし」
  という空気が漂ったような感じもしますが、
  気のせいですわね。


  さて、今回取り上げるのは
  ズバリ立ち小便、
  略して立ちション。


  キャー、
  やっぱり、おジョーヒンなわたくしとしましては、
  こんなお言葉を持ち出すのは大変勇気がいりますわ。
  せめても丁寧にお立ち小便、
  いや、もっと包んで
  殿方戸外放尿…


  …なんだか、収拾つかなくなってきてる気がしますので、
  このまま先行きます。


  当時は軽犯罪だという認識すらなく、
  よく見かけました。
  でもこれは、
  我慢できないものはある程度は仕方ないという、
  暗黙の了解みたいなものがあった流れではないかと思うのです。


  とはいえ、歓迎されないことであったのは、
  確かですよ。
  昔から塀に鳥居を描いたり置いたりして
  立ちション除けとする風習が
  あったくらいですから、
  そんな風習が生まれるほど
  多くもあり、迷惑でもあったってことです。


  ただ、緊急事態に場所を考慮してする分には、
  大目に見てもらえるところがあったと思います。
  あの坂本龍馬でさえ、
  「よく塀に立小便をしていくので困った」
  なんて生前を知る人の聞き書きが残されちゃってます。
  記憶が定かでないんですけど、
  確か酔っぱらった時限定の話だったとは思いますが。
  でもそれを語った人も、
  塀にされて臭いから困ったって言ってるんで、
  行為そのものを問題にはしていないわけ。


  つまり昔の日本では、
  立ち小便の行為そのもののモラルの前に、
  場所を選べってところにモラルがあった気がするのです。


  私たちの子供の頃も、
  男の子はその流れを組んで(?)、
  遊びに夢中で家のトイレに帰る時間も惜しいなんて時は
  野原の隅とかでしてる子いましたね。


  いずれにせよ、
  当時の女性たちも
  「全く、男共は!」
  と思ってたかどうかは疑問です。
  というのも、
  昭和30年代では、女性たちも外での放尿に
  あまり抵抗を感じてなかった節があるからです。
  と書くと、
  「えええー!!!それはない!!!」
  と言う驚愕と否定の雄叫びが飛び交っちまいますわな。


  もちろん、女性はしませんよ。
  まあ、昔はおばあさんなんかだと
  たまにはいたようですけどね。
  女性がしていたのではなく、
  させていたのですよ、小さな子供に。


  ほら、道端で小さな子を抱えておしっこさせてるお母さん、
  いましたわよね。
  で、はっきり言いますと、
  私たちはその小さな子供のほうの世代だったりなんかするわけで…。
  暗い過去を思い出させて
  ごめんあそばせ。


  でも、子供の放尿に対しては、
  男性の放尿より
  さらに寛容な社会だった気がします。
  我慢できないものであるから仕方ない
  という土台に乗せれば、
  小さな子供に関してより寛容になるのは
  当然と言えば当然のこと。


  しかし、全くどこぞの国を笑えないようなわけで。
  (もっとも、場所を考えないということに関しては、
   どこぞの国には到底かないませんが)
 

  中には、トイレだとしないけど、
  外だとするからって、
  おむつをはずす頃の子供を
  おばあさんやお母さんがいちいち外に連れてきて、
  隅っこやどぶに向けて
  「しー、しー」
  って言いながらさせてたりなんて光景も
  ありませんでした?


  もちろん、普通はトイレで同じように抱えてさせるのですが、
  なにせ当時はぼっとん便所が主流です。
  中には、怖がって
  出るものも出なくなってしまう
  繊細な子供もいたんでしょうね。
  (他人事の話として語らねばならない自分が
   ちょっとくやしい)


  外での放尿意識は、
  まだ江戸時代のほうに近かったわけです。
  思うに、そんな感覚が残ってたのは、
  やはりアスファルトで覆われたところが
  少なかったからだと思うのです。


  まだ空き地や野原など土の場所も多かったし
  舗装された道でも、
  道端は土のままというのも
  珍しくなかったわけで、
  ある意味、立ち小便しやすい環境は温存されていたとも
  言えます。
  だから、そんな空気も残っていたのでしょう。


  だって下が土かアスファルトかでは
  心理的にもかなり違いますよね。
  吸収分解してくれる土だと、
  あまり罪悪感もわかないのに比べ、
  アスファルトでは、
  そのまま垂れ流し。
  モラルがばっちり視覚化されてしまうのです。
  運が悪ければ、自分の足元に迫ってくる〜なんて、
  予期せぬ事態が起きる可能性もあります。


  「あー、俺は犬と同じことしてるのか」
  と深く反省させられるのかどうか、
  そのへんは
  わたくし、お立ち小便したことないんでわかりかねますけど。


  舗装化って、立小便防止も狙ってたんでしょうかね?


  いずれにしても、
  外での放尿という原始的行動が消えていき、
  文明生活のレベルが向上したのは
  喜ばしいことでしょう。


  さて、汚い話ついでにもう一つ、
  消えた汚いものの話を
  お許しください。
  汚い話は一気に語ってしまったほうがいいと思いますので。


  それは
  たんつぼ。
  ストレートにすみません。
  (といっても、ストレートでない言い方もないですが。)


  しかし、これを知ってるという年代も
  中高年ということになるのでしょうね。
  あ、違う。
  中高年と昭和30年代生まれということに
  なるのでしょうね。


  駅などにありましたよね。
  私が覚えてるのは、
  ホームの柱にくくりつけられてたもの。
  上にご丁寧に「たんつぼ→」って紙が
  貼ってあったなあ。


  でも子供心に思いました。
  こんなおぞましいものが存在するなんて…。
  これ、お掃除する人、
  かわいそー。


  まだ背がないから、
  のぞきこむことはできなかったけど、
  背があっても怖くてのぞけなかったでしょうね。
  もっとも中には、
  ちゃんと消毒液が入っていたようで、
  子供の私が想像した世界ではなかったことは幸いです。


  それにしても、
  気持ちのいいものではないことには
  変わりない。
  痰がからむ人には助かるものだったでしょうが、
  そこへ吐くのもけっこう勇気がいるのではないかと思える
  しろものです。


  このたんつぼが消えたのは
  いつごろだったのでしょう。
  とにかく
  ある時ふと気がついたら
  なくなっていたという感じです。


  痰を吐く人が減ったのか、
  痰の出る人が減ったのか。
  でも、立ち小便に比べると
  「くぁー!ぺっ!」のおっさんは
  今でもけっこういると思います。
  あ、でも駅ではなく、道でが多いかな。
  舗装効果も、こちらには及ばないようです。


  駅でたまに見かける人も、
  線路に吐いてたりしてますね。
  こちらも雨での自然浄化という
  勝手な免罪符を作っているのでしょう。


  でも、雨のお掃除はありえない地下鉄の線路に
  吐き捨ててる人を見たことあります。、
  さすがにもう少し頭使って考えなさいと言いたくなりましたけど、
  こういう人は
  今、たんつぼがあったとしてもそこでしないでしょう。
  となるとたんつぼは
  ポケットティッシュもない時代の立派なモラルの象徴。
  馬鹿にはできません。
 

  それにしても、
  どこのどなたかは存じませぬが、
  たんつぼというものを考え出した発想って
  いろんな意味ですごいですよね。
  ごみは戸外ではなくごみ箱へ、
  用を足すのも戸外ではなくトイレで、
  というのと全く同じ考え方なんですけど、
  集めた後のことはあまり問題ではなかったんですかね。
  少なくとも、
  集めた後に利用方法があった前の2つとは大きく違うものであったのは
  確かですよ。


  ともかく、地味な存在でありながら、
  あれほど強烈なキャラはありませんでした。
  でも、当時は灰皿と同じように
  あって違和感のないものでもあったことも
  これまた本当のことです。


  でも、仮に今、復活を考えてみたとして、
  時代に合わないなという感じは確かにしますよね。
  今も残ってたら、
  もっと衛生的合理的な処理ができる進化をとげてるだろうし、
  おしゃれなものにもなってるかもしれませんが、
  今の時代のモラルのある人なら、
  公衆の面前で吐き出す行為そのものに
  抵抗があるでしょう。
  

  こちらも出す場所から、
  行為そのもののモラルへと変化しているようです。


  たんつぼが世の中から消えたのも、
  「たんつぼがモラルではだめなんだ。
   こういうものがあったら、
   かえってモラルが疑われるんだ。」
  というさらなる意識の向上の結果だったのでしょうか。


  それとも、
  「たくさんのたんつぼをお掃除する人の
   健康不安と心理的負担を考えてください。
   これをなくしてくれないなら、
   たんつぼを1個お掃除するたびに特別手当を要求します。
   清掃員一同」
  って申し出でもあったんでしょうか。


  ともかく、たんつぼは消えました。
  誰に気がつかれることも、
  世の中の話題にされることもなく
  ひっそりと消えました。
  散々汚いものを引き受けて、
  公衆衛生と街の美観に多大な貢献をしてきながら、
  感謝も功績を称えられることもなく
  静かに消え去っていきました…。


  うーん、なんだか、
  あのたんつぼから学ぶことは
  けっこう奥が深いのかもしれない…。



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    あれこれ後記
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  ◇昨年のことですが、とほほほドクターさんから
   PDFファイルが届きました。
   これがなんと、
   このメルマガを創刊号からまとめたもの。
   これをipadに入れて、
   いつでも読めるようにしてくださってるそうです。
   ここまでしてるのだから、
   廃刊だけは回避せよ、
   との温かい叱咤激励です。
   身に余る光栄とはこのことです。

   とほほほドクターさんに限らず、
   こんなメルマガの読者でいてくださってる皆様や、
   私の駄文に対してメールをくださる皆様の温かさに触れると、
   本当に昭和30年代はいい人間をたくさん育ててくれたなあ
   とつくづく思います。

   発行頻度が少なくなってしまって、
   そんな皆様にご心配をおかけしてしまってる恩知らずですが、
   もちろんこのメルマガだけは、
   どんなに忙しくなっても
   廃刊する気はありません。

   メルマガ出すのがやっとなんですから、
   ホームページの更新もバックナンバーのアップも
   とても手が回らず、
   すっかり止まっちゃってますが、
   ともかくメルマガだけは
   細く長く続けてまいります。
   よろしくお願い申し上げます。



  ◇この間、駅のエレベーターに乗ってたら
   後ろから親子の声が聞こえてきました。
   お母さんが計算問題を出して、
   子供が答えてます。
   長いエレベーターだったので
   ずっと聞こえてたんですが、
   それがかなりスパルタ。

   ちょっと子供がつっかえて考えてると
   お母さんの声がヒステリックに
   「だからあ!」

   救いは子供が委縮せずに
   のんびり楽しんで答えてること。
   でもあれではかわいそう、
   内心はびびってないかしら。
   なんか聞いてるほうが子供になった気分で、
   答えられるかドギマギ心配しつつ聞いてると
   どうも10を超える数字が計算にかかわると
   苦手の様子。

   でも母親は即答できないと満足しない。
   子供が「えーとー」なんて2,3秒考えようものなら、
   「だからあ!これこれでこうやったらこうでしょ!」
   きつい口調で計算の秘訣を説明している。

   だからあ、お母さん怖いですってば。

   でももっと怖いと思った人は、
   その母親の説明を聞いて思わず、
   「ああなるほど!そう考えればいいのか!」
   と55才にして納得してた私…。



  ◇母親と言えば、
   先日、母と電車に乗った時のこと。
   優先席の前で
   「ここの手すりにつかまらせてもらって…」とか言って
    さりげなく、でも強引にものほしげな態度を発散させてる母。

   見ると前には30代くらいの女性が
   座って寝ており、
   それも旅行に行くのか帰りなのかという出で立ちで
   体も元気そうなんですが、
   それにしても露骨さが恥ずかしいので私は他人のふり。

   するとその人の隣に座っていた女性が、
   さっと立ち上がって母に席を譲ってくれたのです。
   しかしその方、どう見ても母より年上。

   さすがに断るだろうと思ってたら、
   母は「ありがとうございます」と言って
   さっさと座ってしまった。
   そりゃ母も年だから、
   座りたい気持ちはわかるが、、
   あんたには遠慮ってもんがないのかー!

   降りてから
   「お母さんより年上そうな人に、
    席を譲ってもらうなんて」
   と言ったところ、
   「でもあの人、
    お母さんがお礼を言って降りた後も座らないで、
    横に立ってたお姉さんにどうぞって座らせてたから、
    きっと元気な人なのよ。」

   って、それは譲ってもらった時には
   まだ起きてないことだわね。

   「それにジーパンはいてたし。」
 
   ジーパンが基準かい。

   「それにこーんな大きなダイヤの指輪もしてたし。」

   それは関係ありません。


                           (ひとみ)



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   発 行 日本の小粋な和みの暮らし「和・は・は」
       http://wa.hitokiwa.com/

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    発行させていただいております。

   
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