「いいとき生まれた!昭和30年代」

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 第112号 有人改札は偉大だった



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        いいとき生まれた!昭和30年代  第112号     


                    2010. 1. 26   


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  皆様、お元気ですか。
  長らくのご無沙汰、お許しください。
  11月の前号から、
  まさかこれほど遅れてしまうとは、
  自分でも思っていませんでした。
  12月に全く時間がとれなかったため、
  もう一つのメルマガも遅れてしまい、
  こちらの遅延にも拍車をかけてしまいました。
  申し訳ございません。
  今さらですが、
  今年もよろしくお願い申し上げます。
  
  
  ではさっそく。
  遅れた影響で、
  話も古くなってしまいましたが、
  昨年の11月下旬、
  東京のJR中央線の120周年ファイナルイベントとして、
  駅員さんが切符に鋏を入れてくれる懐かしい改札が復活しました。
  
  
  私は新聞で知ったのですが、
  駅員さんが鋏を鳴らしていた昔の改札が、
  時々ムショーに恋しくなる私としては、
  行われるのが近くの駅でないのが残念でした。
  
  
  とはいえ、行ったところで、
  誰でも鋏を入れてもらえる、
  というわけではありません。
  同じイベントの一つとして行われていた、
  改札鋏(もちろん本物)を自分で入れてまわる駅のラリーで、
  5箇所以上の鋏を入れてきた人とか、
  駅ビルなど指定の施設で、
  2千円以上の買い物をした人など、
  条件をクリアして初めて、
  鋏を入れてもらえる券が
  もらえたらしいです。
  
  
  もちろん、その券で電車には乗れません。
  純粋に、パチンっと鋏を入れてもらうことだけが
  メインです。
  たかだかパチン!にたどり着くのに、
  大変な時代になったものです。
  昔、子供が、
  おもちゃの車掌さんセットでやってたことと、
  大して変わらないじゃないですか。


  と言いつつ、
  駅員さんが鋏を鳴らしながら立っていて、
  昔と同じように、
  その鋏を入れてもらえる、
  と知ると、
  鉄ちゃんでない私でも、
  心がざわめいてしまいます。
  心理はすっかり読まれてますな。
  
  
  今残っている有人改札でも、
  鋏を入れるのではなく、
  スタンプを押す形がほとんどではないでしょうか。
  鋏を鳴らして改札に立っている駅員さんがまだいる、
  って駅はあるのかなあ。
 
 
  今回のイベントで、
  現役の駅員ではなく、
  OBに頼んだのも、
  「せっかく復活させるんだから、
   人間も当時の人を」
  というこだわりではなく、
  今は、したことのない人ばかりのため、
  という理由のほうが大きそうですね。
 
    
  でも、
  日常のごくありふれた普通の一コマだったものが、
  切符切りの駅員の実演という、
  ご大層なイベントとして成立するようになるなんて、
  当時は誰も思いませんよね。
  
  
  駅に行けば、
  改札に立つ駅員さんが、
  鋏をリズミカルに鳴らしてる音が聞こえてくるのも、
  その駅員さんに鋏を入れてもらうのも、
  当たり前すぎるほど当たり前のことでした。
  はさみを鳴らすのは、
  すべりが悪くなるのを防ぐためとか、
  改札の位置がわかるため、とか、
  諸説あるようですが、
  実際のところは、昔の駅員さんに聞いてください。
  (投げやり?)
  
  
  どうしたら、あんなふうに鳴らせるのかなあ、
  と普通の鋏で挑戦するという、
  全く意味のないことをした経験のあるのは、
  私だけでしょうか?
  
  
  駅員さんのプロの業は、
  鋏だけではありません。
  出札口では、
  次々に出される切符や定期を、
  一目でチェックする。
  しかも、○○駅から△△駅と表示されている場合ならともかく、
  ○○駅から○○円区間
  という切符でチェックというのは、
  各駅からその駅までの料金がすべて頭に入ってないと
  できないわけです。
  もし、勤務駅が変わったら…
  そこへ加えて、切り口の形のチェックもしてたとしたら…
  そこに気づいた時、  
  「駅員さんはみな鉄ちゃん」
  と思い込んでる私の憶測は確信に変わったものでした。
  
  
  さらには、一人で
  入札と出札両方を担当する時もあります。
  ターミナル駅などは別として、
  小さな駅ならいつもそうですし、
  普段は改札が別れている駅でも、
  ラッシュ時以外の時間帯では、
  改札に一人しかいないことはありました。
  
  
  電車がついて、
  人が降りてくる。
  出される切符をチェックしながら、
  入る人の切符を切る。
  もうこうなると、神業の域。
  
  
  当時でもそれは思われていたようで、
  テレビ番組で、
  駅員さんをスタジオに招いて、
  実験をしたことがありました。
  スタジオに改札をつくり、
  中に一人だけ不正乗車の人を紛らせ、
  百人だかそれ以上だか、
  とにかくたくさんの人を通らせる。
  
  
  入る人あり、出る人あり、
  ものすごい大混雑の改札で、
  駅員さんの姿も見えなくなるくらいでしたが、
  見事に期限切れの定期の人を発見。
  
  
  さすがだなあ、
  と子供心に感心したことを、
  今だに覚えてます。
  
  
  駅の改札が自動改札に変わってしまう時は、
  寂しかったものです。
  改札から人がいなくなるってか!
  駅員のプロの業が消えていくんか!
  駅員、楽をしすぎだろ!
  いろいろ思ったもんですが、
  時代の流れには逆らえません。
  
  
  こうして改札の主役だった駅員は、
  今や改札の端っこに追いやられ、
  一人寂しく、窓口から乗降客をこっそり覗き見、
  いや、見守る形になりました。
  
  
  いくら達人揃いとはいえ、
  経験年数や素質から習熟度にばらつきがあるのは致し方なく、
  見落としということでは、
  機械のほうが間違いありませんし、
  人員削減にもなります。
  経営面からは、
  自動改札は確かに優れものなんでしょうけどね。
  でもね、有人改札を知っている人間としては、
  なんかどっかね…。
  
  
  この間、
  とある線で、
  2箇所ばかり乗り降りする私用がありました。
  この線は運賃が高く、
  乗り降りなどしてたらかなりの出費になるのですが、
  ちょうど期間限定の一日乗車券が出ていたので、
  これ幸いと買うことにしました。
  買ってみると、紙の切符(しかも大きい)。
  そこに日付印のスタンプを押してもらって使います。
  ですから、買うのも、
  定期券売り場か、改札の窓口の人から直接です。
  当然、乗り降りも駅員さんに見せる式。
  
  
  完全アナログ対応に、
  正直、最初はびっくりしましたけど、
  一気にその鉄道会社に親しみ持ちました。
  経営が大変でも、
  一日乗車券を出すために、
  限界ぎりぎりの努力をしてるのね。  
  「なんかレトロ」と思いながら、
  ほほえましい気分。


  とはいえ、今の改札式では、
  駅員さんに見せるには、
  端まで回らなくてはならないんで、
  面倒は面倒。
  
  
  しかし、
  「はい、どうぞ」という声が返ってきたり、
  うなづいてくれたりという
  人間の反応があるのは、
  やはりいいものです。
 
  
  ところが、ある駅で降りて、
  再び帰りに見せて通った時のことです。
  来た時には応えてくれた駅員さんの反応が、
  今度は何もないのです。
  「あれ?」と思って見たら、
  なんとそこには誰も人がいなかった。
  どこへ行ったよ、駅員さん!


  けど、人、人と言いながら、
  自分もろくすっぽ見てないってことが
  わかりました。
  これって、すでに自動改札感染症?

  
  そしてもう一つ、わかりました。
  誰もいないところへ、
  切符を出して見せていたと知った時のむなしさって、
  自動改札より悲しいものなんだと…。
  
  
  まあ自動改札になってから、
  駅員さんが誰も座っていないってことは、
  時たまあることです。
  いてほしい時に駅員が窓口にいなかった経験もあります。
  
  
  無人駅ではあるまいし、
  改札に駅員がいないなんてことは、
  昔の改札ではありえなかったんですけど。
  人がいつ来るかわからないのは、
  昔も今も変わりないのに。
  
  
  昔の改札のほうが、
  人気があるのも、
  そこには必ず人がいて、
  自分が差し出す切符に鋏を入れてくれる、
  という人間同士が互いの存在を認識して初めて成立する行為が
  あったことが一番の要因だと思います。
  
  
  それが証拠に、
  昔風の改札と改札鋏だけの展示復活ではなく、
  そこに鋏を鳴らしながら切符を切ってくれる、
  かつての駅員さんまで再現されたからこそ、
  今回のイベントが注目されたわけです。

  
  かつての改札に、
  たくさん散らばっていた細かい切りくずは、
  人と人がかかわった数。
  鳴り響いていた改札鋏の音は、
  そこに人がいる証。
  
  
  その場限りのことであっても、
  こういった、
  社会で潜在的に積み重なっていた、
  人間同士のかかわりの量の差って、
  馬鹿にはできないと思います。
  社会の機械化と、
  人間関係の希薄化、
  関係がないとは言い切れない、
  と私は思ってます。
  人の姿を確認せずに切符を見せてた自分に、
  ますますその思いを深めてます。
    
  
  老人パスなど使用条件付のパスで、
  自動改札が使えないのは、
  機械ではチェックしきれない不正利用を防ぐためかと思います。
  どんなに機械が進歩しても、
  対象が人間である限り、
  絶対に補えきれない部分は出てきます。

  
  実際に、今窓口に座っている駅員さんだって、
  様々な事態に対処しているでしょう。
  人がいれば、
  不正をする人の抑止力にもなります。
  それは、どんなに優秀な機械ができても、  
  カバーできない部分です。
  人間に対応できるのは、
  やはり最終的に人間でしかありえません。
  

  そこもクリアしてしまうほど、
  優秀な機械ができたとしても、
  それが活躍している社会は、
  ますます自分を見失う人、
  心を病む人が増えている社会に違いありません。
  人間を必要としない社会は、
  人間の存在価値の否定にもなるわけですからね。
      

  だから、
  改札から人がいなくなることはないとは思いますし、
  そうでなくては困ります。
   
  
  すいている時間帯などに、
  駅員さんがほうきとちりとりを持って来て、
  改札にいる駅員さんとおしゃべりしながら、
  切りくずを掃除してた光景、
  出札口の改札で、
  次々に置かれる切符をかき集めては、
  駅員さんが下の箱に落とし込んでいた光景、
  チラッと見ただけの、
  そんなどうでもいい光景さえ、
  なぜか記憶にインプットされているのも、
  人間がしていたことだったからだと思います。
  だって、人間の記憶って、
  人間と共にインプットされるものが圧倒的なんですから。
  

  昔の改札を知っていることを、
  古い人間と思うマイナスイメージより、
  誇らしい気分、得した気分みたいな
  プラスイメージで捉える人の方が多いのも、
  今は得られないものを得ていたことに、
  気がついているからではないでしょうか。
  
  
  これからは、
  ますます知っている人間が減っていくわけですから、
  大事にしたい記憶ですね。
 

 
  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    あれこれ後記
  ★☆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  
  
  
  ◇前号に対し、大阪のかっちゃんから、
   懐かしいレコードジャケットの写真など、
   たくさん送っていただいていたんです。
  
  
   なのに、なかなかアップしてる時間がとれなくて、
   少しずつ作業はしていたんですが、
   結局こちらも大幅に遅れてしまいました。
   かっちゃんさん、
   せっかく苦労して送ってくださったのに、
   遅くなってごめんなさい!
  
  
   でも、ようやくアップできました。
   どうぞ!
  
   http://wa.hitokiwa.com/photo2-5.htm#rekoodo

  

                              (ひとみ)

                         



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