「いいとき生まれた!昭和30年代」

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第30号 幼稚園バス騒動


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         いいとき生まれた!昭和30年代  第30号     


                 2005.2.12           


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  幼稚園は、今は3年保育が主流ですが、
  昭和30年代は、2年保育のほうが普通でしたね。
  でも、私は時代を先取りして、
  3年保育で幼稚園に行きました。
  と言っても、理由は簡単、
  下が双子で手がかかるので、
  さっさと入れちまおうというだけのことです。
  
  そこで、両親は、送迎バスがあるということと、
  当時にしては制服が可愛かった、
  お寺の経営する幼稚園に決めました。
  その幼稚園でも、年中、年長クラスは複数あるのに、
  年少クラスは、15人しかとりませんでした。
  
  で、ものすご〜い難問の試験を、
  無事くぐり抜けた精鋭15人の中に、
  私もどうにか入ることができました。
  
  え?どんな難問かって?
  まずは、絵を見せて、「うさぎさんはど〜れ?」。
  むずかしいでしょ〜。
  そのほかには、ティッシュで鼻をかむ真似ごとをさせた後、
  それをゴミ箱に捨てられるかなど、
  本当にむずかしい試験でした…。
  
  このテスト、実は私は覚えてませんが、
  本当にこんなものだったそうです。
  要は形だけのテストで、入園希望のあったのが、
  15人ということかも。
  大人でも、思わず考えてしまうような問題の出る、
  今の有名幼稚園のお受験にくらべたら、まっこと平和なもんで。

  (もっとも、当時の有名幼稚園の試験がどんなものだったのかは、
  わかりませんけど、幼稚園のお受験戦争なんてのは、
  影も形もありませんでしたから、
  今ほどのことではなかったでしょう。)
  
  ところが、入園式の記念写真を見ると、
  一番端っこでふてくされた顔している私がいます。
  ぶーたれた顔だけ正面を向けていますが、
  体は嫌がって、半分横向いてます。
  「なんで、こんなとこへ入んなきゃいけないのよー。」
  っていうオーラ全開です。
  
  これまでもいくつかエピソードを披露しましたが、
  私は良くも悪くも自由奔放、
  うっかり目を離すと、
  何をしでかすかわからない子供でしたけれど、
  それは、あくまでも自分のテリトリー内でのこと。
  
  3歳までのテリトリーといえば、
  せいぜいが、都営住宅内とその周辺の関係くらいです。
  
  幼稚園という全く新しい世界に飛び込むことになって、
  露呈したのは、実は意気地なしだったということ。
  まさに、井の中の蛙。
  
  初登園の朝、お迎えのバスが来ました。
  母から離れて、一人でバスに乗って出かける、
  という状態は、はじめてです。
  でも、どの子も初登園のときはそうです。
  そして、普通の子は、普通にそれをクリアできるもんです。
  
  ところが、私のきかん気は、それをクリアしてやろう、
  ということには向かないで、変な方向に爆発するのです。
  絶対に、乗らない!
  泣きわめいて抵抗する私。
  「やっぱり、この子にはまだ早かったかしら。
   今日のところは、無理させないで…」
  なんて軟なこと考える、うちのおっかさんではありません。
  こやつめ、乗らないなんてこと、誰が許すものか!
  叱声飛ばして、バスに押し込もうとする母。
  
  先生のほうも手馴れたもの。
  こういうのが、毎年1人や2人はいるのでしょう。
  「お母さん、かまわないで、乗せちゃってください。」
  いや、かまってくれ〜!
  押し込む母、引きずり込む先生、そりゃないぜ!
  私の抵抗もピークに達しますが、しょせん大人2人の力に、
  勝てるわけはありません。
  しかも、運転手のおっさんまで敵の一味。
  大騒動の末、私の体が中に入ったと見るや、
  無情にもドアを閉め、バスを発車させました。
  遠くなる母の姿。
  おっかさ〜ん。
  もう、泣いてもわめいても、どうにもなりません。
  
  あきらめて、しゃくりあげながらも、
  初めて車内を見渡すと、
  みんなのきょとんとした顔、顔、顔。
  「なんだか、すごいもんが乗ってきたゾ、オイ…」
  そういう雰囲気でございました。
  
  私の記憶では、このバス騒動は1度きりなのですが、
  実際は、1週間も続いたそうです。
  そのわりに幼稚園に行くと、
  ケロリとしていたそうで、
  ただ抵抗してみたかっただけ、
  というところが、本音だったのかも。
  自分だけが違うところに行かされるということが、
  大いに不服だったのかもしれません。

  いつだったか、男の子が幼稚園バスで、
  同じような騒動を繰り広げてました。
  ああ、歴史は繰り返す。
  
  でも、私のときと違ったのは、お母さんが叱りながらも、
  いざバスが来ると、
  「どうするの?行くの?行かないの?」
  と優しく聞いていたのと、先生も優しくなだめてたこと。
  
  「お母さん、かまわないで、乗せちゃってください。」
  「はい、お願いします!」
  なんて言って、母親と先生の共同作業で、
  バスに押し込む荒業的方法は、私にとっては有効でしたけど、
  そんな光景は、もう過去のもの?
  
  はたして、その子が乗っていったかどうかは、
  残念ながら確認できませんでしたけど、
  もし当時、こういう展開になってたら、
  私は、確実に「絶対、行かない」と言っていたでしょう。

  そういう子には、やっぱりこんな荒業しかなかったかも。


  
 

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    編集後記
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  ◇前号のおんぶに関する話によせていただいたメールで、
   母親ならではの思いに、
   「それそれ!」と言いたくなった一文がありました。

  「やっぱり外に出たら子供は(しかも乳児なら)
   なおさら肌身離したくないなあと思います。」

   これですよ。母として、この思いが先にありきなら、
   必然的に、おんぶや抱っこになると思います。

   これを書いてくださったことママさんは、
   私の妹達と同じく、昭和のおぶひもで子育てしたそうです。
   そして、おんぶする時には、30年代と同じように、
   見知らぬ人が、手を貸してくれたそうです。
   おんぶがある限り、そういう手助けもなくならなかった、
   という証ですね。
    
   ベビーカーは、「おんぶや抱っこは重くて大変」という、
   自分の都合が先に来てしまってることは、確かなことで、
   使うなとまでは言わないけれど、
   そこを自覚しながら使うことで、
   荷物的乗せっ放しもなくなるのではないかと思うのでした。
  
   もっとも、昭和30年代生まれで、
   今、ベビーカーを使うような赤ちゃんがいるという人は、
   少ないですし、そういう方にはむしろ、
   「若いうちの子育てではないから、体力的に大変でしょう、
    無理しないで、お使いなさい。」
   と、別の意味で、逆におすすめすることになっちゃうかな。

  

                           (ひとみ)




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